バズってる記事の追記です。
ホントはこっちの方に熱量使いたかったんだけど、ちょっとバズりすぎて今は元気がない。
なので前の記事で言えなかったことと鉄板アルバムを10枚にしぼって紹介します。ぶっちゃけ絞るの無理なので、出演者関連のやつ多めです。つまり、鉄板アルバムとフリースタイルダンジョンの次に聞けそうな奴の折衷案みたいな感じです。
色々いっぱい紹介はできるけど、それやるのはヒップホップ*1ファンの人にとっては意味ないし、フリースタイルダンジョン(以降FSD)から入った人にとってはおもたすぎるので。
だから、あげたアルバムの中から何か一枚でも選んで聴いてみてくれたら嬉しいということです。
フリースタイルダンジョン見てるけど、次何聴けばいいの?って人向け。
古典的作品と、聴きやすい作品を混ぜて書いたつもりです。
セレクトに色々文句が出ると思いますが、そういう人は自分のオススメアルバムも紹介してくれると、見てる人もいいかと思います!
前の記事でもそうやって書いたつもりなんですが、僕はヒップホップの門戸は広く開かれてる方がいいと思ってます。
だからこそ、その門戸を開くだけでなく、その道の深さと面白さを示すためにこういう記事があるのはいいことだったと思ってます。
アルバム単位で紹介しますが、ちょっとめんどいって人もいるかと思います。
また、楽曲単位の定番も知りたいという方もいそうです。
なので。微妙なのも混じってるけどこの再生リストはyoutubeにある中じゃわりと定番が押さえられてるので、これも聴くといいと思います。
一応古い順で。
・いとうせいこう《MESS/AGE》(1989)
- アーティスト: いとうせいこう,ヤン富田
- 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
- 発売日: 1995/03/17
- メディア: CD
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FSDから入った人は、いとうせいこうのことなんか渋いけど変なコメントするおじいちゃんみたいに思ってませんか。
もしくはいとうせいこうは知ってるけどキナ臭ぇ文化人気取りだと思ってませんか。
んなことないですよ。
いとうせいこうは、日本にヒップホップという土壌を作った人です。
「ヒップホップの初期衝動」でも言ってますが、オールドスクールど真ん中世代を生き抜いてそれを日本語でやろうみたいに考えて、かつ実現した人はこの人しかいないんじゃないですかね。
・スチャダラパー《タワーリング・ナンセンス》(1991)
- アーティスト: スチャダラパー
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1991/10/10
- メディア: CD
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スチャダラパーはかなり有名ですね。
小沢健二とコラボした「今夜はブギー・バック」は普通にJ-POPの歴史にも入ってると思います。
僕はスチャダラパーも好きなんですが、これ以降になると、こういうおもしろい感じのラップじゃなくて、もっとHIP HOPらしいヒップホップをやってこうという動きがどんどん強まっていきます。
Nasの『Illmatic』にがっつり影響を受けたような世代が続いていきます。
・King Giddra(キングギドラ)《空からの力》(1995)
空からの力:20周年記念デラックス・エディション [デラックス盤(CD+DVD)/完全限定生産]
- アーティスト: キング・ギドラ
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2015/06/17
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FSDのオーガナイザーでもあるZeebraさんとK DUB SHINEとDJ OASISからなるKGDRの鉄板アルバム。
たぶんどのJ-ヒップホップ史を紐解いても、このアルバムがさんぴんCAMP*2以前(というかJ-ヒップホップ史の)のアルバムの最高傑作と言われていると思う。
それくらい完成度が高い。
単純に、ラップがうまい。
英語混じりでどうこうするとかではなく、日本語でしっかりライミングする基本が全部押さえられてる。タイトルから見てもわかる押韻。
大定番すぎて説明のしようがない。それくらいすごいアルバム。ジブさんかっこいいからみんな聞こう。
・BUDDHA BRAND《病める無限のブッダの世界》(2000)
病める無限のブッダの世界 ― BEST OF THE BEST (金字塔)
- アーティスト: BUDDHA BRAND,オーサカ=モノレール,LUNCH TIME SPEAX,FUSION CORE,アンタッチャブル・デストロイヤーズ・オーケストラ,NIPPS,RED EYE DARUMA,BUDDHA FACE KILLER,H.KON,T.HIRAGURI,DEV LARGE
- 出版社/メーカー: カッティング・エッジ
- 発売日: 2000/03/15
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僕の個人的に好きなアルバム。
だけどブッダブランドは普通にJ-ヒップホップの古典だから全然個人的な推薦とかではない。
DEV LARGEがなくなってもう1年くらいになるのかと驚いた。
日本語ラップと英語のラップの折衷をしてる中でもダントツでかっこいいアルバム。
・NITRO MICROPHONE UNDERGROUND《NITRO MICROPHONE UNDERGROUND》(2000)
NITRO MICROPHONE UNDERGROUND[Def Jam edition]
- アーティスト: NITRO MICROPHONE UNDERGROUND,XBS,アクエリアス,DELI,スリジャワラルダナブラ,MORE-SEX,MACKA-CHIN,GORE FETT IMPOSSIBLE,MACKA-CHIN GETS TORUCO MARIRIN CAFE BULE,DJ MISSIE,DABO
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
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ブッダブランドとは全然逆で、日本語を中心としたカッケーバースが8人くるくる入れ替わりながら展開されるのはかっこいい。
僕はこういう日本語中心的なのも好きです。
・SHINGO02《緑黄色人種》(2003)
- アーティスト: SHING02
- 出版社/メーカー: Mary Joy Recordings
- 発売日: 2003/08/22
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日本語中心→英語的→日本語中心ときたので英語的なやつを。
タイトルがまずやばいよね。
SHINGO02はバイリンガルで、やっぱここらへんの日英使い分けるラッパーが出てきたあたりから、フロウ、ライム含めたラップのレベルはがつんと上がってきた気がする。
それは別に日本語しかしゃべれないラッパーの人にも確実に影響を与えてて、その意味でのこのアルバムは鉄板。
・RHYMESTER《グレイゾーン》(2004)
- アーティスト: Rhymester,佐々木士郎,山本仁,坂間大介,ジョン・クレマー
- 出版社/メーカー: キューンミュージック
- 発売日: 2004/02/04
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今の人たちの聞き心地も考えて、新しいアルバムをあげましたが、RHYMESTERっていうのは、夏目漱石と森鴎外が一緒になったみたいな人で、日本のヒップホップにおける功績は計り知れないです。
さんぴんから、B-BOY PARKから、功績がでかすぎる。
これ聴くのめんどいよーって人は「耳ヲ貸スベキ」と「B-BOYイズム」だけでも。
・KREVA《愛・自分博》(2006)
- アーティスト: KREVA,DABO,SONOMI,CUEZERO,WADA
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2006/02/01
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たぶん、一番ヒップホップフリーク以外の人にも売れたヒップホップのアルバム。
オリコンもとってるし。
僕は別にJ-ヒップホップ史のベスト10枚を選んでいるわけではないので、こういうのも入れちゃう。
KREVA自身はセルアウト*3とか言われることもあるけどね。僕はとりあえずは何でも知ってみるのがよいと思ってます。
実際スクエアのリズムで刻むKREVAは聴いてて心地よいよ。
・ANARCHY《Diggin' Anarchy》(2011)
- アーティスト: Anarchy
- 出版社/メーカー: R-RATED RECORDS
- 発売日: 2011/08/03
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ちょっとあんまりゲットーとかギャングスタ的なものを紹介してなかったので、ANARCHYを紹介。MSCはあとで紹介します。
1st、2ndアルバムががっつり人気になった、京都のゲットー*4出身のANARCHY。
けどこれは、そんなゲットー精神を全面に押し出してるアルバムじゃなくて、わりとANARCHY自身がそれまでと違うことやろうとしてるアルバムなので、ANARCHYの中では勧めやすいかな。
・AKLO《THE PACKAGE》(2012)
- アーティスト: AKLO
- 出版社/メーカー: Lexington Co., Ltd / One Year War Music
- 発売日: 2012/09/05
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10年代の代表として、いわゆるSWAG系から一本。
Saluにするか迷いましたが、まぁAKLOでしょう。
FSDのrec-1のファーストライブがAKLOだったことからも考えて、シーンの注目度的にも10年代を代表してる。
AKLOはフリーダウンロードアルバムから人気が出たというのもあり、現代的。
現代的なEDMっぽいビートに、いわゆるSWAG系(おれかっけー系と言えばヒップホップでない人にはわかりやすいかも)のライムで固く乗せてくスタイル。
RGTOは最近の曲だとかなりコンビニとかでも聞きましたね。
じゃあ次出演者関連のおすすめアルバム。
・般若《HNNYA》(2009)
たぶん、FSD見てる人の思ってる般若は、UMBで優勝したあとのこのアルバムに一番現れてるんじゃないかな。
面白い楽曲やらなんやら入ってるのは上のアルバムです
僕は《内部告発》(2006)が好きなんですけどね。
・MSC《MATADOR》(2003)
みんな大好き漢さんが所属するMSCのファーストアルバム。
《帝都崩壊》にするか《導-みちしるべ 》にするかめっちゃ迷ったけどこれにしよう。
前回の記事で、GADORO対漢さんの試合とか、輪入道対漢さんの試合のライムを少し紹介したけど、それがいっぱい入ってるのがこれだからこっちにした。というか、漢さんは何聴いてもカッケーから安心して。
前の記事でも言った通り、MSCってのはLibra Recordから何枚かアルバム出してる。だから《帝都崩壊》や《導-みちしるべ 》じゃなくて、こっちにしたってのもある。
《導-みちしるべ 》とかソロのアルバムであんなに完成度高いのないから聴いてね。
これamazonのプライム会員の人は、プライム・ミュージックで《導-みちしるべ 》聞けるから是非聴いてみて。Libraに金落とさずに聞けるよ。
漢さんはホントカッコイイから。
・サイプレス上野とロベルト吉野《ザ・ベストテン》(2013)
ザ、ベストテン 10th Anniversary Best(白)(初回限定盤)(DVD付)
- アーティスト: サイプレス上野とロベルト吉野
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サ上なんかこれっての思い浮かばなかった…。
サ上はなんかアルバムだけに魅力があるってより、その他のラジオとかトークとかも含めていいラッパーだと思うので、水曜日10時半からのyokoham j-waveのラジオとか聴くのもいいかも。Rとかゲストで出てたし、フリースタイルも聞ける。
・2WIN《BORN TO WIN》(2015)
T-Pablow所属の2WINのデビュー・アルバム。
T-Pablowはこのアルバムよりも今のFSDのラップの方がうまいんじゃねと思えるくらいどんどんラップがうまくなってきてるのでホントに注目ですね。カッコイイ。
一曲目のFire BurnとかはYoutubeで聴けます。かっけぇ。
個人的には自分の境遇とかの投影も含めてPain Awayが好きです。
T-Pablowはファンも増えてそうなので活躍が確実視される。
・Creepy Nuts《たりないふたり》(2016)
FSDでアツい勝負をばんばんかましてるR-指定と童貞DJのDJ松永とのコンビ。
まぁこれが一番入りやすいかな。次としてオススメです。
YoutubeのCreepy Nutsのチャンネルで何曲かPVあがってるからそれの視聴もできるよ。
R-指定は、ぶっちゃけ前の《セカンドオピニオン》はMIXとかも微妙だから、ビートの重要さとかR-指定の天才なりの苦悩とかを伺うのにはいいけど、単純に耳を喜ばせるかというと微妙。
・韻踏合組合《一網打尽 Remix feat. NORIKIYO, SHINGO☆西成, 漢》(2014)
一網打尽 REMIX Feat. NORIKIYO, SHINGO☆西成, 漢
- アーティスト: 韻踏合組合
- 出版社/メーカー: IFK RECORDS
- 発売日: 2014/08/13
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アルバムでないですが許して。
審査員のERONE所属の韻踏合組合から。
韻踏はこれを押さえておくと最低限の話ができます。
韻踏合組合はその名の通りの押韻主義で、かつ日本語主体。
大阪を一大拠点として西のボス軍団です。
あと漢さんのverseめっちゃかっこええです。
・ラッパ我リヤ《ラッパ我リヤ伝説》(2000)
- アーティスト: ラッパ我リヤ,ARK,ZEEBRA,三善/善三,森山周一郎,Q,MACCHO,BUTCHER,GINRHYME THE VIBERATER,山田マン,二代目山田マン
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
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漢さんがrec-5のあとに「この音楽でとるコンタクト、山田マン参上」と言ってましたが、その山田マンと隠れモンスターだったMr. Qの所属するラッパ我リヤのアルバム。
gadoroにも色々言われてましたが、押韻主義のアルバムなのでライミング好きな人は是非。
拙者が運転者とかKen the 390は疲れたので誰か補足してください。
最後に、ヒップホップっていうのはこれ全部知らなきゃダメとかじゃないんですよ。
僕だってUSオールドスクールはあんまり知らないし。
ヒップホップっていうのは、こういう壮大なカルチャーに位置しているんだ、そしてフリースタイルダンジョンを通して自分もそれを少しは知っているんだということを知るだけでも、僕は十分だと思います。
こういうのは興味持ってくれた人だけで十分。
洗濯物干すのもHIP HOPですから。
*1:前回書き忘れましたけど、ヒップホップには中心的な文化として、ラップ、DJ、ダンス、グラフィティがあります。
一応付言的に。
*2:さんぴんというのは、それ以前と以降で歴史が変わったと言われるほどの大事件です。
Buddha BrandのDEV LARGEやKing Giddra、RHYMESTER、カミナリなどの大物グループのメンバーがこぞって参加し、日本におけるヒップホップを基礎付けたイベント。
T-PABLOWは「さんぴんを俺らで再現」とか歌ってます。
*3:簡単に言えば、人気と売上にはしって信条を捨てたりして楽曲作る人のことをいいます。色んな人が言われたりしてるので、そんな統一的に誰々はセルアウトって確定してるわけじゃない。SEAMOとかはその気が強いけど。
*4:元々はドイツの迫害地域をさすんだけど、広義ではニューヨークとかの大都市近郊にあるスラムの一種。特に密集地域を指すことが多い。HIP HOPではUSの方でゲットー出身者が活躍したこともあって、ステータスの一つ。