防衛大元学生、国と上級生ら提訴 福岡地裁
防衛大学校の学生寮(神奈川県横須賀市)で起きた暴行事件を巡り、被害者で福岡県内に住む20代の元男子学生が18日、「上級生らからいじめを受け、大学側も適切な対応を怠った」として、国と上級生ら計8人に慰謝料など計約3690万円の賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こした。
自衛隊内の暴力を巡っては、海上自衛隊呉基地(広島県呉市)の2等海尉が自殺未遂した問題で、両親が先月、山口地裁に提訴したばかり。
訴状などによると、元学生は2013年春に入学し、学生寮に入寮。同6月〜14年5月、上級生らから「指導」と称して、殴る蹴るの暴行を受けたり、ロッカー内を荒らされたりした。また、遺影のように加工した顔写真を無料通信アプリ「LINE(ライン)」で流されるなどした。
防衛大の教官については「暴行を認識しつつ、助けたり予防したりする対策をとらなかった」として安全配慮義務違反を主張している。元学生は体調を崩し14年8月から休学し、15年3月に退学した。
この問題を巡って横浜地検は15年3月、上級生ら3人を暴行罪で略式起訴し、横浜簡裁が罰金10万〜20万円の略式命令を出した(確定)。
防衛大学校は「訴状の内容を把握しておらずコメントは差し控えるが、このような事案が起きたことは誠に遺憾で再発防止に努める」としている。【鈴木一生】