【ロンドン=小滝麻理子】5日に行われたロンドン市長選挙は7日未明、最大野党労働党の下院議員でイスラム教徒のサディク・カーン氏(45)が、与党保守党下院議員のザック・ゴールドスミス氏(41)を破り、当選した。難民危機やテロをきっかけに欧州各国で高まる反イスラム機運をはねのけ、史上初のイスラム教徒のロンドン市長が誕生する。
イスラム教徒の市長は欧米の主要首都でも初めて。パキスタン系移民の父を持つカーン氏は人権派弁護士出身。当選後の演説で同氏は「ロンドンが恐怖ではなく希望を、分断ではなく融合を選んだことを誇りに思う」と語り、宗教などの偏見にとらわれず選択した市民をたたえた。
カーン氏は8年にわたりロンドン市長を務めた保守党のボリス・ジョンソン市長(51)を引き継ぐ。労働党は首都の市長を8年ぶりに奪還した。
選挙戦では高騰する住宅価格対策や公共交通料金の凍結を訴えたカーン氏が終始リード。保守党はカーン氏がイスラム過激派と結びつきがあることを示唆するネガティブキャンペーンを展開したが及ばなかった。
英国が6月に実施する欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票は、市長選では大きな争点とはならなかった。
同時に実施された地方選では、スコットランドなどを中心に労働党が大きく支持を落とした。代わりに反移民やEU離脱を訴える英国独立党が議席を獲得し、国民投票に向け存在感を高めた。