アラサー女子って何でできてるの?
婚活と自分磨きと残業と占い
そして素敵なもの全部
そういうものでできてるの
21世紀のマザーグースでこう歌われるぐらい、女性は何歳になっても占いがお好き。
中高生の頃は私も周りも「タロットの絵柄かわいい!黄道十二宮!錬金術!ふぁーおふぁーお」みたいな乙女厨二全開の理由で占いが好きだったので、「大人になればみんな占いに興味がなくなるのかな?」なーんて思ってましたが、まったくそんなことありませんでしたね。
ていうか、アラサーになるとむしろ占いにどっぷりハマる女性が増える気がしています。
「運命の人はどこにいますか?」とTwitterの鍵垢にポエムを書き込むような女子なら「ああ…アイシー」と納得もするのですが、「無駄なものにお金は使わない」という質素倹約質実剛健女子、バリバリと仕事をこなして「シット!やつらの思考回路はブショネだぜ!」と顧客や後輩の戯言に赤ペンを入れまくるバリキャリ女子も突然、占いにがっつりハマるからびっくりする。
「仕事でいきづまってて彼氏もいないから」
「彼氏が結婚を考えていなくてどうすればいいかわからないから」
「結婚すると思ってたけど全然出会いがないから」
そう言って彼女たちは占いに課金するようになるのですが、なぜ彼女たちは結婚したいと言いながら占いに走るのでしょうか?
今回は生き迷った末に「占い」に予言と行動指針を求める「占い流浪女」を分析してみたいと思います!
占い流浪女の特徴
占い流浪女とは、占いに「未来の予言」と「未来の指針」を求めて占いを渡り歩く女です。
- アラサー独身
- 彼氏は数年いない、もしくは年齢=彼氏なし
- 仕事はちゃんとしてる。事務やバックオフィス、経理など、しっかりきっちり漏れ抜けなく作業する綿密な仕事が多い
- 仕事・友人たちの評価は「真面目」
- 受験・就職活動では本人が満足する結果を出している
- 自己評価は「普通」。なので普通に結婚するものだと思っている
- が、結婚する気配がまるでないので焦り出している
月食やスーパームーンのたびに魂がルフランする生粋のスピリチュアル女子と違い、彼女たちはいたって普通で、20代前半までは特に占いへ依存しているわけではありません。彼女たちが占いにどっぷりつかるようになるのはアラサーになってから。
彼女たちの悩みは「キャリア、恋愛、結婚」というアラサー女の三種の神器のため、この点では他のアラサーとは何も違いはないのですが、解決手段として「占い」が筆頭に来るところ、下手すると占い一本足打法になるところが大きく違います。
完璧な占い師を探してロマロマするよ
占い流浪女が求めるのは「心から納得して信頼できて、この人の言うことを聞いておけば安心と思える占い師」。
占い師というよりはもはや予言者なんですが、マイ予言者を見つけるために彼女たちは魂の十字軍を編成し、オンラインオフライン、西洋東洋インド地球宇宙問わず、同じ質問を何十、何百という占いサイトや占い師に送ります。当然、出てくる結果やアドバイス、行動すべきタイミングは占いによって違うので、全部を実践することは不可能。なので彼女たちは手元に集まった占い結果の中から「最も自分が納得できて信じられる占い師」をピックアップします。
ここで「納得できる」判断基準は下記の2つ。
- 自分の現状をピタリと言い当てているか
- 自分が聞きたいハッピーな未来を提示しているか
1については回数を重ねれば重ねるほど「この占いはこの部分は当たってるけど、こちらの部分が間違ってるからダメ」「あの占い師は前回にピタリと言い当てたけど、今回は外したからB判定」など判定がシビアになって足切りしまくるようになるので、なかなか納得できる占いには出会えません。
2に至っては、たとえ1をクリアしていても「でも私が聞きたいハッピーな結末じゃないから嫌」を発動させて「もっと希望の持てる結果を出してくれる人がいるはず!」と別の占いに向かいます。
どこかで見たことがあるって?イエス鋭いですねマーム。そう、これは泥沼婚活とまったく同じ様式美。
この時点でだいぶ「あなたの探し人、ツチノコでは?」感はあるのですが、運良く「信頼できる占い師」を見つけて精神の安定を得ても、占いのアドバイスどおりに従っても状況が改善しない場合、またもパニックに陥ります。この場合、「信じたい、でもダメかもしれない」となって解散した十字軍を再編成し、またも安らぎの聖地を求めて流浪の旅に出かける、という負のループへ。
深みにはまるとこの漫画みたいなツラミに陥る占い十字軍オーマイガー。
予言を求める乙女よ、課金兵になれ
そうやって流浪活動を続けていると、あらかたメジャーどころの占いは行き尽くしてしまうので、今度は個人営業や紹介制の占い師のもとへ通うようになります。
「安い占いだから当たらなかったんだ。高い占いなら当ててくれるかも」という期待があるため、ここで乙女一兵卒から重装課金兵への劇的な進化を果たします。
御察しのとおり、個人占いはお高いです。世田谷の豪邸で開かれている祝日セッションの話を聞いたことがありますが、「お友達割引」を引いても相当なもんでした。ですが、さすが個人商売というだけあり、顧客の心理状況や求めているものを見抜くスキルを持つ人は多く、ここで「予言者」を見つける人はそこそこいます。お金が続かない人はドロップアウトしてまた流浪活動へ戻りますが、資金がそこそこある人は先生の弟子のようになることもしばしば。
友人たちが「様子がおかしい」と止めに入っても、このレベルまでくると難しい。なぜなら友人は占いと違って未来を予言してくれないし、「こうすればいいよ」と断言もしてくれない。
それに止める側が結婚していたり恋人がいたりすると「自分たちは安定しているからそんな風に言えるんだ」と怒りが湧いてきたり惨めな気分になるから逃げたりするので、疎遠になることが多いです。先生に「あの人たちは心が汚れているんだよ」とでも言われれば、縁切りするのをためらわない。
それ以前にそもそもプライベートを相談できる友人がいない場合もあり、そうなると唯一の助けとなる予言者にズブズブと依存していきます。
占い流浪女になるのは「コツコツ型まじめ女子」
という感じに占い流浪女は占いに数万〜数十万をぶっこむようになるわけですが、彼女たちは昔から迷走しているわけではありません。
むしろ彼女たちの多くはこれまで堅実に人生を過ごしてきており、「努力すれば報われる」と信じているひたむきで真面目な人たちです。
彼女たちは「毎日コツコツと真面目にやることで成果を出す」タイプで、与えられたタスクをズルせずきっちりこなすことに長けています。なのでかつては優等生と呼ばれ、会社でも細かい仕事をきっちりこなすという評価を得ていることが多い。
テクニックを駆使する猛禽女子や私のような効率厨は、戦略戦術テクニックが大好物で孫氏はマブダチですが、彼女たちはこれらを「ナチュラルでない人工的なもの」として拒否反応を示しがち。
戦略やテクニックはいわば「テストを最低限パスするカンペ」みたいなもので、彼女たちのように「毎日コツコツと勉強してちゃんと実力で点数を取る」という感覚の人からすればズルっぽく見えるんですよね。
で、このようなタイプの子は、20代前半まではそこそこ順風満帆に人生を歩んでいることが多いです。なぜなら「受験」「就職活動」「仕事」といった、20代前半までに「人生でやるべきこと」は、「タスク」「期間」「ゴール」がはっきりしていて、全部フルパッケージで用意されているから。
だから与えられたことをコツコツとやっていれば、それなりの成果を出せるわけです。だから彼女たちは「努力すれば報われる」と思っているし、「成果が望むとおりでなかったのは自分の努力が足りないからだ」と納得もできます。
結婚できると思ってたけどできない時、生き迷いが始まる
このような過去の成功経験があるので、彼女たちは20代の頃は楽観的です。
「ちゃんと仕事して生活していれば、いつか結婚できる」
「浮気も不倫もしないで努力して生きているから、いつか自分を認めて見つけてくれる人が現れる」
There is a big 落とし穴ホール here。
ここでいう「努力」「ちゃんとしている」とは、「与えられたパッケージをそのままこなすこと」であり、「自らパッケージを作り出す」「別のやり方やゴールを見つける」「パッケージの出来に疑問を持つ」といった要素はありません。
一方、彼女たちがつまづく「恋愛・結婚」は、このようなパッケージがありません。かつては「就職して社内恋愛して専業主婦」「就職してお見合いして専業主婦」というパッケージがありましたが、生き方が多様化した現代ではもう希少なパッケージになってしまいました。
誰でも使える普及版パッケージが消滅したということは、彼女たちが得意とする「与えられたタスクをそのままこなす努力」ではどうにもならず、「自分で考えて作り出す要素」が必要になるのですが、彼女たちはいざアラサーになるまで「パッケージがもうない」と気がつかないことが多いです。
20代前半の頃は「いつかどうにかなる」と未来に先送りできますが、アラサーで周りがバタバタと結婚しだすと、現実が容赦なく目の前に立ち現れてきます。
「いつか結婚すると信じてたのに、想像と違う」
「他の子と違って不倫も浮気もしてないの、に努力が報われない」
自分が信じていた方法では望みが叶わないかもしれないと知った時、人はパニックになるもの。「自分はちゃんとしているのに、成果が出ない。なんで?どうして?誰か教えて!」となった時、彼女たちを助けてくれるものは世話好きの両親や友人知人、そうでなければ占いです。
占い流浪女に進化する3つの条件
なぜ占いなのか?3つの理由があります。
- 自分でパッケージを作る経験と発想が少ないため、「結婚に至るまでのタスクとスケジュール」を誰かから与えてもらおうとするから
- 「努力すれば報われる」と思っていて成功体験もあるため、「今うまくいかないのは運が悪いからだ」と理由を運に求めるから
- 婚活やお見合い、モテテクは「ナチュラルでない小手先」に思えてやりたくないから
1については、「とにかくお見合いしなさい!」「この人がオススメ!」とゴリ押しする両親や知人がいれば与えてもらえますが、前述したとおりこのタイプは悩みを相談できる相手がいないことも多いため、自分でどうにかしなくてはなりません。
でも、これまで「コツコツやってきて成功」という成功体験があるため、自分のやり方や受け身の姿勢に問題があるとは思いつかないため「うまくいかないのは運が悪いから」という原因分析になりがち。
さらに現状打開をしようと思っても、テクニックや戦略を嫌う傾向にあるから、ここらへんのガツガツした方法を避ける。
すると自動的に「占い」が選択肢の筆頭になるのです。
占いは、未来のタスクとスケジュールを断言してくれるし、こうしなさいと具体的なアドバイスを言ってくれるし、「今うまくいかないのは運が悪いからですよ」と聞きたいことを言って「あなたは間違ってないよ」と慰めてくれるし、ガツガツした肉食的方法じゃないからです。まさにニーズをパーフェクトに満たしている。
しかもお金さえあれば、ニーズを満たすことができます。これほど都合のいい存在はありません。
占いと結婚に求めるものは同じである
「運命の王子様のスペックを教えて」「いつ結婚できますか?」と占い流浪女は占い師に質問しますが、本当に欲しいのは「つらい現状を劇的に変えてくれる希望」「不安の解消」「自分のつらさをわかってくれる人がいるという安心感」ではないかと思います。
そしてこれらの理由は、ほぼそのまんま彼女たちが結婚したい理由に当てはまります。つまり「結婚」に求めているものと「占い」に求めているものが同じなんですね。結婚は相手が必要ですぐにはどうにもならないので、まずはお金を積めば手に入れられる占いに流れているわけです。
「結婚したいから占いに行く」ように周りからは見えますが、「現状の不安から逃れたいから結婚もしくは占いに行く」と表現する方が精確でしょう。
だから彼女たちの結婚観とパートナー像は驚くほどぼんやりしています。よくあるのが「普通の人と結婚したい」ですが、これは「ホモサピエンスと結婚したい」と言ってるのとほぼ同じ。これでは紹介しようにもしようがない。
これは実質の目的が「結婚によるパートナーシップの確立」ではなく、「仕事の将来が見えないからプライベートを安定させたい」「みんながやってるから結婚制度に乗っかれてないから不安なんだ。だから結婚したい」からであり、「とりあえず結婚したい。相手が必要らしいから欲しいけどぶっちゃけ興味ない」からです。
パートナーシップを望んでないから、パートナーへの理想がない。でも「普通」という名の足切りはある。ゆえに結婚相手が見つからない。なので即効でニーズを満たせる占いへ流れる…という循環が出来上がっています。
結論:結婚したいほど不安なら、課金するな、思考せよ
彼女たちは真面目に生きています。自己愛女子やモラハラのように誰かを傷つけ搾取しているわけでもないし、Twitterキラキラ女子のように自分を偽装しているわけでもない。
「他の人よりよほどちゃんと生きているのに、なんであの子たちが結婚して自分はできないの?」と黒い気持ちが出てくるのもわかるし、「自分の悪いところがわからない!疲れた!もうやだ自分じゃどうにもならないから、人生の進路は誰か決めて!」と投げたくなる気持ちもわかります。
女性に限らず、人間は希望と成功体験があってこそ、前に進むエネルギーを得られる生き物だと思います。望みがずっと叶わない時に自分への信頼を失って不安になって、希望と安心を与えてもらいたいと願うことは自然なこと。
でもね、希望と安心と自信は、お金を払って人から教えてもらうものではないんです。それを笑顔で与えてくれようとする他人は98%ビジネスです。
占いは一大産業、「希望・タスク・スケジュールの提示」による「精神の安定」を与えるサービス業であることを忘れてはいけません。親身に寄り添ってくれるように見えるのは金が動いているからであり、あなたの幸せに興味があるからではありません。
金の切れ目が縁の切れ目となる存在に、「自分の幸せパッケージ」を委託するのはあまりにもリスクが高いです。失敗してうまくいかない時は、「お金が足りないからです」と言われ、途中でドロップアウトすれば「あと少しでうまくいったかもしれないのにね」と後悔という猛毒を置き土産にしていくから。
というわけで、占いで運命の王子様を探す女性たちは、「結婚パッケージを与えてくれる善意の人かプロを探す」か「結婚パッケージを与えてもらうマインドを捨てる」ことを選択する必要があります。その前にやった方がいいことは下記4つ。
- 結婚・恋愛の普及版パッケージは消滅しているということを理解する
- ゆえに、自分がこれまで成功してきた「与えられたタスクをこなす」姿勢では、現代日本では結婚が極めて難しいと理解する
- ゆえに、これまで避けてきた方法=自分で作り出し考えること&婚活などの行動を選択肢に組み込むようにする
- 孤立を避ける。「婚活してるんだよね」と友人知人に相談して、アドバイスを受ける人の多様性と数を確保する
これらをクリアすれば、川崎さんやアルテイシアさんのような「戦略!結婚!わっふる!」という戦略型のアドバイス本、婚活などの結婚特化したサービスを活用できる土台ができるかと思います。
「とりあえず動くのよクララ!高速に!」と言われたってできないもん、占いしたいんだもんという人たちは、「なぜ自分は動きたくないのか?何が行動を止めているのか?」を観察してみましょう。
もしかしたら別に結婚したくないかもしれない。だったらそれでいいんじゃない?自分で人生を決めると納得できるし、スッキリ爽やかになります。人生短いんだから、なるべく精神さわやかレモンソルベを目指そう。ぱぷりこでした。
「いつか結婚できる」と思ってる女子たちの生態と具体的アドバイスを書いています。うんこの話が出てくるところに共感を隠せない私。
「肉食女子専門でしょ?」と思うなかれ。奥手で動けない「お嬢様」たちのために、川崎さんが優しく方法を伝授してくれます。ジェントルすぎて筆圧の谷の住民としてひれ伏したくなります。
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「自分の問題は筆圧で解決」がモットーの私がなぜ占いが好きかって、こういうキラキラしたカードや図柄が大好きだからです。そうです耽美厨二病です。同じ理由でクリムト、ギュスターヴ・モロー、ラファエロ前派大好き。
当然カードキャプターも大好きだったよ。
セーラームーンもね。画集は全部持ってた。
ツイッタランドの生息地
占いは「非日常」を買うエンターテインメントだから楽しい。ディズニーと同じ。だけど、それを「日常の指針」にすると人生に深刻な弊害が出る。自分のことは自分で決められなくなるし、意思決定を他人に依存ぜすにいられなくなる。これの行き着く先は「指針を与えてくれる搾取者のカモ」になることです
— ぱぷりこ (@papupapuriko) March 17, 2016
占い、エンタメとしては好きだけど、意思決定に流用しちゃダメ絶対。お焚き上げやaskでもたまに意思決定権のハンドルを渡してくる人いるけど、絶対に受け取りたくないから全力で押し戻してる。自分の人生を自分で引き受ける覚悟を持とう。自分という存在から逃れられないのは自分だけなんだから
— ぱぷりこ (@papupapuriko) January 22, 2016
占いを意思決定の材料にしてはいけません自分の考えを整理する材料のひとつ(判断材料総数における占い含有量は5%以下)にしてくださいbotを作りたい
— ぱぷりこ (@papupapuriko) January 22, 2016