TPP特別委 首相「交渉過程公表すれば成立せず」

TPP特別委 首相「交渉過程公表すれば成立せず」
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TPP=環太平洋パートナーシップ協定の国会承認を求める議案などを審議する衆議院の特別委員会で、政府の情報開示を巡って、民進党が交渉に関する資料はほとんどが黒塗りだと批判し、交渉過程を含め開示するよう求めたのに対し、安倍総理大臣は過程を公表すれば外交交渉は成立しないと反論したうえで、影響や対策などを丁寧に説明していく考えを示しました。
この中で、民進党の玉木国会対策副委員長は、政府が提出したTPP交渉の論点を記した資料のほとんどが黒塗りだったことについて、「ここまで黒塗りの情報は見たことがない。交渉が終わっても必要な情報が出てこないのでは、本当に国益にかなう交渉だったか判断できない」と批判し、交渉過程を含め情報を開示するよう求めました。
これに対し、安倍総理大臣は「交渉は妥結した結果がすべてであり、それに至る過程について、協議がすぐに表に出るようになれば、外交交渉はそもそも成立しない」と反論しました。そのうえで、安倍総理大臣は「アジア太平洋地域に、世界の4割のGDP=国内総生産の経済圏ができるわけであり、どのような影響があるのか、このチャンスをどのように生かしていくべきか、どのような対策を講じているかの説明をこれからも丁寧にしていきたい」と述べました。そして、安倍総理大臣は「黒塗りで出すような状況では審議に応じられない」と指摘されたのに対し、「どの国もこれから国会審議が始まるが、今までのやり取りを出してはいない。今までの交渉のやり取りを『出せ、出せ、出せ』と言われても、実りある審議にならない」と述べました。
また、安倍総理大臣は、交渉を担当した甘利前経済再生担当大臣の委員会への参考人招致を求められたのに対し、「交渉の担当者は甘利前大臣だが、後任の石原経済再生担当大臣が事務的にも引き継ぎ、答弁しており、甘利前大臣がここに出てきて答弁する必要はない」と述べました。
さらに、安倍総理大臣は、コメなどの農産物5項目を関税撤廃の例外とするとした国会の委員会決議について、「重要5項目を中心に約2割の関税撤廃の例外を確保し、関税割り当てなどを獲得しており、国会決議の趣旨に沿うものと評価していただけると考えている」と述べました。
このほか、安倍総理大臣は特別委員会の西川委員長について、「TPP交渉に関する著書を出版すると聞いたが、守秘義務違反に当たらないのか」と質問されたのに対し、「西川委員長が本を出すのは、初めて知ったところであり、答えを差し控えたい。当然、今までの過程について交渉に携わったものは、守秘義務に関わってくる」と述べました。
一方、TPP政府対策本部の渋谷内閣審議官は、交渉に関する資料について、「甘利前大臣とフロマン通商代表が閣僚会合を行った記録、重要5項目や自動車を閣僚レベルで議論した論点などについて記載した文章は、内閣官房では記録も保有もしていない」と述べました。