認知症の妻殺害事件 最近1か月は夫からの相談なし
5日、兵庫県加東市で認知症の79歳の妻を殺害したとして、82歳の夫が逮捕された事件で、夫から市にたびたび寄せられていた妻の介護の相談が、この1か月間は1度もなかったことが、市への取材で分かりました。夫は、ほとんどの介護を1人で行っていたということで、警察が、詳しい状況を調べています。
5日午後、兵庫県加東市長貞の住宅で、この家に住む八尾正乃さん(79)が、ベッドの上でぐったりしているのが見つかり、その後、死亡が確認されました。警察は、夫の八尾嘉明容疑者(82)が首を絞めて殺害したとして、6日朝、殺人の疑いで逮捕しました。警察によりますと、容疑を認め、「認知症の妻の介護に疲れ、殺した」などと供述しているということです。
警察によりますと、正乃さんは認知症ではいかいなどを繰り返していて、八尾容疑者が、ほとんどの介護を、ヘルパーの支援を得ながら、1人で行っていたということです。
平成21年7月以降、八尾容疑者などから市に、介護についての相談が34回寄せられていましたが、先月4日以降は、1度も相談がなかったことが、市への取材で分かりました。正乃さんは、先月、骨折の治療を終えて自宅に戻ったあとは寝たきりになり、介護の負担が増えていたとみられています。
また、長男は、「母親の認知症の症状が、1週間ほど前から悪化していた」と話しているということです。警察が、正乃さんが退院したあとの介護の状況を調べています。
警察によりますと、正乃さんは認知症ではいかいなどを繰り返していて、八尾容疑者が、ほとんどの介護を、ヘルパーの支援を得ながら、1人で行っていたということです。
平成21年7月以降、八尾容疑者などから市に、介護についての相談が34回寄せられていましたが、先月4日以降は、1度も相談がなかったことが、市への取材で分かりました。正乃さんは、先月、骨折の治療を終えて自宅に戻ったあとは寝たきりになり、介護の負担が増えていたとみられています。
また、長男は、「母親の認知症の症状が、1週間ほど前から悪化していた」と話しているということです。警察が、正乃さんが退院したあとの介護の状況を調べています。
“介護殺人”全国で相次ぐ
家族などの介護や看病の疲れが原因の殺人事件は、全国で相次いで起きています。警察庁によりますと、去年1年間に、介護や看病の疲れが原因で介護をしていた家族などを殺害した事件は、未遂も含めて全国で44件に上っていて、実際に殺害されたのは29件でした。
今回、兵庫県で起きた事件のように、逮捕された容疑者が、男性だった事件は、34件と女性の3倍以上になっているほか、65歳以上の高齢者は26件で、全体のおよそ60%を占めています。
こうした事件は、ことしに入ってからも相次いでいて、2月には、埼玉県の住宅で、無理心中を図ろうと77歳の妻を殺害したとして、83歳の夫が逮捕されました。夫は、その後食事をとることを拒み続け、入院していた病院で死亡しました。
警察によりますと、夫は調べに対して「認知症の妻の介護に疲れ、無理心中を図った」などと話していたということです。同じ2月には、鳥取市の住宅で82歳の男性が、首を絞められて殺害され、介護をしていた当時76歳の妻が、逮捕・起訴されています。
今回、兵庫県で起きた事件のように、逮捕された容疑者が、男性だった事件は、34件と女性の3倍以上になっているほか、65歳以上の高齢者は26件で、全体のおよそ60%を占めています。
こうした事件は、ことしに入ってからも相次いでいて、2月には、埼玉県の住宅で、無理心中を図ろうと77歳の妻を殺害したとして、83歳の夫が逮捕されました。夫は、その後食事をとることを拒み続け、入院していた病院で死亡しました。
警察によりますと、夫は調べに対して「認知症の妻の介護に疲れ、無理心中を図った」などと話していたということです。同じ2月には、鳥取市の住宅で82歳の男性が、首を絞められて殺害され、介護をしていた当時76歳の妻が、逮捕・起訴されています。
「施設入所も視野に入れた支援が必要」
介護疲れによる殺人事件が全国で相次いでいることについて、介護の問題に詳しい日本大学文理学部の山田祐子教授は「重い介護の負担に耐えられず、事件が表面化するケースが目立つようになってきている」としたうえで、「特に男性は、地域の人や介護の専門職の手を借りるのが苦手である傾向が強く、責任感から問題を1人で抱え込み事件に至ることが多い」と指摘しています。そのうえで、山田教授は、「国は、在宅での介護を進めてきたが、対応が難しいケースもあり、施設への入所も視野に入れた支援が必要だ」と話しています。