日銀、ECBなど主要中銀、市場への「衝撃」あれど「畏怖」喪失か
2016/02/10 13:22 JST
(ブルームバーグ):主要国の中央銀行は量的緩和(QE)を通じ、金融危機が世界恐慌に転じる事態を回避した。しかし、追加の金融緩和策を講じるたびにその効果が薄れていく状況に直面している。
日本銀行が予想外のマイナス金利導入を決め、欧州中央銀行(ECB)は3月に新たな刺激策を打ち出す方針を示唆し、米金融当局は利上げペースを落とすとの観測が広がっている。だが、世界の金融市場を見渡すと、新たな現実が広がっている。
米S&P500種株価指数は9日に1年10カ月ぶりの安値を付け、日本のTOPIXも急落。日本国債10年物利回りは初めてゼロ%を割り込んだ。欧州株も下落。ポルトガル国債利回りが上昇し、ギリシャの銀行株が大幅安となって、欧州債務危機の記憶を呼び覚ました。
日銀とECBによる追加緩和にもかかわらず円やユーロが上昇しているのは、政策の有効性の欠如を裏付ける形となっている。
シドニーに拠点を置くAMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者、シェーン・オリバー氏は、「過去6、7年にもわたる非伝統的金融政策の実験でも、世界の成長を持続的な形で押し上げるには至らず、最新の措置はどうなるか市場は戸惑っている」と指摘。「過去数週間の出来事を振り返れば、そうした疑問が生じるのももっともだ」と語った。
このような事態の推移の下では、インフレ期待の押し上げやリスク選好の喚起、経済成長促進のためには「何でもする」という中銀の姿勢に対し、反対論が高まる可能性がある。
経済協力開発機構(OECD)経済開発検討委員会のウィリアム・ホワイト議長は9日、ブルームバーグとのテレビインタビューで、「市場が再び機能するようにするため、中銀が取った行動が完全に妥当だったことは最初から全く疑問がなかった」とコメント。その上で、「もっと最近になって、そうした政策の目的は完全に変化し、総需要を刺激しようと努めている。持続可能な方法でそうすることはできないというのが実情だと考える」と話した。
主要国による政策協調を求める声も上がる中、26、27両日に上海で開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が共同の政策意図伝達の機会となる。ECBのクーレ理事は8日、同会議で「世界的な協調」を協議することになるとの見通しを示した。
元国際通貨基金(IMF)エコノミストでロンドンのSLJマクロ・パートナーズの共同創業者であるスティーブン・ジェン氏は、「中銀による『衝撃と畏怖』という操作の時代は終わった公算が大きい」と発言。「『重力』が中銀の政策を圧倒する年となりそうだ」として、上昇局面での株売りを勧めた。
原題:Markets Signal Central Banks Losing ‘Awe’ Even If They Shock (1)(抜粋)
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更新日時: 2016/02/10 13:22 JST