「ワインボトルはセーフ」宅配実験スタート
千葉市の幕張新都心 20年までの実用化を目指す
小型無人機「ドローン」を利用した宅配サービスの実証実験が11日、千葉市の幕張新都心で始まった。国家戦略特区の規制緩和を活用した市と国、民間事業者の連携プロジェクトで、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までの実用化を目指す。物流コストや配達時間の削減などで近未来のライフスタイルを変えると期待される一方、安全面や制度面など実用化に課題も残る。
午前10時前、ワインボトル1本入りの籠を装着したドローンが商業施設の屋上(高さ約23メートル)を離陸し、10メートルほど上昇すると約150メートル先の公園に向け飛行を始めた。約2分で公園内の指定場所に無事着陸し、実験を見守っていた牧島かれん内閣府政務官がワインボトルに破損のないことを確認すると、関係者から歓声が上がった。
市の構想は、千葉県市川市の東京湾臨海部の物流倉庫からドローンで約10キロ離れた幕張新都心の集積所に荷物を運搬し、そこから別のドローンでマンションに宅配する。昨年12月に国家戦略特区に指定され、ドローンの新たな制度・規制改革を検討するため、3月には国や市、民間事業者でつくる分科会が設けられた。
ドローンを巡っては電波障害や鳥による襲撃、突風などさまざまな要因で落下の危険が付きまとう。昨年12月の改正航空法施行により、飛行は目視できる範囲に限られ、高さ150メートル以上や人口集中地区の上空は原則飛行禁止。分科会は今後、運航管理システムの構築や規制緩和についても検討を進める。
実験に先立って開かれた分科会の第1回会合で牧島政務官は「安全性と利便性を両立させながら特区ならではのスピード感で取り組みたい」と話した。【田ノ上達也】