2016-01-25
「沖館川では今もEM投入が行われているのか?」についての検証
OSATO氏のブログ記事
・沖館川では今もEM投入が行われているのか?(2015年12月1日)
http://blog.goo.ne.jp/osato512/e/970e129eed6596e6f677b240afd864a0
の内容を私の方で検証させて頂きました。
1. 「沖館川をきれいにする会」について
「沖館川をきれいにする会」の三戸孝二事務局長に、この記事に掲載されているメールの内容に間違いはないか問い合わせをしました。
三戸氏より、「ブログに記載されている記事については、当方でOSATOさんの質問に答える形で回答した内容に相違ありません。」との回答を頂きました。
従って、
(2015年11月21日受信)
実情は、土手が整備されてから(当然、平成15年以前です)この地点は西滝川と沖館川の合流直下に位置していること、その形状から土砂が堆積しやすい場所で、大雨で土砂が流されては堆積するといった状況が繰り返されている場所である。
ヘドロが・・・についても、ヘドロといえる程のものではなく、上流側と同様の土砂の堆積状態程度のもので、河川水も普段は少なく流れも遅いので、同様の河川に見られる程度のものです。
それなりに汚れた海水が入り込む汽水域なので、清流に見られるような川底が砂と云った事は、どだい無理な話だと認識しています。」
当然、現在も状況は平成15年以前とさほど変わってはおらず、記事は書いた人の主観によるものと判断しております。
という見解も含めて、OSATO氏のブログには三戸氏のご意見が正しく掲載されたものだと確認できました。
2. 沖舘川にEM活性液やEM団子の投入が実施されている状況について
青森県東青地域県民局地域整備部河川砂防施設課の課長さんに取材したところ、「今現在は、うちの方では確認はしていません」「(沖舘川のヘドロを調査して報告書にまとめた)当時はやっておりました」との回答を頂きました。
3.「沖舘川のヘドロ調査」の報告書について
(OSATO氏のブログより)
OSATO氏の記事でこうした疑問点が指摘されている「沖舘川のヘドロ調査」の報告書の内容を確かめるため、正式に青森県から当該報告書を入手しました。
この報告書は「平成16年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」である事が、2012/08/01付けのDNDメルマガに記載されています。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm120801.html
(黄色のマーカーは私の方で入れました)
そこで、青森県に「行政文書の開示請求」を行い、この報告書を入手しました。
担当者の個人名等を除き、ほぼ全開示して頂けました。
(注:リンクした報告書のPDFは、PCからではないと全ページ閲覧できない場合があります)
「平成16年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」(PDFリンク)
途中省いたP13〜P17、P21〜P25、P29〜P33は、巻末の添付資料1の生データをグラフにしたものです。
(サイズがB4なので、こちらでA4に変換するのが面倒で省きました。すみません)
巻末添付資料(PDFリンク)
青森県東青地域県民局地域整備部河川砂防施設課(担当部署)に確認したところ、
この16年度報告書が最終報告書になります。
(調査の目的)
この報告書の期間は「平成16年5月から平成16年9月」までの約半年間です。
担当部署の課長さんの説明によると、この調査期間中での沖舘川への有用微生物(EM)の投入は、EM活性液の他にEM団子の形でも投入されていたそうです。総投入量や投入頻度については、学校を含むいくつかの団体が支流も含めてバラバラに行っていた事、10年前の調査でもあるので、当時の状況は正確には把握していないとのことでした。
2014/07/18付けのDNDメルマガによると、毎月2トンものEM活性液を投入したとされています。これが正しいとするとかなり大量です。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm140718.html
(黄色のマーカーは私の方で入れました)
(注:私が入手した最終報告書にはEMの投入量は書かれていませんでした)
また、「半年ごとに1冊の計2冊の相当なボリュームだ」という記述から、出口氏は「平成15年度」(中間報告)と「平成16年度」(最終報告)の2冊とも入手している事が分かります。
※「平成15年度」の報告書は、追加で青森県に開示請求をしましたので、近日中に入手できる予定です。
出口氏は、2014/07/18付けのDNDメルマガで「EM投入でヘドロが減少した!」と書き、
さらに、2015/11/11 付けのDNDメルマガでは「効果を実証した沖館川のヘドロ現地調査」として、報告書の一部の写真をUPしています。
http://dndi.jp/mailmaga/mm/mm151111.php
私が入手した、最終報告書の該当部分はどうでしょうか?
・DNDメルマガの報告書写真
「各調査地点のヘドロ層厚は各調査回次で変動するものの減少傾向を示していた」
・私が入手した最終報告書
「各調査地点のヘドロ層厚は本年度の調査を開始した5月には3地点とも3月に比べるとヘドロ層厚の増加が見られた」
さて、これは一体どういう事でしょうか?
青森県東青地域県民局地域整備部に問い合わせた結果、出口氏は最終報告書ではなく中間報告書の方の写真を出した事が判明しました。
※出口氏は、EMに効果があるかのような中間報告の部分を選んでUPしていたのです。
それでは、EM投入によってヘドロが減ったという結果は、この調査で得られたのでしょうか?
最終報告書の「結果」と「考察」を見てみましょう。
(結果)
(要因の考察)
(上記考察から抜粋)
「本調査での1年間のヘドロ層厚の変動は、生物の活性が低くなる低温期に向かって減少し活性が高くなる高温期に向かって増加していることからいわゆる生物活動によるヘドロ分解による底泥中のヘドロの減少というものではないと考えられる」
この「生物活動」に関して、担当部署である河川砂防施設課の課長さんに確認をしたところ、「EM菌を含む生物の活動」と解釈して良いとの回答でした。よって、
青森県による調査報告書での最終判断は、「ヘドロの減少は、EM菌を含む生物活動によるヘドロ分解の効果ではないと考えられる」というものでした。
DNDメルマガでは、中間報告書の都合のよい部分だけを取り出して、あたかもEM菌にヘドロを減らす効果がある様に書いていますが、それは「最終報告書の結論」とは全く違っている事が判明しました。
以上、OSATO氏の記事の検証を致しました。
新しい情報が入手できましたら、追記していきます。
・補足
青森県に追加で「平成15年度沖館川河川維持調査業務委託報告書」の開示請求をした他に、
この調査を開始した経緯と調査継続を止めた経緯についても行政の判断として参考になるため、関連する会議事録の開示請求もしました。
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