ホビー業界インサイド第7回:説明図どおりに作るだけで、プラモは楽しい! プロモデラー、松本州平インタビュー!
ここ数年、プラモデルの売り上げが右肩上がりで、女性のモデラーも増え続けている。絵本作家の松本州平さんは、80年代に模型雑誌「ホビージャパン」で戦車のプラモデル作品を発表しはじめた、ベテラン・モデラーだ。
現在は、「スケールアヴィエーション」誌で、主に飛行機のプラモデル作品を精力的に作り続けている松本さんに“プラモデルづくりの楽しさ”をうかがってみた。
プラモデルを改造して、夏休みの宿題として提出!
──松本さんは80年代、「ホビージャパン」誌にプラモデル作品を掲載していましたが、その契機は何だったのでしょうか?
松本 武蔵野美術大学に通っていたころ、下宿のすぐ近くに市村弘という男が住んでいました。その市村くんもプラモ好きで、ちょくちょく遊びに行くようになっていたんですけど、彼は卒業してから「ホビージャパン」誌の編集者になったんです。僕はプラモ好きのイラストレーター、横山宏くんとも仲がよかったので、横山くんを「ホビージャパン」編集部に紹介しに行ったわけです。
──横山宏さんは、プラモデルも多数発売されているSF企画「マシーネンクリーガー」の原作者ですね。
松本 そうです。横山くんはイラストだけでなくプラモデルづくりもうまかったので、「ホビージャパン」のライターとして、ちょうどいいだろうと思ったんです。で、編集部にいた市村くんに横山くんを紹介して、「それじゃ」と帰ろうとしたら、「ねえ、松本さんもライターやらない?」と市村くんに誘われまして。それが、模型雑誌に関わりはじめたキッカケですね。その当時は、デザイン事務所に勤めていたんですけど、だんだん模型雑誌に作品を発表するのが面白くなってしまって(笑)。結果的に、連載のような形で、プラモデルを毎月作ることになりましたね。
──そもそも、松本さんとプラモデルとの出会いは?
松本 幼稚園ぐらいのころ、駄菓子屋に「ピーナッツ・シリーズ」という飛行機の安いプラモデルが売っていたんです。それをよく作っていて、小学校に上がると、ラッカーで色を塗るようになりました。色を塗ると、接着剤がはみ出した汚いところが隠れるし、ちょうどいいと思って(笑)。
──その後も、ずっと飛行機を作っていたんですか?
松本 いえ、小学校のころに怪獣ブームが起きたんです。そこで今度は、マルサン商店という模型メーカーから発売されていた、「ウルトラマン」の怪獣やジェットビートルなどのプラモデルを買いはじめました。だけど、田舎でしたから、ショッピングセンターで怪獣のプラモを買っていたら、クラスの勉強のできるヤツから「お前、まだそんなもん買ってるのかよ?」と、バカにされましたねえ。中学校に入ると、ようやく艦船模型を作っている連中と知り合えて、そいつらとは、いまだに付き合いがありますよ。
──中学生のころ、プラモデル関連で印象的なエピソードはありますか?
松本 車のプラモデルを改造して、夏休みの宿題として提出したんです。しっかり塗装もして、我ながらよくできたんですよ。すると、美術の先生が「こんなすごい車の模型、見たことない」って、ほめてくれたんです。それから、「あっ、プラモデル続けてもいいんだ」ってうれしくなって、ますますハマっていきましたねえ。
「読者をビックリさせたい」気持ちが、最優先!
──その後も、趣味はプラモデル一本だったんですか?
松本 高校に入ると、バンドなんかを始めましたね。それと、サッカー部のキャプテンもやってたんですよ。だから、インドア系ではなかったんです。そのいっぽうで、ちまちまとプラモデルを作り続けていました。勉強以外のことは、何でもやってましたね。
──松本さんが「ホビージャパン」誌でデビューしたころ、「安いから」という理由で、1/72スケールの小さな戦車を作っていましたよね。
松本 勤めていたデザイン事務所の給料が安かったので、あまり高い模型を買えなかったんですよ。
──高い工具も使わず、「焼いた針」なんかを使っていて、年少者にやさしい作り方を紹介していたと思うのですが?
松本 いえ、年少者を意識していたわけではないんです。単に、自分なりに「これでいいんだ」と思う作り方をしていました。だけど、僕の作り方を、先ほど話に出た市村くんや横山くんが面白がっていたフシはあります(笑)。今にして思うと、「こいつには、好きに作らせておこう」と、面白がられていたんでしょうね。
──プラモの制作記事にしては、「改造しちゃアカン」「買うたやめた音頭」など、ギャグのようなフレーズが続出していましたね。
松本 それはねえ、もともと僕は、まじめな話ができないんですよ。まじめな話をしていると10分も持たないので、つい変なことを言ってしまう。そんな僕の性格に、市村くんが気づいて、面白い誌面にしていったんですよ。「なんか笑えるセリフ、しゃべれ」って(笑)。たぶん、普通のモデラーさんは、「作品を発表する場」として模型雑誌をとらえていると思うんですけど、僕らは「面白い誌面をつくるために、プラモデルを作る」スタンスでした。読者が楽しんでくれれば、それでいい。だから、当時の作品なんて残ってないですよ。
──そこが根本的に、他のモデラーさんと違うんでしょうね。
松本 ええ、違うと思います。「この見開きページのプラモ、すごいな!」とビックリしてもらいたいがために、プラモデルを作っていましたから。「模型雑誌の作例として、資料的に間違った部分がある」と批判の手紙ももらいましたけど、「間違った部分があるのはわかっているけど、面白さ優先」でした。
──いま、戦車のプラモデルを作ろうとすると、ちょっとハードルの高いイメージがあります。
松本 いきなり、連結式キャタピラなんて組まされたら、初めての人にはキツいでしょうね。僕の場合、よくわからないパチ物みたいな安い戦車のプラモから入って、次にニチモのリモコン戦車、それからタミヤの本格的なミリタリーミニチュア……と、段階を踏むことができたんですよ。いま、ちょっと厳しい時代に入ってるのかもしれませんねえ。
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