働かせないための「おかしな」ルール
実は'06~'07年の第一次安倍政権の時、社保庁を国税庁に吸収し、「歳入庁」とする構想があった。社会保険料の性格は税と同じなので、ほとんどの国で税と社会保険料の徴収は一元化されているからだ。
ところが、国税庁を所管する財務省から泣きがはいった。社保庁職員を引き取ったら、国税庁の中で「ガン細胞」が増殖し、国家の基本となる徴税が出来なくなるから、社保庁職員だけは勘弁してほしい、と。それほど、社保庁職員は他の役人からみると厄介者なのだ。
どうして社保庁職員が働かないかといえば、社保庁は労働組合と、「働かない」覚え書きを取り交わしていたからである。社保庁の労働組合は、「先鋭的」として有名な旧自治労国費評議会と全厚生労働組合だった。
その、覚え書きの内容はすさまじい。「コンピュータ入力の文字数は一日平均5000字まで」、「端末の連続操作時間は50分以内」、「50分働いたら15分休憩」など、一般企業ではありえない、非常識なものばかりだ。
おそらく、社保庁時代に入った職員には、まともな働き方を知らない人もいる。こうした組織は、まともでない働き方を継承する。
すでにこの覚え書きは破棄されたとはいえ、職場慣行は長年続き、不祥事が続発。日本年金機構になっても、その構造は同じである。
民間組織であればとっくに倒産しているが、公的機関である年金機構は潰れない。不祥事は永久に続くだろう。
『週刊現代』2016年5月21日号より
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