電力自由化でパンケーキ問題が解消されるのはメリット
区域を超えた電力供給を受けると余計なお金がかかる?
パンケーキ問題って何?
電力自由化に伴い、いくつかのメリットがありますが、その中の一つにパンケーキ問題の解消があります。
電力とパンケーキというスイーツがなかなかリンクしないと思う人もいるでしょう。
以下のマップを見て下さい。従来東京在住の人は東京電力、大阪在住の人は関西電力といった感じで供給区域によって利用する電力会社は自動的に割り振られていました。
・電力会社別電力供給区域と周波数分布一覧
しかし、例えば東京在住の方が北陸電力のような感じで、異なる供給区域の電源から電力調達することも認められていました。
ただしこの異なる地域にある電力会社から、電気の供給を受けるときに一つネックがありました。
それが振替供給料金と言われるシステムです。供給区域をまたぐたびに、振替供給料金が課金されるシステムになっていたため、余計なコストを利用者は負担することになりました。
電力会社の供給区域をまたぐ利用者は上記の図の電力が通過しているa電力とb電力に振替供給料金をc電力に接続供給料金を支払わなければなりません。
電力会社の供給をまたがない利用者の負担額は【約3円/KWh】に対し、
電力会社の供給区域をまたぐ場合の負担額が【約3.6円/KWh】
と供給区域が増えれば増えるほど、振替供給料金も発生して利用者の負担額が増えてしまいます。
それがまるで何枚も重ねて提供されるパンケーキの構造に似ていることから、パンケーキ問題と呼ばれるようになりました。
パンケーキ問題の解消をもたらす電力自由化
パンケーキ問題は、区域をまたいで電力の供給を行う事業者からすれば、何重にも余計な料金を支払うことになりかねません。
一方で、電力自由化と言う問題が進められていきました。
この電力自由化の一環として、パンケーキ問題の解消も検討されるようになりました。
結果2005年に、振替供給制度の見直しが実施されました。
PPS事業者と言って、一般電気事業者ではない50kW以上の高圧電力を必要としているところに電力の小売りを行っている事業者があります。
振替供給制度のあった時には、PPS事業者がこの振替供給料金を負担していました。
しかし2005年に実施された見直しによって、PPS事業者が振替供給料金を負担することから解放されました。
2005年4月以降は電力会社をまたぐ・またがないに関わらず電力の利用者にはc電力に接続供給料金を支払い、c電力はa,b電力へ振替供給料金を会社間で精算することになりました。
では本来負担していた振替供給料金はどうなるかというと、需要地の電力会社が振替供給料金に相当する額を託送料金の中から回収する仕組みに変化しました。
そして振替供給していた事業者間で生産をすることで、この料金を賄うルールに変更されたのです。
これによって、PPS事業者は今まで以上に自由な小売活動ができるようになったのです。
振替供給料金を気にする必要がなくなったので、電源の所在地や需要家の位置関係を気にすることもありません。
すなわち日本全国の需要家が商売相手の候補になり、今まで以上に手広く電力供給を行うことが可能になります。
パンケーキ問題の解消によって、電力流通の活性化が図られる効果も期待できます。
パンケーキ問題が解消されることで、お客さんが同じであれば発電地域に関係なく、同じ託送料金ということになります。
となると電力市場は日本全国で、マーケットが一体化されたとも解釈できるわけです。
競争も激しくなって、より多くの新規顧客を確保するために各種サービスも出てきて、電力流通が結果的に活発化する可能性は高いです。
競争の公平性が高まる
電力自由化とともに、新電力が公正な環境で競争できるように整備が進められています。たとえば先に紹介したパンケーキ問題の解消もその一環です。
その他にもPPS事業者は既存の電線を借りて電力を供給することになります。
託送を利用する相手は、いうなればライバル会社となるわけです。
そうなると託送することで、PPS事業者の応報が筒抜けになってしまうとか、電力会社よりも不利な条件で電線を利用することも起こりかねません。
そのようなPPS事業者が競争で不利な立場に立たされないようにするために、ガイドラインを策定してきました。
しかし今後はより効力の強いルールを設けました。
電気事業法改正の中で、託送における禁止行為を明文化したのです。
もし禁止行為に該当することをした場合には、ペナルティが課せられるようになり、公正な競争の中で電力自由化が推し進められるようになりました。
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