成立…駅・商業施設に投票所 今夏参院選から
国政選挙や地方選挙の投票日に、駅やショッピングセンターなどの「共通投票所」で投票できるようにする改正公職選挙法が6日午前、参院本会議で自民、民進、公明党などの賛成多数で可決、成立した。6月19日に施行され、選挙権年齢の18歳以上への引き下げとともに、国政選挙では夏の参院選から適用される見通しだ。
期日前、時間延長も
現行制度では、有権者は投票日に近所の学校や公民館など選挙管理委員会が指定した一つの投票所でしか投票できない。改正法施行後は、駅や大型商業施設など多くの人が集まり利便性が高い場所に、自治体の判断で共通投票所を設置することが可能になる。その自治体に住む有権者は、指定の投票所か共通投票所のどちらかで投票する。必要があれば自治体の区域外に共通投票所を置くことも認める。衆院選で、一つの市が複数の小選挙区に分かれている場合、有権者は同じ共通投票所で投票できる。何カ所設けるかは自治体が決める。
自治体は各投票所を通信回線で結び、二重投票などの不正やミスを防止する。共通投票所は期日前投票では既に認められており、各地の大学などに開設された例がある。
期日前投票について原則午前8時半から午後8時までの投票時間を、各自治体が最長で午前6時半から午後10時まで広げることを認める。
有権者が投票所に連れて行くことができるのは現在、幼児と「やむを得ない事情があると投票管理者が認めた者」に限られているが、18歳未満の同伴を可能にする。こうした一連の制度改正には、有権者が投票しやすい環境を整え、投票率の向上につなげる狙いがある。主権者教育の効果も期待されている。
選挙の際、聴覚障害者に筆記で候補者らの発言を説明する「要約筆記者」への報酬支払い解禁や、洋上投票の要件緩和を盛り込んだ別の改正公選法も6日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。政府提出の改正法とは別に、衆院特別委員会の委員長提案として3月30日に国会に提出されていた。
手話通訳者への報酬支払いは既に認められているが、要約筆記者にも認めることで、障害者の投票参加をさらに促す。
洋上投票は従来、投票者のほかに管理者と立会人が乗船している必要があったが、改正によって、管理者らがいなくてもファクスで投票が可能になる。【水脇友輔】
改正公職選挙法のポイント
・自治体に住む有権者が誰でも投票できる「共通投票所」を駅などに設置
・期日前投票で最大2時間、開始時刻の前倒しや終了時刻の延長が可能に
・投票所に同行できる子どもを「幼児」から「18歳未満」に拡大
・聴覚障害者に筆記で発言を説明する要約筆記者への報酬支払いを解禁※
※は議員立法による別の法改正