国会予算政策処は、2月5日にも韓国の政府債務が600兆ウォン(約60兆2000億円)を超えると予測した。2014年7月に500兆ウォンを超えた政府債務は、わずか1年7カ月で100兆ウォンも増えたことになる。韓国の家計債務は既に1200兆ウォンを超えた。家計の可処分所得と比較した債務負担は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最高水準だ。企業債務も昨年、GDPの150%に達した。既に危険推移の家計・企業債務に続き、政府債務にも警告ランプがともった格好だ。
こうした状況にもかかわらず、韓国政府は政府債務が今年末時点で644兆9000億ウォン、来年末に692兆9000億ウォンへと徐々に増えると楽観している。これは韓国経済が今年と来年に約3%成長することが前提の数字だ。政府は今からでも2%台の低成長を現実として認め、政府債務に対する警戒心を改めて持たなければならない。
OECD加盟国の政府債務の対GDP比は、世界的な金融危機直前の07年の73.5%から昨年は114.6%へと41.1ポイント上昇した。同じ期間に韓国は30%から40%へと10ポイント上昇するにとどまった。それを踏まえ、韓国は先進国に比べ、政府債務が問題にはならないと主張する人が少なくない。しかし、現在にように低成長が続く中、福祉支出を増やせば、政府債務が急速に膨らむのは避けられない。
政府は「歳入よりも歳出をゆっくり増やす」という財政原則を堅持すべきだ。福祉拡大に加え、景気低迷で社会の各方面から政府に歳出を増やせという圧力はますます強まるだろう。予算当局は今からでも財政の健全性維持に決死の覚悟で取り組まなければならない。さもないと、政府債務が雪だるま式に膨らみ、経済の脅威になりかねない。政治家が無分別に財政支出を増やすことを防ぐためには、経済規模の一定水準を超えないように、政府債務の上限を法律で定めることも検討すべきだ。