この記憶するという能力について、人間をはるかに上回っているのがコンピューターです。しかもコンピューターはインターネットで世界中とつながっており、SNSにはあらゆる写真がアップロードされています。アップロードされているデジタル画像にはGPSのジオタグ情報が記録されているものがあるほか、Googleストリートビューに写り込んでいる風景もその特色と地理的情報と結びつけるうえで有効に活用できそうです。
Googleのチームは、こうした写真と撮影場所を記した約1億2600万枚もの画像データベースを構築。それをPlaNet と名付けた人工ニューラルネットワークに入力し、写真と撮影場所の関連性を教え込みました。
数字だけを見ると、その程度かと思ってしまうところですが、マサチューセッツ工科大学の技術誌 MIT テクノロジー・レビューによれば、これはもの凄い数字なのだとか。
開発チームはさらに人間の記憶力と PlaNet を比較するため Google ストリートビューからランダムに選んだ風景から、その場所を答えるゲームのサイト「GeoGuessr」を使った試験を実施しました。世界各国を旅した経験を持つ10人の被験者に PlaNet と勝負してもらったところ、PlaNet が人間に対して28勝22敗で勝ち越す結果となりました。
数字の大小だけを比較すれば、とりあえずすべてのテストで PlaNet が人間に勝っており、素晴らしい能力といえるのかもしれません。開発チームは正答率をさらに上げるべく研究を続けるとのことなので、今後に期待したいところです。
なお、GeoGuessr は誰でも自由にプレイできます。筆者がアクセスしてみたところ、だだっ広い草原にひたすら続く一本道、傍らには送電用の鉄塔、という写真が現れました。ここが一体どこなのか全くわからないものの、右下に表示される世界地図の右下の大陸が「オーストララシア」になっているのが気になってしかたがありません。