ソウル=牧野愛博
2016年4月9日10時48分
米大統領選で共和党の候補者指名を争うトランプ氏が、日韓の核兵器保有容認や在韓米軍撤退を示唆する発言を続けていることに対し、韓国政府が警戒し始めた。かつて米国のアジア政策の変化に振り回された経験が背景にあるようだ。
韓国政府は従来、「米大統領選候補者の公約や発言にはコメントしない」との立場を貫いてきたが、トランプ氏の発言が米韓関係に及び、韓国メディアも騒ぎ始めた。韓国外交省報道官は5日、記者団からの質問に「米国の韓米同盟に対する党派を超えた支持はかつてないほど強固。大統領選の結果に関係なく韓米同盟は発展し続ける」と強調。各候補の陣営と接触し、韓国の外交政策への理解を訴える方針を示した。
韓民求(ハンミング)国防相も6日、記者団に対し、トランプ氏をめぐる米市民の反応について「我々の常識的な基準からみて破格で、熱狂的な人が多いという点に留意すべきだ」と語った。
韓国政府関係者は「核を保有しても、在韓米軍が撤退したら元も子もない」と語る。元政府高官は「トランプ氏が今回当選しなくても、似た候補は今後も出てくる。米国がアジアから退いていく可能性は依然、残る」と懸念を示した。
韓国は1970年、アジアの地域同盟国への更なる負担を求めたニクソン・ドクトリンなどによって対北朝鮮政策を修正。朴正熙(パクチョンヒ)政権が72年7月、南北の新しい統一原則を決めた「7・4共同声明」を北朝鮮と同時に発表するに至った。(ソウル=牧野愛博)
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朝日新聞国際報道部
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