3割に「留学」などの在留資格
15年1年間の7586人中 就労目的急増か
昨年1年間に日本で難民認定申請をした7586人の3割近くが「留学」か「技能実習」の在留資格を持っており、いずれもこの5年間で約20倍に急増したことが、法務省のまとめで分かった。難民認定申請者は5年連続で最多を更新したが、認定者は27人(前年比16人増)にとどまっており、専門家は「救済されるべき難民の審査の遅れにつながっているおそれがある」と指摘している。
「留学」の在留資格を持つ申請者は、2011年に71人だったが、昨年は1413人に増加。国別ではネパール、ベトナム、ミャンマーの順で多く、この3カ国で9割を超えた。「技能実習」も11年の33人から昨年は731人となり、ミャンマー、ベトナム、ネパールの上位3カ国で8割を超えている。
10年以降、在留資格がある人は申請から半年を過ぎると就労が認められるようになった。再申請を繰り返せば働き続けられるため、就労目的の申請が増加しているとみられ、法務省は昨年9月に運用を一部見直した。
難民問題に詳しい認定NPO法人「国連UNHCR協会」の滝沢三郎理事長は「申請者の急増は審査時間の長期化に直結しており、結果的に被害を受けるのは本当に救済されるべき難民だ」と指摘。人道上の配慮で79人(同31人減)の在留を認めたことを評価しつつ、「国際社会の一員として(日本が難民とは認めない)紛争難民も受け入れるべきだ」と話した。【和田武士】