上田真由美
2016年4月13日17時58分
行政サービスに民間の力を――。財政難の大阪府に都道府県で初めて、企業と手を組む専門部署「公民戦略連携デスク」ができてから1年になる。この間、企業8社が府との間にさまざまな協定を結んだ。官も民も「得する」関係とは。
■高齢者雇用・防災…8社と協定
先月7日の夕方、大阪府柏原(かしわら)市の「セブンイレブン柏原安堂町店」から、北山靖美さん(64)が自転車をこぎ出した。行き先は80代の独居男性の家。「昨日のおかず、よかったよ」。弁当を届けると、笑顔と感謝のことばが返ってきた。
北山さんは昨年6月、府が開いた55歳以上の失業者向け就職説明会に参加。同店にアルバイトで採用された。「募集ポスターに『大阪府』とあり、安心して説明会に行けた」と話す。
説明会は府内11市で計22回開かれ、これまでに75店舗が96人を採用した。
府は「元気な高年齢者が活躍できる場の開拓」(担当者)を狙い、セブン側は府の「お墨付き」を得て、スムーズな人材確保を目指す。仲介役は昨年4月にできた「連携デスク」。府は2010年に観光から子育てまで幅広い包括連携協定をセブン側と結んだが、実際は府の広報紙を店頭に置いてもらう程度だった。黒瀬陽一・関西ゾーン総務担当マネジャーは「府との打ち合わせはスピーディーで企業とのやりとりのようだった」と語る。
若者の就労支援に協力したのは大手スーパーのイオン。10年に府と結んだ包括連携協定をふまえ、雇用の分野にウィングを広げた。府の「若者サポートステーション」に登録する、働く意志を持ちながら対人面での不安などがある15~39歳から募り、府内2店舗での就業体験を経て、3人をパート雇用した。担当者は「つまずいた経験があっても、仕事をしっかりやってくれると実習で確認できれば採用しやすい」と話す。
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