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ブラジル前大統領を官房長官に 各地で抗議デモ
3月17日 22時26分

厳しい政権運営に直面しているブラジルのルセフ大統領は、自分の後ろ盾となってきたルーラ前大統領を官房長官に起用する異例の人事に踏み切りました。しかしルーラ氏が汚職事件の捜査対象になっていることから、各地で早速、抗議デモが起きています。
ブラジルでは国営の石油公社を巡る汚職事件で政財界の有力者100人以上に捜査が及び、ルセフ大統領の支持率は11%にまで落ちこんで厳しい政権運営に直面しています。
こうしたなか、ルセフ大統領は16日、自分の後ろ盾となってきた実力者のルーラ前大統領を官房長官に起用する異例の人事に踏み切りました。
しかしルーラ氏は今月、資産を隠した疑いなどで訴追されたほか、石油公社を巡る汚職事件でも捜査の対象となっていることから、早速、各地で抗議デモが起きました。
このうち最大都市サンパウロでは、「ルーラ氏は刑務所へ行け」などと書かれたプラカードを掲げた市民が道路を占拠しました。また首都ブラジリアでは、大統領府や議会周辺で5000人以上が抗議活動を行い、警察が催涙スプレーを使う騒ぎとなりました。
ブラジルでは、閣僚に対する司法手続きを行えるのは憲法解釈などを取り扱う連邦最高裁判所に限られているため、野党は、ルーラ氏を官房長官に任命することで捜査を妨害するねらいがあるとルセフ大統領を批判していて、政治の混迷は度合いを増しています。

ルーラ前大統領 サッカーW杯や五輪誘致

ルーラ氏は、ブラジル北東部のペルナンブーコ州の貧しい家庭に生まれ、7歳の時、両親とともにサンパウロに移り住み工場で労働者として働き始め、労働組合の活動を通じて、政治の世界に関わります。
ルーラ氏は1980年に、軍事政権下にあったブラジルで、民主主義の実現と、貧困の一掃などを目指し、「労働者党」の旗揚げに携わります。
そして4回目の立候補となった2002年の大統領選挙の決選投票で、61%の高い得票率で勝利し、軍事政権から民政に移管して以来、初めてとなる左派政権を誕生させました。
1期目から順調な経済成長を実現させる一方、貧しい人に家族手当として直接現金を支給したり、最低賃金を大幅に引き上げるなど貧困対策と福祉政策に力を入れて支持を伸ばし、2006年の大統領選挙でも60%以上の支持を得て再選を果たしました。
2期目には、おととしのサッカーワールドカップや、ことし8月に行われる南米初のリオデジャネイロオリンピックの招致を成功させました。
そして2010年の大統領選挙では、官房長官を務めていたルセフ氏を自身の後継者として指名し、ブラジル初の女性大統領を誕生させました。
ルーラ氏は大統領を退いてからも、貧困層を中心に絶大な人気を誇り今でも、与党「労働者党」の名誉総裁を務める、ブラジル政界の実力者です。

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