2016年4月12日(火)

三井不動産が「傾斜マンション」の謝罪会見をしない本当の理由

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PRESIDENT Online スペシャル

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実力者、岩沙会長から人心が離れつつある

三井不動産の実力者、岩沙弘道会長(73)が追い込まれつつある。子会社が販売した横浜市の大型マンションの傾斜問題でリーダーシップを発揮しないばかりか、責任を部下や受注者に押しつける責任逃れに終始しているためだ。3月末に横浜市に提出するはずの調査結果報告も3カ月以上遅れる始末で「いざという時に矢面に立たないならもはや老害」と社内からも人心が離れつつある。

ことの発端は2015年10月に遡る。横浜市のマンションのL字に接した建物の接合部で2センチの段差が生じていることに住民が気づいたのだ。調べたところマンション西棟の一部の基礎杭が地中の支持層にまで届かず、地中で浮いたままになっていることが分かった。

三井不動産のマンションは不動産業界のなかでもトップブランド。同じ立地で同じ仕様だとしても「他社よりも10~20%は高い値付けが可能」とされてきた。その三井ブランドのマンションの杭が設計通りに施工されておらず、住民の生命を脅かす状態になったわけだから驚き以外の何ものでもない。

ただ、ここで不思議なのは三井不動産サイドは報道陣向けの記者会見などをいっさい開いていないことだ。昨年11月、2015年4~9月期連結決算を発表する席上で常務執行役員の佐藤雅敏氏が形式上、「申し訳ない」と述べたほか、12月末、3月末の読売・日経新聞の単独取材で菰田正信社長が陳謝したものの、必ずしも積極的に謝罪する姿勢は示していない。

三井不動産の幹部は「事態がはっきりしない限りは、きちんとした対応がしづらい」と説明するが、本当にそうだろうか。そもそも3月末に提出するはずの報告書の締め切りを自ら踏み倒しておきながら「はっきりしない」とは、いったいどういうことか。本を正せば三井不動産のせいであり、それを理由に説明責任を果たせないとするのは本末転倒も甚だしい。

にも拘わらず、三井不動産の対応には最初から誠意は感じられない。徹頭徹尾、逃げ腰だ。不祥事発生の場合、最高責任者が即座に前面に出て事情を説明、対応するほうが下手に逃げ隠れするよりもダメージは少ない。メディア研究で定評のある三井不動産なら、そんな初歩的な「いろは」は百も承知のはずだ。しかし、木で鼻をくくったような対応を続ける背景には、恐らく岩沙会長の指示があると思われる。

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