川内原発運転停止の仮処分の申し立て退ける決定

川内原発運転停止の仮処分の申し立て退ける決定
鹿児島県にある川内原子力発電所1号機と2号機の運転停止を求めている住民の仮処分の申し立てについて、福岡高等裁判所宮崎支部は「新しい規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理とは言えない」として、退ける決定を出しました。
鹿児島県にある九州電力川内原発の1号機と2号機について、鹿児島県や熊本県などの住民12人は運転の停止を求める仮処分を申し立て、去年4月、鹿児島地方裁判所が退けたため、福岡高等裁判所宮崎支部に抗告していました。
これまでに、住民側は「原発周辺で起こりうる地震の揺れが過小に評価され、火山の巨大噴火によっても深刻な事故が起きるおそれがある」などと主張していました。
これについて福岡高等裁判所宮崎支部は、「新しい規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理とは言えない」などと指摘して、住民側の申し立てを退ける決定を出しました。
川内原発は、福島第一原発の事故後に作られた新しい規制基準の下で、全国で初めて1号機が去年8月に再稼働し、2号機も去年10月に再稼働しています。
原発を巡る仮処分では、先月、大津地方裁判所が、稼働中の原発としては初めて、福井県にある高浜原子力発電所の3号機と4号機の運転停止を命じましたが、裁判所の判断が分かれる結果になりました。

分かれる裁判所の判断

原子力発電所を運転させないよう求める裁判所への申し立ては、5年前の原発事故をきっかけに全国で相次いでいて、裁判所の判断は分かれています。
原子力発電所を巡る裁判は昭和40年代後半から起こされていますが、5年前に福島第一原発の事故が起きると、改めて安全性を問う動きが広がりました。
住民などのグループの弁護団によりますと、全国の裁判所に申し立てられた仮処分や集団訴訟は現在およそ30件に上っているということです。
このうち、福井地方裁判所では去年、高浜原発3号機と4号機の再稼働を認めない決定が出たのに対して、別の裁判長が関西電力の異議を認めて、この決定を取り消しました。一方、同じ高浜原発3号機と4号機について、大津地方裁判所は先月、運転の停止を命じる仮処分の決定を出し、関西電力が異議を申し立てています。
川内原発1号機と2号機については、去年、鹿児島地方裁判所が住民の申し立てを退け、6日の決定で福岡高等裁判所宮崎支部も申し立てを認めませんでした。
今後も各地で原発の再稼働に向けた手続きが進むなか、運転させないよう求める申し立ても増えるとみられ、司法の判断が注目されます。