「暴動起きる」…指名獲得できなければ
トランプ氏発言、「引き下ろし」けん制
【ワシントン及川正也】米大統領選の共和党候補指名争いで首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏(69)は16日、米CNNの番組で、7月の党大会で指名を獲得できなければ「暴動が起きる」と発言した。「トランプ降ろし」をけん制する狙いとみられるが、暴力をちらつかせた「脅し」とも受け取られ、米メディアは大きく取り上げている。
トランプ氏は他候補を大きくリードしている点を強調。7月の党大会で、指名に必要な代議員数に「20人や100人足りない」ことを理由に指名が獲得できなければ、「(支持者の)暴動が起きる。私は扇動しないが、ひどいことが起きる」と警告した。
大統領候補の指名獲得には党大会の投票で全代議員の過半数(1237人)が必要。トランプ氏は優勢を維持しているが、最終的に過半数に届くかどうかはまだ見通せない。
党大会の1回目の投票で過半数を得る候補がいなければ、2回目の投票に移る。陣営間の多数派工作や、予備選に出馬していない候補の担ぎ出しも可能になるため、トランプ氏は混乱に乗じた「引き下ろし」を警戒している。
米メディアによると、共和党主流派のベイナー前下院議長は16日、「初回投票で指名が決まらなければ、ライアン下院議長を候補に推す」と語った。ライアン氏は主流派の切り札との期待があるが、出馬は否定している。
トランプ氏を巡っては、自身の集会で支持者と抗議者の衝突が相次ぎ、「顔を殴れ」などと暴力を助長する発言が物議を醸したばかり。「暴動」発言も熱心な支持者をけしかけていると受け取られかねない。