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印南敦史印南敦史  - ,  06:30 AM

「ひきずりやすい人」から脱却するための考え方

「ひきずりやすい人」から脱却するための考え方

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ひきずらない技術』(深谷純子著、あさ出版)の著者は、20年間にわたってIBMに在籍していたという人物。同社ではやりたい仕事があると、自分から「やります」と手をあげることができるのだとか。つまり、社員の意思が尊重される社風だということですが、そんな環境で働いてきた結果、ひとつのことに気づいたのだそうです。

それは、「ひきずりやすい人」と「ひきずりにくい人」には共通点があるということ。だからこそ、彼らの特徴を研究することによって、高いパフォーマンスを発揮できるノウハウを誰もが見つけられるというのです。いいかえれば、「ひきずらない技術」を身につければ、「ストレスフルな現場で、いかに適応しながら結果を出していくか」が学べるわけです。また日常生活においても、ネガティブな感情を切り離し、穏やかな気持ちで過ごすことができるのだといいます。

第1章「ひきずっていても、あなたは前に進めない」から、いくつかのポイントを引き出してみましょう。



成功は、ひきずる人にはつかめない


人は誰でも人生において、失敗や挫折を繰り返すもの。仕事、受験、失恋、裏切りなどさまざまでしょうが、大切なのは、自分にネガティブな状態が起きたとき、どう対処して、どう乗り越えていくかということ。

そして、ひきずらない人は、次々と課題に挑戦していくもの。経験とチャンスが積み重なって成功への精度が上がっていくわけです。しかし、ひきずる人は反対に、なかなか前には進めないことに。経験、チャンスの質、量が増やせていないため、成功体験にも恵まれず、ますますひきずるという悪循環に陥るのです。そこで「ひきずらない技術」を身につけることが、いまの社会を生き抜くために必要な力だというのが著者の考え方。(16ページより)


ブレーキから足を離す


「ひきずり」は仕事や勉強の質を落とし、人生を停滞させます。しかしそれは、生きるために必要な機能でもあると著者はいうのです。なぜなら私たちの脳は、失敗したこと、イヤな気持ちをひきずることで、同じ過ちを未然に防ごうとしているから。

そして、アクセルとブレーキにたとえるなら、「ひきずり」はブレーキ。アクセルを踏まない限り前には進まないけれど、ブレーキがないと暴走して危険。しかし大切なのは、ブレーキをかけていったん止まっても、また走り出すこと。これが、「ひきずらない」ということなのだそうです。

だから、「ひきずっている自分」を全面的に否定する必要はないということ。むしろ、ひきずってしまうのは生命を維持するための正常な反応。いってみれば「危機管理反応」だからこそ、多少はひきずってもいいということです。(18ページより)


「悪いひきずり」、3つの共通点


人は誰でも失敗や挫折をするものなので、「ひきずり」はすべての人に起こると考えられるはず。だとすれば私たちに必要なのは「ひきずらないこと」ではなく、ひきずったとき、それをどうやって「よいひきずり」に変えていくかということ。そう主張する著者はここで、「悪いひきずり」をする人に共通する思考パターンを紹介しています。

1.「問題や自分にきちんと向き合えていない」
2.「なにをしたいか、自分の未来が見えない」
3.「わかっているけれど決められない」

それぞれについて見ていきましょう。まず、「問題や自分にきちんと向き合えていない」は、起きた事実や自分自身と充分に向き合えていないため、問題を未解決のまま引きずっている状態。これには、次のような特徴があるといいます。

・人や環境のせいにして、解決されるまで待っている。
・自分にできることがあるにもかかわらず、それに気づいていない。
・「変えられない現実」と「自分で取り組める課題」が区別されていない状態で悩んでいる。

2.の「なにをしたいか、自分の未来が見えない」は、文字どおり自分がなにをしたいのかという未来が描けていないため、不安を抱えながらも動けない状態。特徴は次のとおりだそうです。

・心から達成したい夢や目標が見つかっていない。
・夢や目標はあっても、なにをすればいいかがわからない。
・過去の失敗や挫折経験から、積極的に未来を描くことをあきらめている。

3.の「わかっているけれど決められない」は、自分から行動する勇気、いまの自分を変える勇気が持てず、決断を先延ばしにしている状態。これには次のような特徴があるのだとか。

・行動を起こすことへの漠然とした不安がある。
・もっとよい方法があるのではないかと思い、いつまでも探している。
・自分で決めたくないので、誰かが決めてくれるのを待っている。

「悪いひきずり」をする人は、悩みを自分のなかで増幅させているもの。そして1、2、3の特徴はつながっていて、ひとつ解決すると次の悩みが出てくることもあるとか。悩みがもつれた毛糸玉のように入り組んでいるということですが、そこから脱出する方法が必ずあるのだと著者はいいます。(24ページより)


「よいひきずり」のはじまりは、自分を知ること


では、こうした悪循環から抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか? それは、「ありのままの自分を知ること」だと著者。もし失敗して引きずっているなら、謙虚に自分の弱点を認めて反省する。勇気は必要かもしれませんが、認めてしまえばそれを学びに変えられるということです。いわば失敗しないのがよいわけではなく、失敗からうまく学ぶことが大切だという考え方。

そのためにはまず、自分のネガティブ感情に気づくことが大切。「悔しい」「悲しい」「不安だ」「イヤだ」「腹が立つ」などのネガティブ感情をしっかり受け止めれば、それは自分を知ることにつながっていくわけです。

また、ありのままの自分には、「欠点」だけではなく「強み」もあるのだといいます。それが自分の強みであることに気づき、活かしていく方法を考えたり、「この先なにをしたいか」「どんな人生を送りたいか」を考えることが、とても大切だというのです。

たしかに、失敗や挫折は「つらい経験」であるでしょう。しかしそのなかには、人に感謝したり、大切なものに気づいたり、できたこと、手に入れたものもあるはず。だからこそ「ありのまま」をしっかり受け止めることが、「よいひきずり」へとつながるのだということです。(27ページより)


「レジリエンス」が失敗や挫折を成長に変える


つらい体験やストレスを糧にして、「よいひきずり」へと変える力を、心理学では「レジリエンス」と呼んでいるのだそうです。もともと物理の分野で使われていた言葉が心理学の世界でも使われるようになり、心の「回復力」「柔軟性」「しなやかさ」を表す言葉になったわけです。そして一般的には、失敗や挫折を経験して心が折れてしまったとき、つらい経験をしてへこんでしまったとき、その状態からもとの元気な状態に戻る力をさすのだといいます。

そしてさらに、心が回復するだけではなく、つらい経験をする前よりも成長できること、目標に向かってチャレンジでき、高いパフォーマンスを持続することが「レジリエンス」、すなわち「ひきずらない技術」だというのが著者の考え方。

《一般的なレジリエンス》
・落ち込んだ心をもとの状態に回復させる
・心の落ち込み状態を悪化させない

《本書のレジリエンス》
・落ち込んだ心をもとの状態に回復させ、さらに成長させる
・目的に向かってチャレンジし、いまよりさらによい状態にする
・高いパフォーマンスをなるべく長く維持する
(35ページより)

この「ひきずらない技術」を身につければ、失敗や挫折が、自分をさらに成長させる起爆剤になるのだと著者は主張します。つまりは失敗や挫折が多いほど、どんどん成長していけるということです。(34ページより)




こうした基本的な考え方を軸として、次章以降では「悪いひきずり」を「よいひきずり」に転化させる方法や、レジリエンスの鍛え方などがわかりやすく解説されます。ものごとをひきずってしまいがちな方にとっては、大きなヒントになるかもしれません。

(印南敦史)

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