ユーザーが育てていくカメラ

リコーイメージング・PENTAX K-1+smc PENTAX-A 15mmF3.5

 PENTAX K-1はとても「感じの良い」カメラだ、ほんと。

 そりゃあ、言うまでもないが完全完璧100%のカメラではない。しかし、キヤノンのカメラで感じる「そっけなさ」がない。ニコンのカメラように「威張ったところ」もない。ソニーのカメラのように「お金持ち大歓迎的」なところもない。
 K-1には"写真的庶民"にそっと寄り添ってくれるような暖かさと優しさが感じられる(ぼくの勝手な感想ではありますが)。
 秀才三羽がらすのニコン、キヤノン、ソニーにはない(欠けている)、もう1つの大切なカメラの魅力がK-1にはあるようだ。




 AFが遅いっ、AFがウルさいッ、と皆さんPENTAXのカメラに文句を言う。K-1も同じようにそれについてボロかすに言うのを何度も聞いたし見たこともある。面と向かってそんな苦情を言われているリコーイメージングのカメラ開発担当者が、「…すみません、がんばります…」と消え入りそうな声で頭を下げている。
 キヤノンのAFのようにツーンッと目から鼻に抜けるような高速AFではないのは確かだが、そんなにボロかすに言うほどヒドくはないと思う。決して速いAFではないのはぼくでもわかるけど、でもピントをハズすことはめったにない ━━ と、言い切ると、そうじゃないぞ、と反発する人もいるだろうなあ。

 長年待ち続けたフルサイズ判デジタル一眼レフカメラなのに対応レンズ(FAレンズ)が少ないじゃないか、とレンズラインナップの貧弱さにクレームをつけている人もいた。その立腹はもっともだとは思う。でも、ない袖は振れない。リコーイメージングもそこは百も承知千も合点のことで、だから平身低頭し続けているではないか。
 足らざるところはフィルム時代の古いKマントレンズをだましだまし使うか、ややイレギュラーな使用方法だが、APS-Cサイズ判用のDAレンズの中にK-1のフルサイズ判をカバーするレンズが幾本かあるので、とりあえずはそれで「場つなぎ」するしかない。

 ユーザーと一緒になって育てていく、K-1は母性本能をくすぐるそんなカメラのような気もしないでもない。
 僭越なことだけど、ぼくはこれからも応援していくつもりだ。でないと、一眼レフカメラのメーカーはニコンとキヤノンだけになってしまうではないか。