- 菊地慶剛
- 2016年5月12日(木) 11:00
本人も戸惑いの中でのキャンプ
TBS系列で毎年放送されている『プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達』は、今や年末の人気特番として定着している。筆者も選手たちの悲喜こもごもの人生模様に毎年引き込まれている1人だ。
昨年の放送で登場した1人、千葉ロッテから戦力外通告を受けた中後悠平投手をご記憶だろうか。番組内では合同トライアウト受験後もNPBから契約のオファーが届かず、NPB復帰を目指しBCリーグの武蔵ヒートベアーズと契約したところまでが紹介されていた。が、しかし、中後は現在、海を渡り米国アリゾナ州にいるのだ。
すでに複数のメディアが報じているように、放送後の中後に信じられないような出来事が待ち受けていた。なんとメジャー3チームから契約オファーが届き、最終的にその中からダイヤモンドバックスとマイナー契約を結ぶことになったのだ。ビザの取得が遅れたため3月の通常キャンプに参加することはができなかったが、6月からシーズン開幕を迎える若手選手たち(いわゆるルーキーリーグなどの下部リーグは6月から3カ月間の実施になっている)に混じり、アリゾナにある同チームのキャンプ施設でちょっと遅めのキャンプを過ごしているのだ。
「正直まだ右も左もわからない状態です。今まで野球をするためアメリカに来たこともなかったですし、1月の時に(ここで)やるとも思っていなかった。言葉が通じないだけで野球をすることがこんなにも難しいのかと思います」
まだアリゾナ入りした当初は、たった数カ月の間に起こった急転直下の展開に、中後本人も戸惑いを隠せない状態だった。だがキャンプを過ごしながら着実に準備を進めている。
左不足のDバックスとマイナー契約
もちろん日本の合同トライアウトでさえ興味を持たれなかった選手が、マイナー契約ながらもなぜメジャー球団と契約できたのか、不思議に思うかもしれない。ここで断言しておくが、資金力豊富なメジャーといえども、26歳の元プロ野球選手をマイナーでやらせるためだけに契約したりなどしない。ダイヤモンドバックスは中後にメジャーでやれる可能性を見出したからこそ、彼との契約に踏み切った。その辺りの説明をスカウトからきちんと受けていたこともあり、中後は3チームの中からダイヤモンドバックスを選んだのだ。
「野球を諦めかけていた中でこういう話をもらった時は正直うれしかったです。自分で調べた中で(ダイヤモンドバックスは)左ピッチャーの補強に失敗していて左不足だというのがわかった。チームからも僕のような左投手が欲しいと言ってもらえた。そうやって必要としてもらえるところにいけば、チャンスももらえるんじゃないかと思いました」
中後の説明してくれた通り、現在のダイヤモンドバックスのメジャー登録選手25人中、左の中継ぎ投手はザック・カーティス投手1人しかいないのだ。しかもメジャー昇格の最低条件となる40人枠にも左の中継ぎ投手はカーティス以外1人だけ。まさにチームは左の強打者と対峙させたい“左キラー”として横手投げ左腕の中後に着目したというわけだ。
