MarkeZine(マーケジン)

記事種別

社内ワークショップってやる意味あるの? 答えはYES! 製品コンセプトができるまでの軌跡を紹介します

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2016/03/15 10:00

 グループウェア「rakumo」が6年ぶりの大リニューアルをしたことをご存知ですか? コンセプトから作り直し、誰がどのように使用するかを考え、施策づくりをする。まさに「UI/UXデザインの大改善」でした。その取り組みと学んだ知見を共有する本連載、第2回目は、私たちがどのような過程でコンセプトを策定したのかについてお話します。

ワークショップの流れをご紹介します!

 こんにちは、rakumo株式会社の田中です。前回は、弊社の製品「rakumoカレンダー」のリニューアルに向けて、UXの観点から見直しを始めた経緯をご説明しました。今回からは、UXワークショップの内容について具体的にご紹介したいと思います。

 ワークショップは全8回で行います。今回ご紹介するのは、このうち第2回までの内容です。ユーザーの欲求の深掘りからはじまり、コンセプトやジャーニーマップ作りを経て、プロトタイプ案を出していきます(プロトタイプは現在進行中!)

第2回目以降のアジェンダにはお題が設定されていませんが、これはワークショップの展開によって、
取り組む内容を柔軟に変更できるようにしたためです(クリックで拡大します)。

 ワークショップ各回は2時間で、2~3つのお題に取り組みます。ひとつのお題は、以下の流れで進みました。

  1. お題を展開する:ファシリテーターが参加者にお題を説明
  2. 回答を書く:参加者は付箋にお題への回答、意見を書く
  3. 貼り付ける:書いた付箋をホワイトボードに貼り付ける(2,3を繰り返し)
  4. 確認する:20分経ったら書くのを止め、貼り付けられた付箋をみんなで見て回る
  5. カテゴライズする:似通った付箋同士を近くに貼り直してまとめていく
  6. 投票する:全ての付箋を見て回り、良い意見に対して投票する
  7. 並び替える:得票の高い順に並び替える

 このサイクルでだいたい40~50分くらい経過します。

ワークショップの風景
ワークショップの風景

 なお、このワークショップ開催前に、ファシリテーターの坂本さん(ネットイヤーグループのUXデザイナー)より紹介いただいた、IDEOのブレインストーミングのルールが面白かったので共有します。ブレインストーミングが有用なものになるか否かはルールも重要。その点、こちらはルールそのものがノビノビしていて面白いですよ。

 IDEOのブレインストーミングのルール

  • トピックに忠実であれ
  • ぶっとんでよし 拡散して良い
  • すぐに判断、否定するなかれ
  • 会話は一人ずつ
  • 質より量を
  • 描け、視覚的であれ
  • 他者のアイデアを広げよ

 ("世界最高の授業。IDEOに学ぶ「デザイン思考」の真髄──2014.3.7 Night School”から引用しました)

洗い出された課題は、200以上(会議ではあまり出ないのに……)

 第1回のワークショップでは、現状認識と課題の洗い出しを行いました。ワークショップでは「rakumoの抱える課題」について、各職種の目線から付箋に書き出していきます。

 ファシリテーターの坂本さんより「質よりも量です、アウトプットしましょう!」の声が飛び、20分ほど書いては貼り、書いては貼りの個人ワークを繰り返します。個人ワークが終わると、200件以上の意見が貼りだされていて驚きました。通常の会議体で「製品の課題について時計回りで発表!」などと問いかけても、とてもこれだけの意見は集まらないでしょう。

 製品の機能に関する意見が多く出された一方、これまで言及されることが少なかった、サポートやマーケティング、営業面の意見やアイデアも多く提示された点が印象的です。

 意見を出し尽くしたあとは、みんなでホワイトボードを回覧しカテゴライズ。一人各カテゴリ3票ずつ「良い/共感できる」意見に対して投票を行い、共通点のある意見をまとめるように並び替えます。

 並び替えが終わったら、「それを改善するにはどうしたらよいか」について、先ほどと同じように個人ワークで考えます。この改善策を「みんなで考える」のは、少し新鮮でした。営業課題に対して開発の人間やサポートが向き合うことは通常ありませんし、あってもそれを発表する場がありません。製品の課題にしても同様です。「共通認識の不足」は私たちの抱える問題の一つでしたので、このやり方を学べた意義はとても大きかったと思います。

 もうひとつ意義深かったのは、参加メンバーの挙げた課題が、わりと似通っていると気づけたことです。問題意識を共有できただけでなく、同じ問題意識を持っていたと認識できたことも成果の一つでした。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加

著者プロフィール

  • 田中倫太郎(タナカ リンタロウ)

    rakumo株式会社 チーフデザイナー UIデザインとアートディレクションを担当。記者、ライター、eラーニングコンテンツの開発、ニュースメディアのアートディレクターを経て、2008年より現職。因果性や仕組みに興味があります。

関連リンク

バックナンバー

連載:UI/UX改善“実践”レポート

この記事もオススメ

過去の人気記事ランキング

All contents copyright © 2006-2016 Shoeisha Co., Ltd. All rights reserved. ver.1.5