定期的に上がってくる SIer 辞めましたエントリ、またはてなを賑わせているようで。
詳しくない方のために補足。IT業界にはシステムインテグレータ、通称 SIer と呼ばれる業種があります。主に政府や銀行、大手企業が使用するような大規模システムを開発するお仕事です。これだけ聞くとスゴイお仕事じゃんって思えるかもしれませんが、残業が多くて体力的にキツイ、IT業界なのにプログラム書く機会が少ない、なぜか高い Excel スキルを求められる、などの残念な面が度々フォーカスされ、IT業界なのにITが好きな人ほど離れていくという不思議な世界なのです。
筆者もExcelと人月とスーツの世界に生きていた元 SIer として、このエントリには大いに共感すると同時に、嘆息を禁じえません。
この手のエントリに、SIer バカにするなよ! やりがいあって楽しい世界だぞ! っていう反論コメントがほとんどつかないのは、どう考えてもおかしい。特に、はてななんて IT業界界隈の人がよくチェックするメディアのはずだろうに、いくらなんでもおかしすぎる。
SIer が天職だと感じている人はいないのか? だいたいの仕事には、それを苦痛だと感じる人もいれば、天職だと感じる人もいるはずだと思うんだが。たとえば、僕はプログラム組むのが好きで、わけわかんないバグを潰すのも楽しめるタイプなので、一日中プログラミングと向き合うことのできる今の仕事が天職だと思っている。しかし、第三者の目線に立つと、何時間もパソコンの前に向かってコードを追いかけて、あーでもないこーでもないと頭かきむしってる様子はとても楽しい仕事には見えないし、こんな仕事無理って思う人もたくさんいるはず。
工数を人月計算して見積もりしたり、Excel でエビデンス作ったり、仕様書作ってプログラマさんに指示出したり、といった仕事が大好きで、毎日楽しくてしかたないって人は、ほんとにいないのだろうか。いない、もしくはゼロに近いほど少ないのだとすると、なぜいまだにそういった手法がまかり通っていて、それに愛想を尽かした人の退職エントリばかりが注目されるのだろうか。辞めた人たちは適性がなかったのではなく、SIer の仕事そのものが絶対的につまらないものという結論になってしまうのだろうか。
試しに「SIer 楽しい」で検索してみた結果がコレだよ。
トップがこのブログの過去エントリじゃん……。二番手以降も SIer からの転職関連記事ばかり。もう Google 先生も SIer は楽しくない業界だと認めざるを得ない状況でしょ、これは。
SIer は公共性の高い仕事なので今後も必要だと思うのだが、この調子では新卒の大学生にとても勧められないし、業界自体が沈んでいくしかない。それを回避するためには、今 SIer で高いやりがいと喜びを感じながら仕事している人がどんどん情報発信していくべきだ。ブログでもTwitterでも、IT土方エントリばかりが注目される現状に危機感を持たなければ相当にあぶない。
IT系のメディアも、SIer でめちゃめちゃ楽しんで仕事してますよーって人に取材して記事にすれば、話題になる内容のものができるんじゃないかと。僕もそういうインタビュー読んでみたいし。ヨッピーさんあたりがやってくれないかなぁ……。
このブログをお読みの方で、もし「毎日楽しく仕事しているSIer」の方がいらっしゃれば、コメント、ブコメ、Twitterのリプライ、なんでも結構です、反応ください。自分がギブアップした世界で楽しく生きている方の話が聞きたいです。お待ちしています。