うつ伏せ寝の1歳児 企業設置の保育施設で死亡
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企業が従業員のために設けた都内の認可外の保育施設で、先月、うつ伏せの状態で寝かされていた1歳の男の子が死亡していたことが分かりました。待機児童の解消を目指し保育施設の整備が進むなか、おととし1年間に睡眠中に子どもが亡くなる事故は11件起きていて、専門家は「受け皿だけでなく、子どもの安全を守る対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。
事故が起きたのは、東京・中央区にある認可外の保育施設「キッズスクウェア日本橋室町」です。
この施設は、7つの企業が共同で従業員のために設けた「事業所内保育施設」で、東京都によりますと先月11日、施設で昼寝をしていた当時1歳2か月の男の子が心肺停止の状態となり、搬送先の病院で死亡が確認されたということです。
男の子は、うつ伏せの状態で2時間以上寝かされていましたが、呼吸の確認は十分に行われず、異変が起きたあとすぐに人工呼吸などの救命救急の措置も取られていなかったということです。
国の保育指針では、乳幼児のうつ伏せ寝は、窒息などの突然死の危険性があるとして避けなければならないと明記されているほか、事情があってうつ伏せ寝にする場合は、職員がそばについて呼吸の確認をするよう求められています。
また、指針では、人工呼吸などの救急蘇生法について施設の職員全員が熟知しておくことが求められていますが、救命救急の研修を受けた職員はこの施設には1人しかいなかったということです。
当時、施設には子ども20人に対し保育士など合わせて6人の職員がいて、職員の数は都の認可外保育所の基準を満たしていましたが、東京都は施設の安全管理態勢に問題があったとして、運営会社に対し改善を求める行政指導を行いました。
施設を運営する「アルファコーポレーション」は、大手企業などから委託を受け全国で33か所の保育所を運営していて、NHKの取材に対し「男の子が亡くなった原因は分からないが、寝かせ方や救命救急の対応が十分でなかったと反省している。問題を社内で共有し施設内の人員を増やすなど改善策を講じている」と話しています。
保育の問題に詳しい日本総研の池本美香主任研究員は「待機児童の解消で受け皿の整備が進むなか、保育の質が低下すれば、今後、事故が増えるおそれも十分にある。子どもの安全を確保するため保育士の研修を行うなど対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。
この施設は、7つの企業が共同で従業員のために設けた「事業所内保育施設」で、東京都によりますと先月11日、施設で昼寝をしていた当時1歳2か月の男の子が心肺停止の状態となり、搬送先の病院で死亡が確認されたということです。
男の子は、うつ伏せの状態で2時間以上寝かされていましたが、呼吸の確認は十分に行われず、異変が起きたあとすぐに人工呼吸などの救命救急の措置も取られていなかったということです。
国の保育指針では、乳幼児のうつ伏せ寝は、窒息などの突然死の危険性があるとして避けなければならないと明記されているほか、事情があってうつ伏せ寝にする場合は、職員がそばについて呼吸の確認をするよう求められています。
また、指針では、人工呼吸などの救急蘇生法について施設の職員全員が熟知しておくことが求められていますが、救命救急の研修を受けた職員はこの施設には1人しかいなかったということです。
当時、施設には子ども20人に対し保育士など合わせて6人の職員がいて、職員の数は都の認可外保育所の基準を満たしていましたが、東京都は施設の安全管理態勢に問題があったとして、運営会社に対し改善を求める行政指導を行いました。
施設を運営する「アルファコーポレーション」は、大手企業などから委託を受け全国で33か所の保育所を運営していて、NHKの取材に対し「男の子が亡くなった原因は分からないが、寝かせ方や救命救急の対応が十分でなかったと反省している。問題を社内で共有し施設内の人員を増やすなど改善策を講じている」と話しています。
保育の問題に詳しい日本総研の池本美香主任研究員は「待機児童の解消で受け皿の整備が進むなか、保育の質が低下すれば、今後、事故が増えるおそれも十分にある。子どもの安全を確保するため保育士の研修を行うなど対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。
母親 「忙しいから事故起きた…許せない」
亡くなった男の子の母親は、なぜ事故が起きたのか検証するよう東京都に申し入れを行うことにしています。母親は男の子の育児休業を終え、仕事に復帰することし3月に向けて自宅近くにある6か所の認可保育所に申し込みましたが、すべて入れませんでした。
夫の体調がすぐれず十分に働けないため、唯一空きがあった認可外の施設に子どもを預けることを決めたといいます。ただ1人の子どもを失い、毎日、遺影に向かって話しかけていると言い、「骨つぼを抱くと本当に小さくて軽くて、いなくなったんだと感じますが、まだとても受け止められません」と話していました。
事故のあと施設側から当時の状況を聞いたところ、男の子は慣れない環境でよく泣いていたたため、昼寝の際は1人だけ他の子どもたちとは別の部屋で寝かされていたことが分かったといいます。よく寝るという理由でうつ伏せのまま寝かされていたということですが、呼吸の確認をほとんどしていなかったことについて、保育士の1人は、ほかの子どもたちの世話で手いっぱいだったと説明したということです。
母親は「忙しいから事故が起きたと言われても許すことはできません」と話していて、東京都に対しなぜ事故が起きたのか検証するよう申し入れを行うことにしています。
夫の体調がすぐれず十分に働けないため、唯一空きがあった認可外の施設に子どもを預けることを決めたといいます。ただ1人の子どもを失い、毎日、遺影に向かって話しかけていると言い、「骨つぼを抱くと本当に小さくて軽くて、いなくなったんだと感じますが、まだとても受け止められません」と話していました。
事故のあと施設側から当時の状況を聞いたところ、男の子は慣れない環境でよく泣いていたたため、昼寝の際は1人だけ他の子どもたちとは別の部屋で寝かされていたことが分かったといいます。よく寝るという理由でうつ伏せのまま寝かされていたということですが、呼吸の確認をほとんどしていなかったことについて、保育士の1人は、ほかの子どもたちの世話で手いっぱいだったと説明したということです。
母親は「忙しいから事故が起きたと言われても許すことはできません」と話していて、東京都に対しなぜ事故が起きたのか検証するよう申し入れを行うことにしています。
保育施設での死亡事故は
厚生労働省によりますと全国の保育施設で子どもが死亡する事故はおととし1年間に17件報告されていて、このうち認可保育所が5件、認可外の保育施設が12件となっています。
子どもが睡眠中の事故は11件起きていて、このうち4件はうつ伏せ寝の状態でした。
こうした事故を防ぐため去年4月に始まった新しい制度では、子どもが死亡するなどの重大な事故が起きた場合、認可保育所は事故の詳細を速やかに自治体と保護者に報告することが義務づけられ、認可外の施設も報告が求められるようになりました。
今月からは重大事故の報告を受けた自治体が外部の専門家による検証委員会を立ち上げ、原因の究明や再発防止策を提言する新たな制度も始まりました。
厚生労働省は今後、全国から寄せられる事故の検証結果を踏まえ、事故の再発防止を徹底していきたいとしています。
子どもが睡眠中の事故は11件起きていて、このうち4件はうつ伏せ寝の状態でした。
こうした事故を防ぐため去年4月に始まった新しい制度では、子どもが死亡するなどの重大な事故が起きた場合、認可保育所は事故の詳細を速やかに自治体と保護者に報告することが義務づけられ、認可外の施設も報告が求められるようになりました。
今月からは重大事故の報告を受けた自治体が外部の専門家による検証委員会を立ち上げ、原因の究明や再発防止策を提言する新たな制度も始まりました。
厚生労働省は今後、全国から寄せられる事故の検証結果を踏まえ、事故の再発防止を徹底していきたいとしています。
事業所内保育施設 整備の柱の1つに
保育所の空きを待っている待機児童は、去年10月の時点で全国で4万5000人余りと5年ぶりに増加に転じ、依然として都市部を中心に深刻な状態が続いています。
厚生労働省は平成29年度末までの5年間に保育の受け皿を50万人分整備する方針を示していて、認可保育所に加え、企業が従業員の子どもを預かるために設置する「事業所内保育施設」の整備を柱の1つに位置づけています。
待機児童の解消を目指し先月、政府がまとめた緊急対策では、小規模保育所の定員を増やすほか、国よりも厳しい定員基準を設けている市区町村に対し、子どもの受け入れの拡大を要請することが盛り込まれています。
これに対し、一部の保護者や保育士が保育の質の低下につながりかねないとして、11日、厚生労働省に対し、安心して子どもを預けられるよう対策の改善を求めています。
厚生労働省は平成29年度末までの5年間に保育の受け皿を50万人分整備する方針を示していて、認可保育所に加え、企業が従業員の子どもを預かるために設置する「事業所内保育施設」の整備を柱の1つに位置づけています。
待機児童の解消を目指し先月、政府がまとめた緊急対策では、小規模保育所の定員を増やすほか、国よりも厳しい定員基準を設けている市区町村に対し、子どもの受け入れの拡大を要請することが盛り込まれています。
これに対し、一部の保護者や保育士が保育の質の低下につながりかねないとして、11日、厚生労働省に対し、安心して子どもを預けられるよう対策の改善を求めています。