あらすじ
すみれ(桐谷美玲)は真白(町田啓太)からプロポーズされるが、
夜になると70歳の澄(松坂慶子)になってしまうため、辞退する。
真白は「黎(及川光博)さんなら、すみれのそばにいられるの?」と言うが、
すみれは黎のことを恩人だと言った。
帰宅すると家に灯りがついているので、黎が戻っているかと思いきや、
彼の婚約者の雪白(小西真奈美)が訪ねて来ていた。
雪白は黎のことをすみれに話した。
彼の居場所について知っていたが、なぜか口止めされていたという。
しかし、再会できたのは「その時が来たから」と意味深に語った。
そして、すみれが真白のプロポーズを断ったことを知ると、
「あんたは自分の気持ちから逃げた」と言った。
そんなある日。
すみれの自宅にやってきた。
すみれが茶菓子を用意している間、
天野と慶和は別室で屏風を眺めていた。
すると、何か黒い渦のようなものが浮かんで消えたと慶和が言う。
天野はすみれに体調の変化や屏風について尋ねるが、
すみれはどちらも変わりはないと答えた。
それでも天野はすみれに、
「何かあったら遠慮なくおっしゃってください」と言うのだった。
すみれは映画会社で忙しく働いていた。
今回の仕事は、大女優の宮城マリナ(伊藤かずえ)を制作発表に呼ぶことだった。
マリナは気位の高い女性で、わがままを通す性格だった。
愛飲しているカモミールティーがないと文句を言い、
すみれは上司から、近くのスーパーに買いに行くよう言われる。
ところが、急に70歳の澄の姿に戻ってしまった。
どうしたものかと困惑していると、何処からか黎がやってきて、
すみれのピンチを救ってくれた。
そして、何故すみれのもとを離れたのか語りはじめた。
5年前、すみれに残りの生気を全部与えた黎は、
霊力が弱まり、屏風の呪縛に対抗することができなかった。
すみれの自宅にいれば、黎は屏風の中に閉じ込められ、
せっかく若返らせた彼女を再び元に戻してしまう。
そのため、すみれの幸せを願う黎は、あえて彼女のもとを離れたのだった。
黎の化け猫としての力が弱まったことで、
すみれは一定の時間以外にも、70歳の澄に戻る現象が起きているのだ。
そんななか。
すみれは友人の千明(秋元才加)からメールをもらい、
椿丘大学のゼミ仲間との飲み会に誘われる。
一方で、黎は密かに真白と会っていた。
黎は真白がすみれに求婚したことに礼を述べながら、
5年前に真白が「すみれさんのこと、本当に大事に思ってますから」と、
誓っていたことを語る。
だが、真白はすみれと離れてしまった。
このことで黎は、5年前の約束が守られていないというが、
真白は「今は違う。一生かけてすみれさんを守りたい」と答えた。
黎はすみれが70歳の姿になっても、その気持ちは変わらないかと念を押した。
その頃すみれは、先日の失敗をマリナに詫びたが、
彼女は不機嫌のままだった。
すると、はずみでマリナがコーヒーをスカートにこぼしてしまい、
すみれは上手に染み抜きをしてみせる。
感心したマリナに手土産のカステラを差し出すが、
それは彼女の大好物だった。
このことでマリナの信頼を得たすみれは、
「若いのに母のような感じがする」と言われるのだった。
すみれの活躍で、マリナは映画の制作発表に出ることになった。
飲み会の当日になった。
互いの仕事のことや近況などを語って、話に花が咲くが、
辻井が思わず、真白が見合いすることを明かしてしまった。
動揺するすみれを、かつての恋敵だった亜梨紗が励ました。
帰宅すると、隣人の富子(高橋ひとみ)が訪ねてきていた。
しかし、猫魂が抜けて70歳の澄に戻ってしまう。
真相を知らない富子は、澄との5年ぶりの再会を喜び、
「私も、来年は60歳だから茶飲み友達になりたい」と言った。
翌日、仕事場に向かったすみれは、
マリナに「大事な用があるんじゃないの?」と言われる。
実は真白の見合いの日だったのだ。
すみれが逡巡していると、黎と雪白が連れ立って現れ、
本当の気持ちについて問いただす。
「大切な人を失いたくない」
そう気づいたすみれは、思い切った行動に出るのだった-。
感想
如月澄、70歳。
私には、ほかの誰も経験することのできない「若返りの奇跡」が起きました。
でも、それ以上の本当の奇跡は、
たくさんの人と出会い、人生を前向きにやり直す勇気を持てたこと。
そして、こんな私のすべてを受け入れて、
これからの人生をともに歩んでくれる人と出会えたこと-
本当に感動の最終回でしたね。
最初から最後まで涙が止まりませんでした。
すみれが真白のプロポーズを断って、一時はどうなることかと思いましたが、
周囲の人たちの応援で、前に進むことができました。
マリナ「あなたって面白い人ね。話してるとなんだかホッとする」
すみれは女性から見ても癒し系なんですね。
真白は彼女の芯の強さも知っていますから、生涯の伴侶に選んだんです。
でも、その決断にいたるまでには、双方ともに大きな戸惑いがありました。
すみれ「今でも私は、夜の11時には元の姿に戻っちゃうんです。
本当の私はもう、70歳のおばあちゃんなんですよ。
真白くんが全部受け入れてくれたとしても 、きっと、私が耐えられなくなる。
普通の20代の女性じゃない自分なんかが、
真白くんと一緒にいちゃいけないって・・・」
真白「俺、気づいたんです。この5年で。
彼女が俺にとって、どれほど大きい存在だったかって。
俺、すみれのこと、全部受け止める。
一生守って行きたいって、心から思ってますから」
黎「もし、すみれ様がもとの70歳の姿に戻り、
二度と若返ることができなくなったとしても、同じことが言えますか?」
真白「えっ・・・?」
でも、そんな2人を励ます存在がありました。
亜梨紗「如月さん、まだ真白くんのこと、好きなんでしょ?」
すみれ「えっ?」
亜梨紗「25にもなって、自分の気持ちもちゃんと伝えられないなんて・・・めっ!」
すみれ「・・・!」
亜梨紗「5年前のお返し」
すみれ「幸坂さん・・・」
千明「かっこいいよ、亜梨紗」
亜梨紗「まあね、飲みなおそう」
亜梨紗は大学時代、真白のことが好きだったのですみれに意地悪しましたが、
5年経ったいまは吹っ切れて、新しい人生を歩んでいるんですね。
過去の経緯を水に流して、応援する姿は清々しいと思いました。
黎と雪白の化け猫コンビも、弱気だったすみれを勇気づけました。
黎「70歳のあなただからこそ、あの女優の心をつかむことができた。
次は自分自身の気持ちに正直に向き合う番なのではありませんか?」
すみれ「え?」
黎「真白様の想いに本当はどうお答えしたいのか」
すみれ「でも、もう手遅れです。真白くんは今ごろ・・・」
雪白がすみれの近くに歩いて来る。
すみれ「雪白さんまで・・・!」
雪白「これ、勇征が見合いしてる場所」
雪白、料亭の住所が書かれた紙をすみれに渡す。
雪白「ウジウジしとらんと、はっきりしいや!止めるなら今やで」
すみれ「でも、私が行ったところで・・・」
黎「すみれ様!あなたが本当に、好きで好きでたまらないのは誰ですか?」
すみれ「それは・・・」
すみれの脳裏に真白との想い出が次々に蘇える。
すみれ「私は・・・私は、真白くんが好きです!」
黎「ならば、あなたにかける言葉はひとつ」
すみれ「・・・」
黎「70なら、70の老婆らしく、胸を張って厚かましく生きろ!」
雪白「きばりや、すみれ!大丈夫、いまならきっと間に合うって!」
2人に後押しされたすみれは、真白が見合いしている席に乗り込み、
彼を連れ出すことに成功します。
まるで「卒業」の映画のようだと言ってました。
でも、若返りのタイムリミットが来てしまい、
澄の姿のままだったんですが。
澄「・・・もう、すみれには戻れない?えっ?じゃあ、黎さんはどうなるんですか?」
黎「再び、屏風の中に封印されることでしょう」
澄「ああ・・・そんな」
黎「さあ、私と一緒に帰りましょう」
澄「ああ、そうだったんですね・・・最後の最後に迷惑かけてごめんなさい。
でも私、どうしても真白くんに気持ちを伝えたかった・・・
年齢なんて気にせずに、ただ自分の気持ちを真っ直ぐに。
あなたと出会って、私、たくさんの宝物をもらったんです。
私が65年間持っていなかった喜びも切なさも、ドキドキする気持ちも、それから勇気も。
何もかも、あなたが私にくれた。真白くん、私・・・あなたのことを愛してます。
心から、この世の中でいちばん。もう充分。これで満足です」
澄「行きましょう。黎さん」
真白「待ってくれよ!彼女は行かせない」
黎「真白様・・・」
澄「何、言ってるんですか。聞いたでしょ。
私もうずっと、おばあちゃんのままなんですよ」
真白「澄でもすみれでも、一緒にいられるなら、俺はどっちでもいい。
君の中の70年間も、俺と一緒に過ごした時間も、
これから一緒に過ごす時間も、一生大事にする」
真白、婚約指輪を澄に見せる。
澄「嘘!(驚く)」
黎「・・・なんと」
真白「すみれ。如月澄さん」
澄「はい(涙声で)」
真白「俺も、あなたのことを愛しています。心から。この世の中でいちばん」
澄「・・・」
真白「僕と結婚してください」
澄「そんな風に言ってもらって・・・ありがとう、真白くん。
ありがとう・・・良かった、私、生まれてきて、本当に良かった・・・」
空の彼方から猫玉が飛んできて、澄の中に入る。
澄はすみれの姿に変わる。
黎「これは・・・!」
すみれ「真白くん、私・・・」
黎「契約が成就したようです。
如月澄が私と交わした【人生をやり直したいという願い】は、いま、叶いました」
真白「すみれ、愛してる」
すみれ「私もです、私も、真白くんのこと愛してます」
黎「この先、猫玉が飛び出して、70歳の姿に戻ることはいっさいありません。
これからは、25歳の女性として、人生を歩んでいってください」
私は最終回で真白くんがおじいちゃんになるとか、
あるいは黎さんと同化してすみれと結婚すると思ってましたが、
完全なる若返りが実現したんですね。
すごい奇跡じゃないですか!
そして、このことによって黎と雪白の「屏風の呪い」は解け、
2人は晴れて夫婦となりました。
雪白は何百年も前から黎のことが好きだったようです。
しかし、彼らが封印されていた理由は、ずっと謎のままでした。
ここでちょっと余談を。
私の飼い猫あんのんはキジトラ白なんですが、
彼の祖母は「雪のように白い」と言われていた猫ちゃんでした。
あんのんが1歳のときに老衰で亡くなりましたが、
とても可愛かった子です。
ずっとスミカスミレを観ていて、
私は黎と雪白のことを、脳内変換であんのんの祖父母だと思っていました。
ちなみに、あんのんの母親は黒と白のぶち猫です。
彼女が白のないトラネコと結婚して生まれたのが、
わが愛猫なんですよ。
本当の愛情というのは、年の差も種族も越えるのだと、
しみじみ思いましたね。
素晴らしいコンセプトとシナリオでした。
最後に天野住職がすみれに贈った言葉を載せて、
このレビューを終わりたいと思います。
天野住職「澄さん、いや、すみれさん。
この先は二度とやり直しはききませんよ。どうか、後悔のない人生を送ってください」
拙い感想を読んでいただき、本当にありがとうございました。
(了)
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