九州新幹線 複数の安全対策行うも脱線防げず

九州新幹線 複数の安全対策行うも脱線防げず
地震の影響で、回送中の九州新幹線の列車が熊本市内で脱線しました。九州新幹線では地震に備えて東海道新幹線と同じような複数の安全対策を行っていますが、脱線を防ぐことはできませんでした。
JR九州によりますと、今回脱線した回送列車は、地震発生当時、時速80キロで走行していましたが、6両編成のすべての車輪が脱線しました。
九州新幹線では東海道新幹線と同じように、緊急地震速報を受信するか、沿線に設けた地震計が40ガル以上の揺れを検知すると、新幹線への送電を自動的に止め、列車を緊急に停止させる仕組みになっています。
しかし、今回の地震では脱線現場近くの地震計で250ガルという非常に大きな揺れが観測され、システム自体は正常に作動しましたが、このシステムだけで脱線を防ぐことはできませんでした。
また、九州新幹線では、2本のレールの内側に高さ2センチの壁を設けて車輪が乗り越えるのを防ぐ、東海道新幹線と同じタイプの「脱線防止ガード」が導入されていますが、今回脱線が起きた場所にはガードそのものが設けられていませんでした。
脱線防止ガードについて、JR九州は、地震が起きる可能性が高いとされる活断層が高架橋や橋りょうと交わる部分だけを設置の対象としているということで、全区間に対する設置率は10%ほどだということです。
JR九州の兵藤公顕新幹線部長は、「地震対策は優先順位を付けて行ってきたが、今回の場所でのここまでの大きな地震は想定していなかった。運輸安全委員会による調査に協力し、対策に見直しが必要かどうか検討したい」と話しています。