文 永江朗
2016年5月10日10時49分
京都は本好きにとって天国のような街だと思う。大小さまざまな新刊書店があちこちにあり、個性的な書店も多い。古本屋も点在していて、中心部の繁華街にもある。もともと大学が集まり、学者や作家が多く住んでいるからなのだろう。最近はコーヒーを飲みながら本を読めるブックカフェも増えた。
連休前の4月23日と24日、京都市役所前の地下街、ゼスト御池で京都ブックフェスティバルが開催された。18の出版社がブースを出して既刊本を大幅割引で売る「出版社謝恩価格フェア」や児童書のバーゲンフェア、絵本の読み聞かせやトークショーなどが行われた。作家のサイン会には長い行列ができた。なぜ4月23日なのかというと、この日は国連教育科学文化機関(ユネスコ)が宣言した「世界 本の日」で、花と本を贈り合う「サン・ジョルディの日」でもあるから。
フェスティバル実行委員長の洞本昌哉さん(ふたば書房社長)は、「もともと日本の出版の中心地は京都やったんです。それが明治維新で東京に持っていかれてしまった。でも、いまも市内には40社もの出版社があって、活発な活動をしてはります」と話す。なにしろ東本願寺前の法蔵館のように創業400年あまりの老舗出版社もあるし、寺町通の竹苞書楼(ちくほうしょろう)は創業260年の古書店である。
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