2016.4.13 13:00

【球界ここだけの話(510)】西武に秘密兵器!あのドラ1がサイドスロー転向

【球界ここだけの話(510)】

西武に秘密兵器!あのドラ1がサイドスロー転向

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
ブルペンでシャドーピッチングを行う西武・中崎雄太投手=西武第2

ブルペンでシャドーピッチングを行う西武・中崎雄太投手=西武第2【拡大】

 西武8年目の左腕・中崎雄太投手(25)がアンダースローに近いサイドスローに転向した。

 2009年にドラフト1位で入団し、背番号はエースナンバーの「21」。2位は野上、3位は浅村だった。2歳下の弟・中崎翔太投手(23)は広島で抑えとして活躍している。

 しかし2012年に背番号「46」に変更。1軍では13年に7試合に登板しただけで、昨年8月下旬に左手中指、人さし指、手のひらの血行障害の手術を受けた。

 手術の影響もあり、2軍の春野キャンプでもブルペンであまり投げられず。3月中旬にサイドスロー転向を首脳陣に申し入れた。

 中崎は「もう上(1軍)でやることしか考えていない。上から投げるよりも、横からの方がチャンスがあると思う。左打者をしっかり抑えて、ワンポイントでも割って入れれば」と説明。12日はフューチャーズ戦(西武第2)に登板し、1イニングを3人でピシャリと抑えた。

 横田久則2軍監督(48)は「もう8年目で崖っぷちだし、背水の陣。左打者のときに使うようにしているけど、だいぶ形になってきた。面白い存在になると思う」と評価。中崎は「阪神にいたジェフ・ウィリアムスが目標だけど、あんなにスピードは出ないので…。森福さん(ソフトバンク)や宮西さん(日本ハム)のような投球がしたい」と左キラーに徹するつもりでいる。

 そんな中崎にとって最高のお手本となるのが、広島、近鉄で変則左腕として通算438試合に登板した清川栄治2軍投手コーチ(54)だ。

 1年目の秋(1984年)にサイドスローにした清川コーチは「当時の広島は、北別府さん、大野さん、川口さん、金石さん。抑えには津田さんがいる投手王国で。食い込むには、チームにいないタイプになるしかなかった」と振り返る。

 3年目の1986年には自身最多の50試合に登板(0勝0敗1セーブ)。42回1/3を投げ、45三振を奪うなど、クロマティ(巨人)、バース(阪神)ら左の強打者をキリキリ舞いさせ、リーグ優勝に貢献した。

 「サイドスローで投げ始めた頃。教育リーグの巨人戦で吉村、岡崎、栄村を抑えたら、広島版のスポーツ新聞に一面で『広島に秘密兵器』と書かれて。あれですっかりその気になって…。中崎は1カ月足らずなのに、あれだけできるんだから器用。中崎も調子に乗りやすいタイプだから、大きく取り上げてあげて」と、かつての自分のようになることを期待していた。

 申し訳ないことに一面というわけにはいかなかったが、ぜひ中崎には「西武の秘密兵器」になってもらいたい。(塚沢健太郎)