[PR]

 国内外から多くの観光客が訪れる長崎市。この街の中心部に、みんなが使えるトイレが少ないのだという。トイレは「観光の基本」との声もあり、市や商店街などは対策に乗り出している。

 2月。長崎ランタンフェスティバルの期間中、市中心部・眼鏡橋近くのコンビニエンスストアにはトイレ待ちの行列ができていた。店によると、期間中は客が増えて売り上げも増すが、店内のトイレの混雑も深刻。クルーズ船の来港数増加もあり、ここ数年、ランタンフェスティバルの時期には慢性的に行列ができるようになったという。店長の男性(57)は「トイレ使用の全面禁止も考えたが、観光地の真ん中で、近くに公衆トイレも少ない」と困惑する。

 市管理の公衆トイレは約390カ所あるが、そのうち市中心部は26カ所。自由に出入りができて、気兼ねなくトイレを借りられるような大型の商業施設も市中心部に多くはない。

 公衆トイレの新設には場所も予算も必要。そこで市は昨年から、既存の民間トイレを活用しようと、市中心部の活性化策の一環で企業や商店に顧客以外の人にもトイレを開放するよう促している。改修には補助金を出しており、これまでに3カ所が応じた。

 JR長崎駅近くの十八銀行北支店(同市大黒町)は昨年6月から、1階トイレを窓口が開いている午前9時~午後3時に開放している。市の補助で便器を和式から洋式に替え、温水洗浄便座も設置。駅前にあるため、観光客だけでなく、サラリーマンや高齢の買い物客の利用も多いという。