「血管年齢」10歳以上若い その訳は
「有酸素運動」+「水圧など別のメカニズムの可能性」も
ベテランの海女は、動脈硬化の程度を反映する「血管年齢」が同じ年代の女性より10歳以上若いとの研究結果を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などのチームが発表した。水泳など有酸素運動が有効であることは知られているが、チームは「呼吸を止める潜水では、水圧の影響など別のメカニズムが働いている可能性がある」と指摘している。
チームは、三重県志摩・鳥羽地区と千葉県南房総市で、海女115人(40〜70代、平均経験38年)と同年代の一般女性83人の計198人を対象に、動脈の壁の硬さを計測。年齢ごとに、両グループそれぞれを健康な日本人5000人以上の平均データと比較した。その結果、海女は約11歳若い人と同程度だった。一般女性のうちウオーキングなど日常的に有酸素運動をしている33人も平均約8歳若かった。
水中では末梢(まっしょう)血管に圧力がかかるため多量の血液が心臓に戻り、心臓が1回の拍動で送り出す血液の量も増える。チームの菅原順・同研究所主任研究員(体育科学)は「こうした影響が加齢に伴う動脈硬化の進行を抑え、海女の血管年齢を引き下げている可能性がある。水圧や水中運動が血管に与える影響などを明らかにし、効果的な動脈硬化の予防法を構築したい」と話している。【大場あい】