取締役会で社長退任案否決
セブン&アイ・ホールディングス(HD)は7日午前に取締役会を開き、中核子会社でコンビニエンスストア事業を手がけるセブン−イレブン・ジャパンの井阪隆一社長(58)を交代させる人事案を否決した。セブン&アイの鈴木敏文会長は社長交代を求めていたが、異例の人事案否決でグループ内の求心力が低下しそうだ。
人事案は井阪氏の後任に古屋一樹取締役執行役員副社長(66)を昇格させ、井阪氏はHDの取締役も退任するという内容。HDの取締役会には鈴木会長や村田紀敏社長のほか、続投に意欲をみせる井阪氏本人も含む社内11人と、社外取締役4人の計15人が出席して開かれたが、反対が多数だった。
人事案は、HDが3月に取締役選任の客観性や透明性を高めようと設置した指名・報酬委員会に示され、議論してきた。しかし、井阪氏は2009年の就任以降、積極的な出店などで好業績に導いた功績が評価されており、社外取締役の2委員は交代に反対するなど意見はまとまらなかった。
また、HDの大株主で「物言う株主」として知られる米ヘッジファンドのサード・ポイントが社長交代に反対を表明。さらにHDに書面で「鈴木会長が次男の康弘氏(51)をやがてはHDトップに就ける道筋を開くため」という趣旨の批判をしたことで、グループ内の人事・後継問題がクローズアップされた。社長交代案が否決されたことで、社内に大きなしこりを残すことになりそうだ。【浜中慎哉】