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女児帰宅、学校に過失 仙台地裁、市に賠償命令

東日本大震災で被災した野蒜小学校=宮城県東松島市で2015年12月20日、本社ヘリから佐々木順一撮影

 東日本大震災発生後に宮城県東松島市の市立野蒜(のびる)小学校体育館に避難し津波にのまれた住民2人と、学校側の判断で帰宅し死亡した小学3年の女子児童(当時9歳)の遺族が市に計約5300万円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁は24日、女子児童の遺族に対し、請求通り約2660万円を支払うよう市に命じる一部勝訴の判決を言い渡した。大嶋洋志裁判長は「女児の自宅は学校より海寄りで、津波に巻き込まれるのは予見できた」と指摘した。

     震災の津波被災を巡り、学校や企業、施設の管理責任を問う訴訟は仙台、盛岡両地裁で少なくとも15件起こされているが、行政の賠償責任を認定したのは初めて。同県石巻市の私立日和幼稚園の送迎バスで園児が巻き込まれた訴訟の仙台地裁判決(2013年9月)=14年12月に仙台高裁で和解成立、同県山元町の常磐山元自動車学校で教習生ら26人が犠牲になった訴訟の仙台地裁判決(15年1月)=控訴中=に続く3件目の原告側勝訴となった。

     判決によると、野蒜地区の住民らは震災後、海から約1.3キロ離れ、指定避難場所だった野蒜小の体育館に避難した。体育館はその後、床面から高さ2.9メートルの津波に襲われ少なくとも住民ら13人が死亡した。

     大嶋裁判長は野蒜小が当時、津波の浸水予測区域の外にあったことなどから、「校長は予測区域を越えて体育館にまで津波が来るとは予想できなかった」と判断した。一方、女子児童については、担任教諭が同級生の保護者の申し出を受け、体育館で引き渡し、海側の自宅前で車から降ろされた後、津波で死亡したと認定。大嶋裁判長は、「帰宅には予測区域を通らなければならず、生命に危険が及ぶと具体的に予見できた。校長は地震や津波の情報収集を怠った」と注意義務違反を認めた。

     野蒜地区は津波で住民の1割を超える509人が死亡、6人が行方不明となった。市の調査によると、体育館には住民と児童ら約340人が避難していた。児童は体育館内では全員無事だったが、自宅などで9人が犠牲になった。東松島市は「判決の詳細を把握後、改めてコメントしたい」としている。【伊藤直孝、本橋敦子】

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