小学生だった頃、僕はおばあちゃんの家によく遊びに行っていた。
自宅から歩いて10分くらいだから、学校帰りとか休みの日に行って、おばあちゃんとよく遊んでた。夏休みには一緒にアサガオを育てたり。僕はおばあちゃん子だった。
その頃、おばあちゃんの家には必ず、サクマドロップスが置いてあった。
知っていますか?サクマドロップ。
緑の缶に、色んな味の飴が入ってるの。昔ながらの、素朴な味。
おばあちゃん家に着いて、まず飴をパクッッ。
「一日一個だけだよ」とおばあちゃんに言われ、僕は一日一個、たまにこっそり二個食べた。僕のお気に入りはレモン味。
そして、一番嫌いなのはハッカ。
食べ物なのに、スースーする。スースーなんてはみがきだけで充分。なぜ大人はそこまで清涼感を求めるのだろう。大人の世界は、フシギだっ。
そんなこんなで、僕は嫌いなハッカだけ食べない。
だから、中の飴が少なくなると、缶の中にはハッカ味ばかりが残った。
「ハッカは美味しくないからおばあちゃん食べてっ!」
といって無理やりおばあちゃんに食べてもらって、新しいサクマドロップスを買ってもらう。
おばあちゃん、口の中だいぶスースーしてただろう。ごめん。
先日、久々にサクマドロップスを買った。たぶん、15年ぶりぐらに食べる。
レモン味。うまい。いちご。うまい。オレンジ。うまい。
ハッカ。
うまい!
あの頃は不味くておばあちゃんに押し付けてたハッカ味。
美味い。
もしかしたら一番好きかも、というくらいに、
美味い。
どうしようもなく嫌だったスースーが、
美味い。
むしろ、人工的な味がするメロンやいちごなんかより、よっぽど自然な味で美味しい。
僕は、大人になった。
かも。
以上!また見てね!
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