金融政策の限界!?社会人なら知っておきたい、簡単に分かる今週の経済【後編】
昨日、今週のマーケット動向についてお伝えいたしました。
本日は【後編】をお伝えいたします。
目次
2.各国の金融政策の限界
2−1.ECBのサプライズ金融緩和(2016年3月10日)
欧州中央銀行(ECB)は3月10日、大規模な追加金融緩和を発表しました。
- 金利政策: マイナス金利の「マイナス幅」の拡大など金利の引き下げ
- 量的緩和政策: 世の中に供給するお金の量を、毎月600億ユーロから毎月800億ユーロ(約10兆円)に拡大
- 低金利融資枠の拡大: ECBから銀行に対して低金利の長期貸し出しを行う(⇒ 利用した銀行は、企業に低金利で貸し出しを行うことができる)
これは、従前に市場関係者が予想していたものを大きく上回る施策数とインパクトで、サプライズと受け止められました。
この発表直後、ユーロが全面的に売られ、ドルが買われるという金融緩和特有の動きが見られ、ECBの思惑通りになると考えられました。しかし、ユーロ安ドル高の流れは持続することなく、しばらくすると発表前の水準まで戻り、反対にユーロ高に向かう結果となりました。
実は、この発表の直後にECBのトップであるドラギ総裁が記者会見に臨み、”やれることは全部やった”ので、”今後の追加利下げの可能性は低い(=今後さらに金融緩和する可能性は低い)”という発言を行ったために、”これで打ち止めだからもうユーロ安は続かない”とマーケットに受け止められてしまったのです。
これだけの大規模な金融緩和策を発表したにも関わらず、もはやマーケット環境を変えるインパクトは薄くなってしまっています。これ以上の金融緩和政策に限界が出ている表れと言えるでしょう。
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2−2.日銀の政策(2016年3月15日)
日銀は、金融政策決定会合を開催し、金融政策の現状維持(=追加の金融緩和は行わない)を発表しました。
上記で述べてきた通り、マーケットが一旦落ち着きを取り戻したことや、ECBのように、金融政策として残された手段が減っていることなども大きな要因でしょう。
日銀がサプライズ的に導入したマイナス金利は、今のところ期待外れとなっているようです。2016年1月29日に日銀が導入を発表し、2月16日から実施される運びとなったマイナス金利については、日銀の説明とは裏腹に、市場は逆の方向に進み、関係者から批判が相次ぎました。
マーケットが一旦落ち着きを取り戻したとはいえ、これは景気が上向いているというような本質的な理由に基づくものではありません。2016年3月末までは、年金・事業会社の買いが控えていることもあり、相場は底堅く推移する可能性が高いですが、その後は日本経済の真価が問われることになるでしょう。
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