盛岡である。今年になって初めて盛岡での宿泊。
駅前からは少し離れている。多分歩くと15~20分くらいは掛かるだろう。
雪の中を店に向かう。
2月の4週だった。
丁度ホテルにチェック・インして出掛ける頃に少し雪がちらついていた。
今回はこの店の近くが宿泊先だったので、それほど歩くこともなく店に到着する。
ここら辺りは、古くから飲食店が集中している一角のようだ。
桜山神社向かいの参道に小さな店舗が隣接している。
元々は終戦後の引揚者がバラック小屋が始まりだったらしい。
店構えは少しばかり古い印象を受けるが中はきれいなものだ。
入るとまず暖かそうなストーブが迎えてくれる。
両側には木製のベンチがあって、あれこれ雑誌などが沢山置かれている。
照明は明るい。昼間は『かまどのある家』ということでランチもやっている。
小上がりとカウンター席が6席ほどでさほど広くはない。2Fにも席があるようだ。
今回は1人だったのでカウンターの1番右隅に座らせて頂く。他に客はまだいない。
雑然としているがなかなか雰囲気は悪くない。そしてカウンターは奥行きが結構ある。
これくらいあるとゆったりした気持ちになれて心地良い。
まずは盛岡の地ビール、『ベアレン・クラシック』を注文。
いつものようにビールを注文する。今回は地ビール。
盛岡市の『ベアレン醸造所』で創業時から造られている『ベアレン・クラシック』。
昨年の今頃『世界に伝えたい日本のクラフトビール』コンテストというのが開かれた 。そこで200余りある国内ビール醸造所の中から見事グランプリを獲得したものらしい。
このコンテストはいわゆる外国人記者クラブ主催のビールのコンペティション。
最終選考の中で唯一のラガ―ビール。他のエールビールを抑えてトップとなったもの。
さて呑みます、食べます。
お通しが出てくる。お通しってこういう店だと楽しみだ。どんなものが出てくるのか。
その味は果たしてその後の料理を期待させてくれるものなのかどうか。
そして出てきたのがこちら。三品あって、どれもこれも見た目でまず美味しそう。
そして口に入れれば期待通りの旨さで嬉しくなる。
ビールはなかなか呑み易く料理の邪魔をしないもので美味しく頂いたので、
次は日本酒に切り替える。
やはりここは岩手の地酒を呑まないとね。メニューがイラストになっていて良い感じ。
お水も一緒に出して下さる。その水、ただの水ではない。
このお酒の仕込水。『南部美人 折爪馬仙峡 伏流水 中硬水』。
料理は何にしよう?メニューにはそそられるものが沢山。
多分この後もう1軒行くことになることも考え組み立てる。
選んだ一品は、『どんこと鯵のなめろう』。
1種類ではなくて、しかも1つはどんこというのが嬉しい。
そしてあれば必ずいつも注文する『ほや』。
『冬のほや お刺身』。
次のお酒は『芳梅 純米吟醸 火入れ原酒』。
燗上がりするお酒らしいが燗にはせず頂く。
ゆっくり飲みながら、時々盛岡駅にある書店で買ってきた本を読みながら
居心地の良い時間が過ぎて行く。
最後にもう一品頂こう。
中華蒸パン付きの『短角牛と三元豚のどて煮込み』。
短角牛スジ、豚カシラ、ガツ、タン、ケッカンなどなど・・・
愛知・豊橋の昔豆味噌でやわらかく煮込みました。、というもの。
味噌の甘み、肉の旨みが溶け合って最高!
とメニューで自画自賛するだけのことはある美味しさ。これはイケる。
そろそろもう1軒の店に行きますか。このまま呑んでいたい気もするけど。
でも久しぶりの盛岡、あの店にも行かないとね、というわけでお勘定。
呑んで食べた後の主観的感想。
何だかとっても良い。そう感じさせてくれるお店。
『何だか』であって、『こうだから』ではない。具体的には言い表せない。
間違いがないのは料理は美味しく、地酒もそこそこ揃っていること。
そして居心地がすこぶる良いこと。
多分カウンター以外に小上がりが1つだけしか1Fにないことも大きいんだろう。
空間が居心地を良くしてくれる。
メニューにはまだまだ食べたいものが結構あった。
こういう時、1人呑みは残念だな、って思うことがある。
でも何にも邪魔されず話さず、
ただただボーっと過ごせるんだからそれはそれで。
農薬を一切使わない合鴨農法でつくった武田家のお米を、
かまどで炊き上げて握った塩むすびは食べたかったな、と思いながら次に向かう。
(2016年2月4W訪問)
今回伺ったお店の情報
MASS (居酒屋 / 上盛岡駅、盛岡駅、仙北町駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0