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アナログゲームの祭典「ゲームマーケット2016春」レポート。日本先行発売のBauza氏の新作など,ボードゲームシーンの今が詰まったお祭りイベント
アナログゲームの祭典として,国内最大級に成長した本イベント。現在は春と秋に東京で,冬に関西で開催されており,今回は2月に行われた「ゲームマーケット2016神戸」から約3か月ぶりの開催となった。ビッグサイトの西館3,4ホールを使用した過去最大規模のスペースに,同人サークルと企業を合わせて約480ものブース出展が行われ,来場者数も初の1万人超えとなる約1万1000人。プロアマ問わず,数多くの新タイトルが出展されていた。本稿では,その会場の中から筆者が気になったモノをピックアップして紹介していこう。
ゲームマーケット公式サイト
大型連休中のビッグサイトにアナログゲームが集結
開場前から1000人以上の行列ができていた今回のゲームマーケット。10:00の開場と共に,待機列はお目当ての各ブースへと散っていくという,多くの同人誌即売会と同じ光景を今回も見ることができた。人気サークルの新タイトルは午前中には売り切れてしまうことが多く,確実に入手するためには,やはり事前の情報収集が重要になる。入場券代わりのゲームマーケットカタログや,ゲームマーケット公式サイトで出展タイトルをチェックし,それを目当てに向かうのがオススメだ。
一切の事前準備をせずにフラっと足を運ぶだけでも楽しいイベントなのは間違いないが,とくにアナログゲーム初心者からは「どこを見たらいいか分からない」「結局,何も買えなかった」という話を聞くことも少なくない。最近は事前予約を受け付けているサークルも多いので,今後イベントに参加する人は,ぜひ利用してみよう。
なお,今回はトークショーなどの出展者イベントこそなかったが,会場にはさまざまなトピックが溢れていたので,筆者が見聞きした範囲内ではあるが,順次紹介していこう。
■「世界の七不思議」のAntoine Bauza氏が,新作をひっさげ初出展
「7 Wonders(邦題:世界の七不思議)」や「Hanabi」のAntoine Bauza(アントワン・ボザ)氏が,ゲームマーケット向けの完全新作「ガイジン ダッシュ」をひっさげ初参加していた。
ボザ氏と言えば,ちょうど1年前の「ゲームマーケット2015春」で行われたステージ企画に登壇したのが記憶に新しい。今回はいよいよ出展者としての参加となり,Corentin Lebrat(コランタン・ルブラ)氏※との共同制作による「ガイジン ダッシュ」は,ゲームマーケットに参加するために用意されたものだという。
※Lebrat氏は,「タケノコ」の拡張版「タケノコ:ちびっ子」をBauza氏と共同で制作した人物でもある(関連記事)。
会場のBauza氏とLebrat氏,そして本作のディレクションを担当したYannick Deplaedt(ヤニック・ドゥプラド)氏の3人に話を聞いてみた。それによると,本作はゲームのアイデアから印刷まで,そのすべてにおいて日本にこだわって作ったタイトルとのこと。アートワークは長谷川登鯉氏が,印刷はタチキタプリントが担当しており,3人以外はすべて日本のスタッフが作っているそうだ。
もちろん今回のゲームマーケットが初売りなので,今のところ日本でしか手に入れることはできないレアものなわけだが,英語版のマニュアルが後日,海外の大手ボードゲーム情報サイト・BoardGameGeekに掲載される予定だそうだ。なお,海外展開については,明確には決まっていないとのことである。
ゲームマーケットに参加した手応えを聞いてみると,プレッシャーで不安を感じていたが,蓋を開けてみるとまずまずの売れ行きで,いい経験になったとのことだった。ぜひ今後のゲームマーケットにも参加し,日本のファンを喜ばせてほしいところだ。
「ガイジン ダッシュ」公式ブログ
■あの「無限回廊」のクリエイターがボードゲームに挑戦
4Gamer的にちょっと気になるサークルを見つけた。
サークル・百年ゲームで販売されていた「転生」は,さまよえる2匹の霊が胎児として新たに生まれ変わる権利を賭けて戦う……という設定の2人用対戦ゲーム。プレイヤーはゲームボード上のコマを,すごろくのようにダイス目に応じて動かし,その通った道筋を,ダイス目に描かれた2つの色の,いずれかの色トークンで埋めていく。最終的に自分が担当する色(2色ある)のマスが最も多かったプレイヤーの勝ちなのだが,相手がどの色を担当しているのかは伏せられている。もちろん自分が担当する色も相手には分からないので,お互いの行動を見ながら,「あれ? もしかして相手は赤かな?」などと予測しなくてはならない,というわけだ。
なお,百年ゲーム代表の程塚狩心氏は,元々はデジタルゲームのプランナーとして活躍しており,PSPとPS3で発売された「無限回廊」の全ステージを設計した人物だという。今回の出展の経緯を聞いてみると,元々「マジック:ザ・ギャザリング」や「カタンの開拓者たち」,またテーブルトークRPGなどにもがっつりハマっていたアナログゲーマーだったそうで,デジタルゲームに比べてまだ黎明期のアナログゲームを,自分の手で盛り上げたいと考え,今回の出展に至ったとのことだった。
なお百年ゲームでは次回のゲームマーケット2016秋で,4本の新作を発表するという。さらに,ゲームのアイデアはまだまだストックがあるそうで,今後も精力的に作品を発表していくとのこと。「目標は3年で20本」と言い,また「目指すはドイツゲーム賞!」とも語っていたので,今後の活躍にぜひ期待したい。
■広い盤面で繰り広げられる,ウォーゲームさながらの伝統ゲーム「中将棋」
ゲームマーケットではゲームを購入するだけではなく,いくつかの体験コーナーが用意されており,来場者がその場でゲームを楽しめるようになっている。リアル謎解きゲームや「どうぶつしょうぎ」,テーブルトークRPGが遊べるコーナーや,子ども向けボードゲームが揃った「こどもゲームコーナー」といったもので,どれも賑わいをみせていたのだが,中でも目を引いたのが,日本古来より伝わるゲームを紹介・体験できる「伝統ゲームコーナー」の「中将棋」だ。
一般的に知られている将棋――「本将棋」は9×9マスのゲーム盤に,40枚の駒を用いて戦うゲームだが,「中将棋」は12×12マスのゲーム盤に92枚の駒を使用して遊ぶことになる。「中将棋」の普及活動を行っている,日本中将棋連盟の武田 穣氏と冨田哲也氏によれば,実際のプレイ時間は,大人同士で遊んだ場合,本将棋の倍の2時間くらい。また駒の数と種類が異なるほか,取った駒が使えないという違いがあるとのことだった。
また中将棋のほかに,より盤面が広く,駒の数も種類も多い「大将棋」「大大将棋」「摩訶大大将棋」があるそうで,これは引き分けを減らすために,どんどん巨大化していった結果なのだそうだ。本将棋の元となった小将棋は,チェス同様盤面が狭いために引き分けが多く,これをなんとかするために本将棋が“取った駒の再利用”という発明を行った一方で,盤面を広くすることで解決を図ったのが,こうした巨大将棋というわけだ。
歴史の面では,第二次世界大戦前くらいまでは,関西を中心に人気があった中将棋だが,戦後になり新聞社主催による本将棋のタイトル戦が盛んになったことで,下火になっていったという。しかし2000年頃からインターネット上で対戦できるソフトが登場したことで,プレイ人口が増え始めたとのこと。これをきっかけに日本中将棋連盟が組織され,大会なども行われるようになったそうだ。
今では北海道,東京,大阪,九州に連盟支部があり,1〜2か月に一度のペースで例会が行われているそうで,ここに行けば実際に中将棋がプレイできるとのこと。具体的な日程は連盟の公式サイトに記載があるそうなので,そちらを確認しよう。武田氏は「初心者も歓迎」と言っていたので,興味のある人はこちらに足を運んでみてはいかがだろうか。
日本中将棋連盟 公式サイト
次回「ゲームマーケット2016秋」は12月11日(日)開催
カタログに掲載されている予告を見て「おや?」と思った方も多いと思うが,次回の「ゲームマーケット2016秋」は12月11日に開催される。例年では11月に開催されていたわけだが,今年は秋というより冬といったほうが適切かもしれない。さらに場所は東京ビッグサイトの東7・8ホールとのことで,これまで駐車場として利用されていた場所に新設される新ホール(秋頃に完成とのこと)が会場となる。
毎回過去最大を謳ってきた会場スペースもまた記録が更新され,ますます規模が大きくなるゲームマーケット。今後の動向にも注目しておこう。
以下,筆者が気になった新作タイトルを,最後に写真でお伝えする。今回会場に足を運べなかった読者は,ぜひチェックしてもらえたら幸いだ。
ゲームマーケット公式サイト
- 関連タイトル:
ガイジン ダッシュ
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