やばいです。みんなに戦慄が走りました。
上司がこの口調で部下を呼ぶ時は、確実に激怒するフラグが立った時です。
呼ぶ時はすごく冷静に、穏やかに呼ぶんですが、嵐の前の静けさです。
連休明けで仕事がいっぱい。上司はかなり機嫌が悪かったので、誰かが犠牲なることは、火を見るよりも明らかでした。
呼ばれたのは新人くん。
大体いつも標的はぼくなのですが...。
「おまえさぁ、この書類を俺に見ろっていうの?」
「すみません...。」
「すみませんって何が?どこが間違っているか分かってんのかよ?」
「えっと....。」
「え?分かってて謝ったんじゃなねーの?適当に謝っておけばいいと思ったわけ?」
畳み掛けるような質問責め。
「そんなつもりはないです。」
「じゃあ、どんなつもりなんだよ?」
「.....。」
「黙っちゃったよ。もういいわ。どこが間違っているか自分で考えろ。」
書類を新人の胸に突き返しました。
新人くんはほぼ半ベソ状態。トボトボと席に戻って、書類を確認しています。
多分、その間違い探しはかなりの難問。
マジカル頭脳パワーを使わないとわかりませんよ。
なぜなら、この上司がしつこい質問責めをする時は、大概当てつけなんです。
ストレス発散に近いと思います。
まあ、実際間違いは間違いなんですがね。
そんなに怒ってまで指摘する間違いかな?って思っちゃいます。
上司が新人さんに「自分で考えろ。」と言いました。これは、ぼくたちに対する言葉でもあります。
「自分で考えさせろ。誰も教えるな!」
っていうことです。
この状態になると、職場はしばらく暗黒期に入ります。
だって、細かすぎて、新人くんじゃなかなか間違い探しの答えを見つけられないですから。
ぼくみたいな怒られベテランになれば、すぐ間違いはみつけられますがね!
でも、間違いを見つけても、すぐには報告しにいきません。
しばらく考えてました感を出さないとね!
さすが、ベテラン!
最初から間違いのない書類持っていけばいいのですがねw
さてさて、新人くん。結構長々考えています。
小一時間になります。
もうそろそろ上司に、何が間違いなのか聞きに行ってもいい時間ですよ〜。
新人くんは聞きづらいよね。また怒られたら嫌だもんね。
でも、聞かないと解決しないよー。
間違いは自分で見つけてもダメなんです。上司に聞きに行かないとだめなんです。
上司に間違いを教えていただくことで、上司を気持ちよくさせなきゃいけないのです。
それが、新人さんの正解回答なんです!
ぼくなんかは、ちゃんと間違い見つけないと、さらに怒られますけどねw
もし、わかりません!って聞きにいったら、
「こんな事も自分でわからないのか!」ってね。
いや〜、この新人さんはなかなか聞きに行きません。みんなハラハラしだしています。
なんせ、もうすぐお昼ごはん。この事案が解決しないと、みんなお昼ごはんに行きづらいです。
そんな緊張感溢れる中、ついに新人くんが立ち上がりました!よし!
新人くんは上司の元へ!元へ?あれ?
なんか、こっち来た。
「ぼくさんすみません。この書類のどこがおかしいか教えてください。」
うそーん。なぜにぼくなのかー。
新人くんは目を真っ赤にして、悲壮感ビンビンでぼくのところへ。書類は手汗でちょっとフニャフニャになっていました。
「えっとねー...。」
書類を見ながら、上司の様子を伺いながら、ぼくはどうするべきか考えました。
間違いはすぐにはわかりました。
ぼくもよく指摘された間違いだからです。
新人くんは汗びしょり!ぼくの脇汗もびしょり!
生唾ゴクリ。
もうだめだ!!!
「ここね....半角ズレてるよ....。」
言ってしまいました。もう、この緊張感に耐えられませんでした。
新人くんは、(え?そんな事?)みたいな顔をしていましたが、ぼくにお礼を言った後、急いで半角ズレを直し上司の元へ。
「なんだ、やっと分かったのか。」
上司は、新人くんが自分で間違いを見つけたことにイライラしながらも、書類を受け取りました。
イライラの矛先?そう、ぼくですね。
上司にコソッと給湯室に呼び出されるぼく。
「おまえさぁ、新人育てる気あんの?」
ウダウダウダウダ.....。
お昼休みに突入してのお説教をいただきました。
自分に席に戻ると、みんなすでにお昼ごはんに行っていました。
今回の主役新人くんは?
お昼ごはん食べに行ったみたいだねー!