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山陽道トンネル事故 2人死亡 67人けが
3月17日 19時09分

山陽道トンネル事故 2人死亡 67人けが
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17日朝、広島県東広島市の山陽自動車道のトンネルで、渋滞中の車の列にトラックが突っ込み、乗用車など11台を巻き込んで車5台が炎上しました。この事故で2人が死亡したほか、67人がけがをし、警察はトラックの運転手から今後事情を聞いて、事故の原因などを詳しく調べることにしています。
17日午前7時半ころ、広島県東広島市にある山陽自動車道の八本松トンネルの下り線で、渋滞中の車の列に後ろから走ってきたトラックが突っ込みました。
警察によりますと、トラックは乗用車に衝突するなど11台の車を巻き込み、トラックを含む5台の車が炎上しました。消火活動の結果、火はおよそ2時間後に消し止められましたが、この事故で、追突された乗用車に乗っていた1人が死亡したほか、軽乗用車を運転していた広島県竹原市の会社員、丸岡節枝さん(65)が頭を強く打って死亡しました。
警察や消防によりますと、トンネルの中から避難する際に煙を吸うなどして、トラックの運転手を含め男女67人がけがをしたということです。
山陽自動車道の八本松トンネルは、片側2車線の全長およそ840メートルで、事故が起きたのは、広島市方面に向かう下り車線の入り口から600メートルほど進んだ場所だということです。西日本高速道路によりますと、トンネル内にスプリンクラーは設置されていなかったということです。警察はトラックの運転手から今後事情を聞いて、事故の原因や火が出た状況などを詳しく調べることにしています。

事故のトンネル 非常用設備は

八本松トンネルは、国の基準で、消火栓や押しボタン式の通報装置の設置が原則として求められているものの、スプリンクラーや火災報知機、それに煙を外に出す設備は、必要に応じて設置することになっています。
道路のトンネルで事故などが起きた際の非常用設備は、昭和54年に静岡市の東名高速道路で起きた日本坂トンネルでの事故を受けて、国が設けた基準によって定められています。
トンネルは、長さと通行量に応じて、AA、A、B、C、Dの5つの等級に分類され、最も基準が厳しいAAは、霞が関トンネルや東京港トンネルなど首都高速道路のトンネルや、東名高速道路の都夫良野トンネル、中央自動車道の小仏トンネルなどが該当します。
一方、八本松トンネルは上から2番目のAに該当するということです。国の基準では、等級がAのトンネルには消火栓や給水栓、外部に異常を知らせる押しボタン式の通報装置のほか、避難ルートを知らせる誘導表示板などを、「原則として設置する」とされています。
一方で、スプリンクラーや火災報知機、それに監視カメラなどは、「必要に応じて設置する」とされていて、道路を管理する国や自治体、それに道路会社が判断することになっています。
また、事故などで発生した煙を外に出す設備か避難用通路のどちらかを、必要に応じて設置することになっています。このうち煙を取り除く設備や避難用通路については、西日本高速道路が、国の基準をもとに社内の基準を定めていて、八本松トンネルのような長さ750メートル以上のトンネルには、避難通路を設置することになっています。
一方、天井に取り付けた大型のファンなどで煙を外に出す設備は、社内の基準で1500メートル以上のトンネルが対象となっていて、それより短い八本松トンネルには設置されていません。
西日本高速道路は、「換気用のファンは、基準に達していないため、設置していなかった」と話しています。

事故の詳しい状況

警察によりますと、事故のおよそ3時間前の午前4時すぎ、事故現場のトンネルから広島方面に5キロほど先の場所で車どうしが衝突する別の事故が起きていました。この事故の影響などでトンネル付近まで渋滞が続いていました。警察は、この渋滞の列に4トントラックが突っ込んで今回の事故が起きたとみています。
このトラックは渋滞していた数台の車にぶつかって車道の脇に押しやったあと、さらに進んで前方の乗用車に衝突して止まっていたということです。
この衝突で、乗用車はさらに前方の別のトラックにぶつかって大きく壊れ、2台のトラックや乗用車など5台の車が炎上したということです。
このうち、乗用車の運転席で1人が死亡しているのが確認されました。また、心肺停止で搬送され、病院で死亡が確認された丸岡節枝さんの車は、事故に巻き込まれて4トントラックの後ろに止まっていたとみられています

警察によりますと、トラックに追突され、その後炎上した車を運転していた人は、調べに対し「渋滞に気づいて減速したところ、後ろからトラックが突っ込んでくるのに気づき、右に避けようとしたが追突された」と話していたということです。
道路を管理する西日本高速道路によりますと、八本松トンネルの入り口には情報板と呼ばれる電光掲示板があり、「速度を落とせ、渋滞中」と表示するなどして渋滞に注意するよう呼びかけていました。

そのとき何が? どう逃げた?

事故に遭った人たちが、搬送先の病院などで取材に応じ、当時の詳しい状況やどのようにトンネルから逃げ出したのかなどを証言しています。

1人で軽自動車を運転していて、渋滞のため、トンネル内でハザードランプを出して事故に巻き込まれたという30代の女性は「後ろからクラクションが聞こえ、バックミラーを見たらトラックが追突してくるのが見えた。『バーン』という衝撃がした。走行車線を走っていたが、気づいたら車がひっくり返り、追い越し車線に飛ばされていた」と証言しました。車の窓ガラスはすべて割れていたということで、女性は「とにかく逃げようとはって車外に出た。近くの人に『大丈夫ですか』と声をかけられ、『生きてるんだ』と思った。周りを見たらトラックと別の白い車がぶつかって火が出ていた」としています。女性はその後、周りの車に乗っていた人と一緒に避難したということで、「ほかの車の人と声をかけ合って、上り車線の連絡通路に逃げた。逃げているときにも2回ぐらい爆発音があって、みんな焦っている感じだった」と話していました。

出勤途中に事故に遭ったという広島県東広島市の会社員、徳※ザキ新さん(21)は「右側の追い越し車線を走ってトンネルの中ほどまで行ったところで、前方で大型トラックが右側の壁にぶつかって、斜めになって止まっていた。その直後にトラックの前の部分から赤い炎が上がった。車から出て消火しようとしている人もいたが、あっという間に黒い煙が広がって視界が悪くなった。トンネルの電気も消えて数メートル先は見えない状況だったが、近くにあった非常用の出口から避難することができた。避難する途中にはドーンという爆発音が何回も聞こえて怖いと思いました」と話していました。
※ザキは「山」の下に「立つ崎」の右側

仕事で広島市に向かう途中に事故に巻き込まれたという会社員の蓮池拓也さん(23)は「トンネルに入ったときには、すでにトラックが2車線をふさいでいるのが見え、トラックの後ろから白い乗用車が突っ込んでいた。現場に近づいたら煙が上がり始めて、ドーンと爆発音がした。それと同時にトンネル内の電気が消えてみんなパニックになっていちもくさんに逃げた」と話していました。蓮池さんは、トンネルから避難した直後に、トンネル内から勢いよく煙が出ている様子を動画で撮影しました。蓮池さんは、「トンネルから出たあとは、みんな顔がすすまみれだった。トンネル内は煙で足元も見えず、壁を触りながら逃げた。煙に包まれたときには『死んだかな』と思った」と話していました。

千葉県市原市から福岡市に家族5人で向かっていたという59歳の男性は、家族を含めてけがはありませんでした。男性は「走行車線を走っていて、前の車がハザードランプを点滅させていたので、渋滞だと思って前から6台目ぐらいのところで止まっていたら、前方に炎が見えたので、右の車線に出てバックで逃げた。途中で2回爆発音が聞こえ、前方は黒煙で何も見えない状態だった」と話していました。

愛媛県伊予市から仕事で島根県浜田市に向かっていたという自営業の亀岡伸さん(46)は、「車を運転していたところ、トンネルの中でいきなり爆発するような大きな音がして、『逃げてくれ』と人が叫ぶ声が聞こえたので、車を降りて後方に逃げました。逃げる途中に自分の車の前方50メートルほどで、車から爆発するように炎が出ているのが見えました。周りでは何人もの人たちが同じように逃げていました」と話しました。そのうえで、「トンネルの途中で、避難用の非常口のような出入り口があったので、そこから避難用の通路に沿って歩いて逃げました。トンネル内の明かりは消えて真っ暗だったので、それぞれ、携帯電話の明かりで足もとを照らしながら避難しました」と話していました。

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