ハッキリ言ってしまえば、折りたたみ自転車は最強の移動手段になり得ます。
移動手段としての総合的な性能で言えば、ロードバイクを凌ぎます。
なぜなら持ち運びしやすく、スペースを取らない、走行性能も悪くない、となると旅先での交通手段として家から持って行った折りたたみ自転車が最強の移動手段となり得るのです。
想像していただきたいのですが、京都の街を散策する際に、あのお寺からこのお寺までバスや地下鉄で移動すると大変だからタクシーで移動しちゃおうかな?みたいなシーンって無かったですか?
あぁ、この沖縄の海沿いの道路を自転車で走ったら気持ちよさそうだなあ〜、とか。
何なら海外の街にて、我が愛車にして大切な相棒と共に名所を駆け巡る旅なんてことも可能です。
なんですけど、残念なことに世の中には粗悪な折りたたみ自転車が数多く存在するため、
ー と言っても自転車重くない?
ー 折りたたむって言っても難しいんじゃないの?
ー 車輪が小さいと全然前に進まなくないの?
みたいなことを思っている方も少なくないと思います。
安心してください。
自称、自転車コンシェルジュのわたくし・あきさねゆうが厳選した、軽量で走行性能の高い折りたたみ自転車をピックアップしました。
それではご覧ください!
目次
と、その前に折りたたみ自転車に関する前提知識
重量と値段
一般的に軽いものは高く、重いものは安いです。
折りたたみ自転車の平均的な重量は12〜13kgあたりです。
よって、12kg以下の折りたたみ自転車を軽いものと定義して、それ以上のものは除いて選びました。
実際10kg以上となると、結構重く感じると思います。折りたたみ自転車カスタム次第で転がして運ぶなんてことも可能ですので、12kg以下を許容範囲としました。
※一部12.1kgのものがあります。
走行性能について
結論からいうと、ギヤ比次第です。
安い自転車はギヤ比が適当だったりするので、漕いでも進まないものがあるかもしれませんが、わたしが紹介する自転車はすべて問題ありません。
折りたたみ自転車は一般的に16インチから20インチほどのサイズのホイールであることが多いです。
一般的なシティサイクルが26〜27インチ、クロスバイクやMTBやロードバイクは27〜29インチのものが多いです。
小さいから漕いでも前に進まないというのは、ペダルひと漕ぎでホイールが何回転するかによって決まります。
例えば、ロードバイクの例で言うと、700c(≒27インチ)で、ギヤ比がフロント50T(Tは歯の数)×リア11の場合、ペダルひと漕ぎで進む距離は
2.54cm×27インチ×3.14×50÷11=9.79m
※実際はタイヤの厚みが加わるため、数値はもう少し高くなりますが、本稿ではホイールのサイズで計算します。
となります。
これはロードバイクで一番重たいギヤに入れた時にひと漕ぎで進む距離です。
よって、フロントとリアのギヤ比が重要な要素なります。
続いて折りたたみ自転車の場合ですと、20インチで、小径車用コンポーネントのシマノ『カプレオ』のギヤがフロント45T×リア9Tの場合、ひと漕ぎで進む距離は
2.54cm×20インチ×3.14×45÷9=7.98m
となります。
ちなみに、ママチャリ等のシティサイクルで、ひと漕ぎ5〜6mくらいとなるはずです。
よって、6〜8mほどの走行性能があれば、十分走りやすいと言えると思います。
このように小径車ということを差し引いて、考えられたギヤ比バランスになっている自転車は、特に安い価格帯においてはほとんどありません。
小さいホイールに合わせたコンポーネントを搭載していないと走行性能は十分に引き出されないわけです。
安い折りたたみ自転車は、たいていが安いスポーツ自転車に搭載されるコンポーネントの流用であるため、例えばフロント50T×リア14Tの場合、
2.54cm×20インチ×3.14×50÷14=5.70m
となり、ロードバイクより40%以上も前に進みにくい自転車と言えましょう。
したがって、折りたたみ自転車を購入する場合は、前後のギヤ比を調べることが肝要です。
また、上記の比較はすべて一番重たいギヤで比較しています。
ロードバイクにおいてすら一番重たいギヤは、下り坂で全力出す時にしか使う機会はないので、むしろ山を登る際などは一番軽いギヤを多用することが多いので、ギヤの幅も大切です。
なので、ギヤ比が低いからダメというわけではないです。
ひと漕ぎあたりすすめる距離が長い方が、直進安定性に優れている等の走行性能が高いと言って差し支えないと思ったため、その数値を載せております。
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軽量な折りたたみ自転車
ドッペルギャンガー FXシリーズ
20インチホイール、重量12.0kg、フロント52T・リア14ー28Tなので、MAXひと漕ぎ5.92mです。
特筆すべきは価格です。
値段と引き換えに性能を削っていますが、最低限度の性能はあると思います。
Amazonなら3万円は切ろうかという価格で、このクラスの折りたたみ自転車を買うことが出来るのはドッペルギャンガー一択です。
性能面を理解して購入しないと、Amazonのレビューのように低評価を下すことになると思います。
何度でも言いますが、価格と重量は反比例の関係ですし、安い自転車はそれなりのパーツで組まれています。
3万円という価格でこのフレームのレベルの自転車であれば、十二分な性能です。
同価格帯の他社の折りたたみ自転車と比較しても、圧倒的に素晴らしい製品です。
なお、同型でドロップハンドルモデルもあります。
重量は12.1kgで、キャリパーブレーキになります。
3万円は安いですが、初心者向けではないなと、わたしは考えます。
パーツは価格相応のパーツで構成されているため、こんなにブレーキ利かないの?こんなに乗り回し悪いの?と不満を覚える可能性も高いです。
ロードバイク等のある程度知識があって、パーツはオークションやロードのものを使いまわすなどしてカスタムするという楽しみ方もおすすめかもしれません。
折りたたみ機構はこんな感じです。
パナソニック ライトウイング
18インチホイール、重量12.1kg、外装7段変速となっています。
おそらくフロント50T・リア13-28Tとなっていて、MAXひと漕ぎ5.52mです。
可もなく不可もない性能に5万円を切る価格というところが、拡張性に富んでいてマニア心をくすぐる一品です。
パナソニック品質なので、フレームの性能には信頼がおけそうです。
ライトウイング|商品ラインアップ|自転車|Panasonic
折りたたむ動画が見つからなかったので、パナソニックのプロダクトページを参考ください。
DAHON Horize
20インチホイール、重量11.8kg、フロント53T、リア11−32Tなので、MAXひと漕ぎ7.69mです。
信頼のDAHONブランドで、余計な装飾がなく、拡張性に優れた一台です。
将来的に、フロントディレイラーを搭載して、リアスプロケをよりワイドなものに換装する余地もあります。
動画の1:25くらいから折りたたむシーンが始まります。
折りたたんだ時のサイズもこのように非常にコンパクトな点も見逃せません。
Birdy Classic
Birdy Classic | Pacific Cycles Japan
スペックは18インチホイール、重量10.9kg、フロント52T・リア11-32Tでして、MAXひと漕ぎ6.79mとなっています。
折りたたみ自転車と言えば、このBirdyと言っても過言ではない歴史ある名作自転車です。
以前は『BD-1』という名前で販売されていましたが、国内の販売代理店が変わったため以前からの愛称であった『Birdy』ブランドとして再出発を切りました。
ネットで『BD-1 カスタム』『Birdy カスタム』で検索すると、鬼のようなカスタム例が出てきます。
まさに、小径車カスタムブームを牽引した存在と言えましょう。
人気も高いため、輪行袋などのオプションも充実しています。
慣れれば10秒くらいで折りたためる、芸術的な折りたたみ機構にも注目です。
BROMPTON
イギリスの名車であり、先ほどのBirdyと双璧をなす折りたたみ自転車界の巨匠です。
カスタマイズ性が非常に高い製品で、最も走行性能が高そうなS6Lモデルでは、16インチホイール、重量11.4kg、フロント50T、リア13-15Tで、MAXひと漕ぎ4.91mとなっています。
どちらかと言うと、走行性能が高いというよりはギヤが重く感じることの方が多いそうで、ギヤを軽くするカスタマイズを行っている例も見受けられます。
Birdyと同様に、オプション製品が充実していることも見逃せません。
BROMPTON用内装5段・10段ホイールセット :: LORO HPV GROUP
こういった内装5段ハブに換装して、よりワイドなギヤレシオを選択できるようなカスタマイズをしている例もありますね。
折りたたみ機構も芸術的なつくりになっていて、こちらの動画ではわずか10秒でたたんで持ち運んでいることがわかります。
自転車ってこんなにコンパクトになるんだという考え抜かれた折りたたみ機構も必見です。
BIKE FRIDAY Pocket Rocket
BIKEFRIDAY.JP : fPocket Rocket
わたしの隠れイチオシメーカーのバイクフライデーです!
走行性能と折りたたみ性能を極限まで高めたコンセプトでして、完全オーダーメイドとなっています。
20インチホイールで、重量は驚愕の8.9kgから用意されています。ギヤも選択出来るので、フロント52・リア11-32Tのようなロードのコンポから、小径車用のSHIMANO Capreoを選択すれば、フロント53T・リア9-26Tの最速セッティングも可能でしょう。
その場合には、MAXひと漕ぎ9.39mに達します。
価格は20万前後で収まると言われていますが、カスタマイズ次第なので予算に応じてコンポーネントの種類を変えるのもありですね。
BIKE FRIDAYの折りたたみ機構はこのようになっています。
こちらも慣れると2秒とかで折りたためるそうです。
KHS F-20RA
20インチホイール、重量10.3kg、フロント56-44T・リア11-28Tの2*11段変速が可能なSHIMANO 105がアッセンブルされ、ブルホーンバーでスポーティに走りぬく一台です。
MAXひと漕ぎは8.12mです。
長距離走るなら、ブルホーンバーやドロップハンドルがおすすめですので、まさにどこでも走り屋といったところでしょうか。
ロードバイクと何ら遜色ないほどのギヤレシオです。
折りたたみ機構については、この動画が比較的わかりやすいかと思います。
ちなみにこのモデルがKHSの折りたたみの最上級モデルでして、一般的なモデルのF20-Rも十分おすすめです。
tern Verge N8
20インチホイール、重量11.2kg、フロント52T・リア11-32Tという非常にワイドなギヤレシオでいて、MAXひと漕ぎは7.54mで、お値段は9万円ほどとリーズナブルです。
折りたたみ自転車で及第点以上の性能を兼ね備えていて、9万円は安いです。
さらに本モデルternのVergeシリーズのエントリーグレードになっています。
より上位のモデルですと、Xシリーズがあります。
このX18モデルはSTIシフターが搭載されたドロップハンドルモデル、小径車最強のカプレオがアッセンブルされ、ギヤ比は最高でフロント53T・リア9Tなので、ひと漕ぎ9.39mとロードバイクに匹敵する走行性能を持っています。
折りたたみ機構も最適化されていて、折りたたんで再び組み立て直すまでにわずか13秒という動画もありました。
GIANT MR4ーR
折りたたみ自転車では珍しい24インチホイールを搭載し、重量9.9kg、フロント36/52T・リア11-28Tの2*11段変速で、MAXひと漕ぎ9.05mと、もはやたためるロードバイクです。
これでいて、価格が16万5千円は、価格破壊です。
台湾の巨人ことジャイアント社の性能と価格の追求にはすさまじいものを感じます。
24インチホイールですが、折りたたむと非常にコンパクトになります。
前輪を外すという手間と引き換えに折りたたみ自転車トップクラスの走行性能を手にしたと考えれば十分ではないでしょうか。
Tyrell FX
FX 概要|ロードサイクルブランドのニューカマーTYRELL(タイレル) 有限会社 アイヴエモーション
国産ミニベロブランドTyrell(タイレル)の登場です。
元々軽くて早いミニベロに定評があり、このFXモデルは待望の折りたたみモデルです。
Tyrellと言えば軽さが特徴です。
FXは、451ホイール(≒20インチ)で、重量は圧倒的正義の8.9kg、フロント53T・リア11-25Tで、MAXひと漕ぎ7.69mとなっています。
リアディレイラーにはロードバイクでも中級モデルに搭載されるティアグラがアッセンブルされています。
溶接の継ぎ目の処理までこだわった美しいフレームと、直進安定性に優れた車体設計と、高速で長距離走ることを目的としてつくられていることが分かります。
折りたたみ機構はこのようになっています。
まとめ
折りたたみ自転車を始めとするフォールディングバイク、ミニベロなど小径車の世界は、実は相当深いです。
カスタムを始めたら、それこそキリがないです。
まるで昔、ミニ四駆に熱中していたころに、パーツをあれでもないこれでもないと試したり、新しいシャーシーのミニ四駆が出たら買って試してみるあの日々の感覚に非常に似ています。
もし実際に購入する場合は、ネット通販も悪くないですが、住まいのお近くにあるプロショップで購入することを強くオススメします。
カスタマイズだけでなく、日常的なメンテナンスも専門家に見てもらいやすい方がいいですので。
こういったムック本には、カスタム例だけでなく折りたたみ・小径車を扱うお店のリストも載っていたりします。
末永く幸せな自転車生活を送るためにも、ショップ選びも重要な要素ですので、ネットの情報・書籍の情報から、自分に合った自転車、ならびにショップが見つかることを祈るばかりです。
その一助になればと思い、本稿を投稿いたします。