2015年、それは期待されていたAAA級ゲームが一気に世にでる、お祭り騒ぎのような一年だった。
そして2016年、その勢いはまるで留まるところを知らず、まるで2015年に乗り遅れたかのように、各作品は前のめりになりながら発売日を待っている。
今回紹介するのは、そんな作品の中でも特に期待したい、珠玉の作品ばかりである。
10位:ミラーズエッジ カタリスト
発売:2016年春
ハード:PS4/Xbox One/PC
ジャンル:パルクールアクション
あなたは、高層ビル群の美しい姿に魅了されたことはないだろうか。或いは、そんなビル群を自由に飛び回り、疾走したい思いに駈られたことはないだろうか。
2008年に発売された『ミラーズエッジ』は、そんな人々の思いを行動へ移させたスポーツ、「パルクール」をゲームの中で体験できるよう作られた作品であり、本作はその8年ぶりの新作である。
パルクール、と聞いて別段難しいゲームを想像する必要はない。ただプレイヤーは、複雑な建物や変化する状況を素早く察知し、壁や環境を利用して走り回ればいいだけだ。
だが、タイムアタックに挑むなら別。的確に走ったり跳躍することは簡単でないし、敵兵や思わぬアクシデントが行く手を阻む。それでも、慣れきった手つきで困難をたやすく乗り越え、あっという間にコースを疾走できた時の快感は病みつきだ。
9位:Total War WARHAMMER
発売:2016年
ハード:PC
ジャンル:RTS
正直、今回紹介する10本のゲームの中で、(特に日本で)知名度が期待出来ないタイトルであり、本作は見た目通り、正にマニア向けのゲームだ。
本作は、大規模な軍団を操作できる『Total War』シリーズの続編で、そこにRTSの大御所『WARHAMMER』シリーズのキャラクターや世界観がタイアップした作品。
まず、『Total War』シリーズは文句なく素晴らしいRTSで、圧倒的な行軍の迫力もさながら、操作は忙しすぎず、ゆったり戦略を構築できる作品。そして、『WARHAMMER』も同じRTSで、エイリアンと地球人が紛争する世界観を背景に、素早い展開がウリの作品である。
私はいずれの作品のファンでもあるが、現代RTSを語る上で外せない両者が、この新作で合流したのは「夢のタッグ」と言う他ない。ゲーム性は文句無しだが世界観がマンネリしつつあった『TW』と、世界観はユニークだが難易度も高い『WH』が、1つの作品に結ばれることで、どんな作品が完成するのだろうか。
8位:モンスターハンター ストーリーズ
発売:2016年
ハード:3DS
ジャンル:RPG
カプコンの主力タイトル『モンスターハンター』のスピンオフ作品。プレイヤーは「ライダー」としてモンスターを従え、他のモンスターと対峙していく。
従来のハードボイルドな世界観は一転、コミカルタッチで色彩豊かなものへ変わり、それまで敵対し続けてきたモンスターたちを仲間にするという、大幅な舵取りが話題を呼んだ。
私は『モンハン』のゲーム性もデザインも高く評価してきたし、何より『モンハン』に眠る潜在的な魅力を引き出そうとする、カプコンの意欲とチャレンジ精神からも本作に期待している。
7位:Quantum Break
発売:2016年4月7日
ハード:Xbox One
ジャンル:TPS
『Max Payne』、『Alan Wake』など、秀逸な演出と高度なゲーム性を両立させた名作に携わった、「Remedy」による最新作。
主人公ジャックは時空を歪める力を持っており、滅び行く世界と企業の陰謀のため、何度も時を戻して戦う不屈の戦士。トレイラーでは映画『インセプション』さながらの演出で、華麗に戦う姿が公開された。
10年近く燻し銀な作品を残し続けてきたRemedyと、XboxOne独占の自信を隠し切れないMS。両者のタッグは、次なる「傑作TPS」を残してくれるのだろうか。
6位:The Witness
発売:2016年1月26日
ハード:PS4/PC
ジャンル:パズル
公式:http://www.jp.playstation.com/software/title/witness.html
インディーズゲーム勃興の一役を担った『Braid』の作者、Jonathan Blow氏による最新のパズルゲーム。
まず注目すべきはこの表現。Blow氏らしい豊かな極彩色と、2Dから3Dへと移行したことによる表現の拡張。そして、彼の自慢するレベルデザインとボリューム。
「費用面での制約が減ったことが大きい」Blow氏はこう語った。『Braid』のような、心地よい空間、無駄のないデザイン、そして溶けこむようなナラティブを期待したい。
5位:ディビジョン
発売:2016年3月10日
ハード:PS4/Xbox One/PC
ジャンル:オンラインRPG
バイオテロによって崩壊したアメリカで活躍する特務機関の活躍を描く、UBIによる『Tom Clancy』サーガの最新作。
数年前から日本でも話題になるほどのビックプロジェクトである本作は、UBIの技術を最大限に抽出した、圧倒的なグラフィックと広大な世界がウリとなっている。
現実のニューヨークをリアルに再現したオープンワールドに、多様なクエストと様々なアクティビティ、協力プレイからPvPまで用意された本作の、次世代機をフル活用したパフォーマンスが楽しみだ。
4位:Mighty No.9
発売:2016年(延期)
ハード:PC/PS4/PS3/PS Vita/Xbox One/Xbox 360/Wii U/3DS
ジャンル:2Dアクション
至上のアクションゲーム『ロックマン』の生みの親である稲船敬二氏による、インディーズ・プロジェクト。旧来のシンプルにして高度なアクションを、現代に蘇らせた作品を目指して作られている。
デザインやルールは、従来の『ロックマン』そっくりで、群がる敵の攻撃をジャンプやドッジでかわし、バスターを撃ちこんだり、新要素の近接攻撃、そして敵から能力を奪取して使う「変形」で戦うことが出来る。
Kickstarterで大成功を収めたタイトルとして名を挙げられる本作。筆者も期待のあまり体験会にまで足を運び、単なる「懐古」ではなく「純粋さ」を画一した、そのクオリティをバッチリ確認してきたところだ。
3位:オーバーウォッチ
発売:2016年春
ハード:PS4/Xbox One/PC
ジャンル:FPS(マルチプレイ専用)
『Diablo』シリーズや『Starcraft』シリーズなどで知られるBlizzard社が新たに手掛ける、マルチプレー専用の最新FPS。
プレイヤーは個性豊かな「ヒーロー」の中から一人を選び、そのヒーローによってプレイスタイルが大きく変化するという、少し前に流行した「MOBA」系を強く意識したゲーム内容で、競技性の高いハードなシューターがポイントになっている。
ズバリ、注目すべきはBlizzardというカリスマを持つ親の存在。洋ゲー黎明期を支えた伝統から、現代でも『Hearthstone』など傑作を次々と生み出し、そのノウハウは衰えるどころか進化している。
ある種の行き詰まりを感じさせるFPS界隈を革新することが、本作に出来るだろうか。
2位:DOOM
発売:Q1/Q2 2016年
ハード:PS4/Xbox One/PC
ジャンル:FPS
世間にFPSの存在を知らしめ、かつその可能性を、自らの面白さでもって証明した伝説的FPS『DOOM』の、約12年ぶりの新作。
その「朗報」は、2015年にトレイラー共々、突如としてもたらされた。迫り来るエイリアンの大群を、破壊力抜群の殺戮兵器で迎え撃つトレイラーは、真のFPSファンが内に秘めていた興奮を、確かに呼び覚ましたに違いない。
現状DOOMファンが愛用する『Brutal DOOM』から逆輸入したような仕様や、現代FPSのトレンドを取り入れ、なおかつ初代『DOOM』(『DOOM 3』ではなく)のストイックさを際限なく詰め込んだように触れ込む本作。
「『DOOM』続編」の特ダネは、紛れも無くFPS業界を震撼させたが、同時にかつて「FPSを愛していた」者たちが、この『DOOM』の一報を聞きつけて、自分のブログ等で喜ばしい反応を明らかにしていたことからも、本作の可能性を思わずにいられない。
DOOMが目覚める。それは同時に、FPS業界が、そして現代シーンに愛想を尽かしたゲーマーが目覚める瞬間でもあるのだから。
1位:DARK SOULS 3

発売:2016年3月24日
ハード:PS4/Xbox One/PC
ジャンル:アクションRPG
シビアなゲームバランスと退廃的な世界観が特徴的な、フロム・ソフトウェアによるアクションRPG『Dark Souls』の最新作。
まず言い訳すると、昨年同じような記事を書いた時、例によって同シリーズの『Bloodborne』を挙げていたことから、「おいおい、お前はフロム信者かよ」と読者の方は思われるかもしれない。
しかし、私は決してフロムに「入れ込んでいる」わけでない。第一に、私は確かに『Souls』シリーズは名作が多いと考えているが、それも『Demon's』と『2』だけで、初代ダクソと『Bloodborne』に関しては、あまり高い評価を下してない。
良くも悪くも、フロムは拘りを持つ、或いは頑固な企業である。それでいて、自らがニッチを占めていることをいいことに、調整を怠り、システムのチェックも半端にする、怠惰で高慢な企業でさえあると思う。
それでも尚、私がフロムの作品を愛するのは、フロム自身が「作りたいゲーム」を徹底して追求し、またそれは我々ゲーマーにとって「遊びたいゲーム」であるためだ。
決して、セールス一辺倒で演出や技術だけに拘るのでなく、我々が遊びたい、攻略したいと考えるゲームを、忌憚なく再現する。その姿勢は、多少の落ち度があれど『King's Field』シリーズから『AC』シリーズ、『SOULS』シリーズに至るまで貫き通された。
『Dark Souls 3』は、そのフロムの「拘り」に加え、次世代機のマシンパワーと、長大なシリーズにおけるノウハウという武器まで抱いている。
フロムは確かに秀逸な作品をたくさん生み出すが、改善すべき点も多い作品でもある。それでも彼らが許されるのは、彼らの活き活きとした拘りが作品に現れているからであり、私が本作に期待するのもまた、そんな「生の」体験なのである。
これまで、『SOULS』シリーズを語る上で用いられた、マゾいバランスから来る「難易度」や中世のデザインを色濃く反映した「世界観」、剣戟をメインとした「戦闘」といった要素は、正直私にとってはどうでもいいことなのだ。
売り上げランキング: 23
売り上げランキング: 1,125
売り上げランキング: 18