日本に敵意を持つ外国勢力になったつもりで、日本を倒すシナリオを陰謀論的に考えてみます。
時間はかかるものの、最も効果的なのは、孫子の兵法にある「戦わずして勝つ」ことです。そのためには、日本人自身に日本の国家社会を破壊させればよいことになります。「毒(の思想)を薬や健康食品と思わせる」ことに成功すれば、日本人が自主的にせっせと毒を食べ続け、自滅してくれるわけです。
- 作者: 原書房編集部
- 出版社/メーカー: 原書房
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国を内部から崩壊させるための活動は、スパイと新秩序のイデオロギーを信奉する者の秘密地下組織をつくることから始まる。この地下組織は、最も活動的で、かつ、危険なメンバーを、国の政治上層部に潜り込ませようとするのである。かれらの餌食となって利用される「革新者」や「進歩主義者」なるものは、新しいものを待つ構えだけはあるが社会生活の具体的問題の解決には不慣れな知識階級の中から、目をつけられて引き入れられることが、よくあるものだということを忘れてはならない。*1
「思想」の威力と危険性はケインズも『一般理論』で指摘しています。
I am sure that the power of vested interests is vastly exaggerated compared with the gradual encroachment of ideas. … it is ideas, not vested interests, which are dangerous for good or evil.
日本を衰退させるポイントは、
- 経済成長を止める
- 出生率低下(→人口減少)
の二点が効果的と考えられます*2。この二点は「経済悪化→出生率低下→人口減少→経済縮小→…」のスパイラルを生むので相乗効果が期待できます。
経済成長にとっての「薬のような毒」の代表が財政再建です。目先の景気には悪いことは理解していても、「良薬口に苦し」で、長期的には経済にプラスになるという信仰は根強くあります。
ギリシャの財政赤字はリーマンショックの翌年の2009年をピークに減少傾向にありますが、名目GDPは2008年に比べて30%弱減少し、政府債務の対GDP比も高止まりしたままです。緊縮財政の破壊力がよく分かります。
日本でも小泉首相(当時)の「米百俵の精神」を多くの国民が肯定的に受け止めましたが、その根底には「経済環境が厳しくなる→倹約」という民間部門の発想があります。民間の論理を政府部門に適用すれば、「借金を増やしてはならない」という緊縮財政が正しいとされるのは自然なことです。
今の痛みに耐えて明日を良くしようという「米百俵の精神」こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないでしょうか。*3
平成14年度予算は、国債発行額を30兆円以下にすることを目標としています。[…]予算編成に当たっては、5兆円を削減する一方で、重点分野に2兆円を再配分するという精神で取り組んでいくこととします。*4
21世紀に入ると、積極財政で経済の停滞を打破するという考え方は消え失せ、その逆の「経済が拡大しないから政府支出も増やさない」「社会保障費は増えるので他の支出は削減」が主流となりました。野党が改革のアピールに政府支出削減を叫ぶ傾向も続いています。*5
2000年代後半以降になると、保健・社会保護と在庫品を除いた政府支出がGDPに占める割合はバブル期の水準まで低下しています。この財政逆噴射に国民の目が向かわないように、「経済停滞の全責任は金融緩和を行わない日本銀行にある」と叫び続けたのがいわゆるリフレ派です。
これが功を奏して、バブル崩壊後も平均1%成長を続けた名目GDPは、消費税率引き上げ・アジア通貨危機・金融危機の1997年度のピークを未だに下回ったままです。いくらなんでも異常事態です。
経済成長を止めたところで放たれる第二の矢が、男女平等イデオロギーに基づく「女の社会進出」です。男女の雇用者数は、名目GDPがピークの1997年を境に乖離が拡大しています。
年齢階級別の就業率の変化も対照的です。
経済成長が止まっているところに労働者の新規参入が増えれば、既存の労働者には賃下げ圧力がかかります。主婦と高齢者は他に収入(夫の給与や年金)があることが多いため、一家の大黒柱の男よりも低賃金を受け入れることも、賃下げ圧力を高めます。相対的に高給取りの男に対して大規模な「スト破り」が仕掛けられているようなもので、男の給与の減少率は女を大きく上回っています。
女は結婚相手に経済力を求めるので、「男性不況」は結婚と出産の逆風になります。
少子化対策が叫ばれ続けるものの、出生率は低迷したままです。単純計算ですが、出生率1.4が続くと二世代で人口は半減することになります。
女の就業率は上がり、男の就業率は下がったとはいえ、その水準には依然として大きな差があります。政府も女の社会進出をさらに促進する姿勢を強めていることから、「男性不況」と出生率の低迷は今後も続く可能性が濃厚です。
政府は需要不足に対しては外国人観光客の増加、労働力不足に対しては外国人労働者の受け入れで対応する方針のようですが、外人依存度が高まれば、日本社会への影響力拡大と犯罪増加は避けられません。一部の地域や機関が乗っ取られることも起こり得るでしょう。*6
ということで、日本の政治上層部と知識階級主導で日本を自壊させるシナリオは、計画段階から実行段階に移行しており、大成功を収めつつあるようです。財政再建(→小さい政府)と外国人労働者受け入れはネオリベ勢力、女の社会進出はリベラル/フェミ勢力が支持していると見てよいでしょう。
次に、日本の崩壊を止める方法を考えてみます。陰謀を逆にすればよいので、
- 積極財政による景気停滞からの脱却
- 男の経済力の相対的向上(→結婚増加→出生率上昇)
となりますが、これには1930年代のヨーロッパに成功例があります。もっとも、実行にはpolitical correctnessの厚い壁が立ちはだかります。
結局のところ、人間がおいしいと感じる食べ物(例:砂糖)を欲望に従って食べると健康を損なうように、現代人の多くが「正しい」と感じる思想にも、社会を内部崩壊させる「毒」が含まれているということです。
多くの人が分かっていても不健康な食生活を止められないように、日本も「正論」を止められずに自滅していくのでしょうか。
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おまけ
The number of sexual offences has more than doubled to 4 800 in the course of twenty years. The number of reported rapes has tripled and is now more than 1 100. *7
*1:強調は引用者、以下同。
*2:「企業は株主のもの/企業の目的は株主の利益の最大化」という思想も日本の破壊に絶大な貢献をしていますが、本記事では省略します。
*3:第151回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説(2001年5月7日)
*4:平成14年度予算概算要求基準の閣議了解に当たっての内閣総理大臣の談話
*5:グラフの一般会計は2013年度までが決算、2014年度が補正後予算、2015年度が当初予算。国民経済計算は基準変更のため2005年度で非連続。
*6:ヨーロッパ諸国の移民受け入れは、かつての植民地を国内に取り込むことと表現できます。先祖が植民地で現地人を使用していたことを、現在の国内で再現しようというものです。同じことを日本が行うとすると、韓国人を大量に新移民として受け入れることになりますが、どのような結果を生むでしょうか。
*7:SSB, "This is Norway 2015"