雇用・失業保険活用術の最新版の本を購入しましたところ、雇用・失業手当の延長手続き方法や平成26年4月改正の内容が、非常に有益でしたので、紹介します。
目次
雇用保険法 平成26年4月改正の概要
著者によれば、平成26年4月法改正は、大盤振る舞いだそうです。失業率が大きく低下し、失業手当の受給者が激減しており、雇用保険財政は平成25年度末で「6兆円という空前の積立金残高」を維持しているため、使い道に困っていたのではないかと思える程と(ちなみに10年前は底をつく危機に直面していたという)。
雇用保険法 平成26年4月改正の目玉「就業促進定着手当」
まずはなんといっても、今回新たに創設された就業促進定着手当です。今までは、早期再就職(給付日3分の1以上残して就職)すると支給残日数の50%(3分の2以上なら60%)が支給される「再就職手当」という雇用・失業手当のみでした(詳しくは後述)。
しかし、再就職して半年後に就業促進定着手当も今回から受給できるようになったというのです。基本手当と再就職手当に加えての就業促進定着手当です。確かにこれは大盤振る舞いですね。
対象者
1.平成26年4月以降の対象者で再就職手当受給者
2.再就職日から同じ事業所に6ヶ月以上雇用保険の被保険者
3.再就職後6ヶ月の間の賃金日額が離職前の賃金日額より低い
支給額
(離職前の賃金日額−再就職後の賃金日額)×再就職後6ヶ月間の支払基礎日数(支給残日数の40%が上限)
早期就職すると受給できる「再就職手当」
再就職手当とは、失業手当を多く残して再就職した人が貰える手当です。支給額や支給要件は以下のように決まられています。
支給額
・所定給付日数の3分の1以上残して再就職→支給日数の50%にあたる基本手当支給
・所定給付日数の3分の2以上残して再就職→支給日数の60%にあたる基本手当支給
支給要件(全部に該当で支給)
1.受給手続き後、7日間の待機満了後に就職、または事業を開始
2.就職日の前日までの失業の認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
3.離職した前の事業所への再就職でないこと(資本、資金、人事、取引面で密接な関わり合いがあってもいけない)。
4.受給資格に係る離職理由により給付制限がある人は、求職申込みをしてから、待期満了後1ヶ月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
5.1年を超えて勤務することが確実であること(非正規雇用の場合は1年超見込みの証明書が必要になる)
6.雇用保険の被保険者になっていること
7.過去3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
8.受給資格決定(求職申込み)前から採用が内定していないこと
9.再就職手当の支給決定日までに離職していないこと
教育訓練給付の大幅拡充
指定講座を修了した人に学費の2割を支給してくれたのが、今までの教育訓練給付でした(しかも上限10万円としょぼい)。
しかし、平成26年4月改正によって、従来の給付制度を一般訓練給付と位置づけ、新たに雇用保険に10年以上(雇用・失業手当が初めての人なら2年)加入している人を対象とした「専門実践教育訓練給付」を創設しました。
専門実践教育訓練給付の特徴
訓練期間が1〜3年間で、看護師、放射線技師、臨床検査技師、理学療法士などの医療系国家資格、美容師、測量士、調理師、栄養士など民間専門学校の主だった国家資格コース内容が給付対象となっていることです。凄いw
さらに、その給付率が費用の40%(年間上限32万)で、修了後一年以内に資格取得して就職すると20%の追加給付、つまり最大60%も教育訓練給付が受給できるというのです。つまり、2年間で140万円支出した場合は84万円も支給されるのです。超凄いw
さらにさらに、45歳未満の離職者については、訓練期間中に基本手当の半額を給付してくれる「教育訓練支援給付金」なる制度を創設したのです!生活費まで支給してくれる神対応w
平成26年10月1日スタート「専門実践教育訓練」参考記事
育児休暇中に会社から給料が出ない場合でも給付金が貰える
雇用保険から育児休業給付金が貰えるのです。支給要件は「雇用保険の被保険者期間が育児休業を開始日以前過去2年間に1年以上ある(賃金支払い基礎日が11日以上ある月12回)」
支給要件をクリアすると、出産後の8週間から1歳になるまでの約10ヶ月間は、最初の6ヶ月は給料の67%、残りの4ヶ月は50%が支給されるのです。
さらに、健康保険と厚生年金の保険料が全額免除というから驚きです。もちろんこの育児休業給付金は男性でも受給できるのです。
特定受給資格者の範囲が拡大
特定受給資格者とは会社都合退職者のことです。つまり自己都合で会社を辞めたのではなく、会社都合で会社を辞めた人の適用範囲が拡大されたわけですね。
賃金の支払いが遅れたことにより離職した場合
賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引続き2ヶ月以上となったこと、または離職の直前6ヶ月の間に3ヶ月以上あったこと
長時間労働により退職した場合
離職の直前6ヶ月間のうちに3ヶ月連続して45時間、1ヶ月で100時間または2〜6ヶ月平均で月80時間を超える時間外労働が行われたため離職した場合
雇用・失業保険/雇用・失業手当の延長手続きまとめ
年度末ということで、今月末で退職するという方も多いのではないでしょうか。しかし、なかなか雇用・失業保険/雇用・失業手当の詳しい内容について、知っている方は少ないかと思います。
今回は主に「雇用保険法 平成26年4月改正の概要」について紹介しました。もしこの記事に反響がありましたら、次回は僕が有益だと感じた箇所を抜粋した「雇用・失業保険活用術」を紹介したいと思います。