SansuiそれはMinimalで美しいですね
こんにちは!
あなたはニンジャスレイヤーのTwitter連載第1話について知っていますか?
ニンジャスレイヤー第一話「ネオサイタマ炎上」より「ゼロ・トレラント・サンスイ」
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
@njslyr の最初のツイート。何の前置きもなく連載が始まりました。
ニンジャスレイヤー日本語版Twitter公式アカウントは、今からおよそ6年前、2010年7月24日19時48分に、何の前置きもなく、実質上の第1話である「ゼロ・トレント・サンスイ」のツイートを開始しました。今日は当時の様子を振り返りつつ(このエントリ内で全て読めます!)、その後のゼロ・トレラント・サンスイの歩みについて追ってみましょう。
◆ゼロ・トレラント・サンスイ◆
ニンジャスレイヤー第一話「ネオサイタマ炎上」より「ゼロ・トレラント・サンスイ」
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
(これまでのあらすじ) ソウカイ・ニンジャズの手練れ、ミニットマンとイクエイション。ニンジャスレイヤーを待ち伏せた二人のうち、イクエイションは真っ二つにされて絶命した。しかしミニットマンはパートナーの死と引き換えに、ニンジャスレイヤーの正体に迫るチャンスを掴んだのだ。— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ぞっとするほど冷たいコンクリートの感触を全身で味わいながら、ミニットマンは十年前の「戦争」を思い出していた。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
敵地の真っ只中で、彼の部隊は母体に裏切られた。トカゲのシッポのように、捨てられたのだ。生き残ったのは彼とイクエイションただ二人。あのときもこうして、冷たいコンクリートに身を横たえ、じっと待ち続けていた。そしていま、彼の横にイクエイションはいない。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ミニットマンの体を雨がしとどに濡らす。おお。おお、イクエイション。しかしこの雨は天の計らいだ。ニンジャに涙は許されぬのだから。ミニットマンは目を閉じた。脳裏に浮かび上がるのは、イクエイションの絶命の瞬間である。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「サヨナラ!」イクエイションはそれだけ言うのがやっとだった。ハラキリの時間すら与えられなかった。ニンジャスレイヤーの無慈悲な一撃は、バイオ・ケブラーでくまなく覆われたイクエイションの体を、脳天から爪先にかけて、両断したのだ。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
許さぬ。そして、安らかに。....ミニットマンは顔を上げた。彼が生存したのは、イクエイションにすら明かさなかった秘密のジツ。「マッタキ」によるものだ。ニンジャスレイヤーはミニットマンを死んだものと取り違え、去ったのだ。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
その判断の誤りを、死をもって後悔させてやろう。...ミニットマンは、うつ伏せの姿勢から、匍匐前進を始めた。コンクリートに残る生体反応を辿り、目指すは、ニンジャスレイヤーの.....アジトである。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ミニットマンの匍匐前進は、いまや最高速をマークしていた。彼の匍匐前進速度はチーターに匹敵するとされる。生体反応をトレスすること二十分。ついに彼はニンジャスレイヤーの後ろ姿を、とらえた。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「アタマ・ストリート」。屋台が所狭しと道を塞ぎ、防金属流子トレンチコートに身をつつんだ求職者が首をすぼめて縦横に行き交う大通りを、ニンジャスレイヤーはまっすぐに抜けていく。それを追うミニットマンの匍匐。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ニンジャスレイヤーは地下街へ降りていく。ミニットマンは距離をおいて彼に続いた。匍匐では階段を降りられないので、ミニットマンは中腰の姿勢をとった。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
地下街通路を歩きながら、ニンジャスレイヤーはどこからかトレンチコートを取り出し、羽織った。さらにズキンの上からハンチングを被る。ミニットマンはその手際のほどに唸った。これでもう、彼の出で立ちを気にかけるものなどいなくなる。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
逆にミニットマンは、自身の格好がいまだニンジャスーツのままである事に思い至った。衆目の中でこの出で立ちはベストとは言えない。彼は地下街の壁に寄りかかる浮浪者のボロを無慈悲に剥ぎ取った。ネオサイタマの大気に無防備に晒されれば、哀れな浮浪者は24時間以内に死ぬだろう。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ミニットマンの無慈悲な行いに異議を申し立てるものはいない。当の浮浪者でさえも。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
潰れたブティックの鉄格子や、薄汚いマガジン・スタンド、違法な回路基板をおおっぴらに並べた店、蛍光色のスプレーで「バカ」「スゴイ」など、悪罵を極めた言葉をペイントされたシャッター......死んだ空気をかきわけ、ニンジャスレイヤーはサッキョー・ラインのホームへ歩いていく。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ニンジャスレイヤーがゲートをくぐってから一分置いて、ミニットマンも構内へと足を踏み入れた。ゴミが所狭しと床に堆積した不潔な空間であるが、この駅の利用者は決して少なくない。無気力なゾンビのようなサラリマンをかきわけ、ミニットマンはニンジャスレイヤーの尾行を続ける。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
やがてホームに鉄の塊が走りこんできた。竣工当時は銀色に光っていたであろう電車のボディも、今やグラフィティの餌食となっている。「アソビ」「アブナイ」「ケンカ」......。重苦しいサウンドを響かせ、ドアが開く。ミニットマンはニンジャスレイヤーの隣の車輌に乗り込んだ。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
車輌の窓から、ミニットマンはニンジャスレイヤーを監視していた。どの駅で降りる、ニンジャスレイヤー!
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「カスガ」駅では大勢降りたが、ニンジャスレイヤーは動かなかった。「センベイ」駅でもだ。この電車はエクスプレスだ。限られた駅にしか止まらない。終点まで行くつもりか?
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
チープな電子音が「カーブ注意」を知らせた。ぐらりと車体がかしぐ。ミニットマンは吊り革に力を込めた。その一瞬のことだった。ニンジャスレイヤーは隣の車輌から忽然と消え失せていた。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「バカな!」だが、慌てるな。生体センサーが道を示してくれる!ミニットマンは網膜に映し出された二次元レーダーを確認した。ニンジャスレイヤーを示す赤い点はほとんど動いていない。と言う事は....「上か」
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ミニットマンは窓枠を乗り越え、電車の側面から上へよじ登った。トンネルの壁面に走行音がごうごうと反響し、風圧が襲いかかるが、ニンジャにとって、この程度の動作はウォームアップですらない。ミニットマンは隣の車輌上の人影を見据えた。ニンジャスレイヤーは腕組みして仁王立ちになっていた。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
復讐と功名心、そして焦りに雲らされていたミニットマンの意識も、ここへ来てついに認めざるを得なかった。ーーニンジャスレイヤーはミニットマンの尾行に気づいていた、そして、こうして.....彼を待ち伏せたのだ!
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「ドーモ、ミニットマン=サン。ニンジャスレイヤーです」風に乗って、ニンジャスレイヤーのアイサツが届く。ミニットマンは怒りに震える手を合わせ、アイサツを返した。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ミニットマンです」
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
再戦である。ニンジャスレイヤーがおそるべき手練れである事は身に染みてわかっている。この間合いで最も注意を要するのは、スリケンをガードさせておいての飛び蹴りだ。それさえやりすごせば勝機が見える。スリケンを撃ち落とし、飛び蹴りをブリッジで避けるのだ!
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「イヤーッ!」....来る!ミニットマンは迎撃のスリケンを構えようとした。.....それで終わりだった。ミニットマンの目の前、息がかかるほどの近さに、ニンジャスレイヤーがいた。ミニットマンの胸の中心やや左寄りに、温かい感触があった。そんな。そんなばかな。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ーー戦いは一瞬で決着した。ニンジャスレイヤーがミニットマンの胸から右手を引き抜く。手の中でまだ蠢く心臓を無感動に一瞥したのち、彼はそれを握りつぶした。電車がカーブにさしかかる。ミニットマンが叫んだ。「バンザイ!」電車から振り落とされながら、彼の体は爆発四散した。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
やがて、電車はブレーキを軋ませながら徐々に速度を落とす。ヤヌタ駅。物思いにふけっていたニンジャスレイヤーはその数百メートル手前で車輌から飛び降りた。壁面に取り付けられたハシゴを迷いなく見つけだし、それを伝ってマンホールから地上に出ると、そこは自然公園の只中だ。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ニンジャスレイヤーの頭上には赤い満月が浮かぶ。鎮守の森の奥、彼の歩みの先には、小さな堀で囲まれた庭園がある。ネオサイタマにはおよそ不釣り合いな、神秘と静寂が支配する空間だ。ニンジャスレイヤーはゆっくりと、おごそかに歩を進める......。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
ああ、しかし、見よ!彼の背中を!そこに小さく張り付いた金属のカケラを....!爆発四散したミニットマンのカケラである。ホタルのように弱々しい明滅を繰り返すそれは、いったい何をニンジャスレイヤーにもたらそうと言うのか......?
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
それは、偶然であったろうか。それとも、ミニットマンの怨念か、執念か。金属片は微弱な信号を何者かに発信し続ける。そして我々は、信号を受信するその男を、知っている。上空70メートル、VTOLの上に直立し、左耳に手を当てるそのニンジャを......!
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
「目標を捕捉した」感情のこもらぬ呟き。それに答えるくぐもった通信。沈黙。再びニンジャは呟く。「いや、必要無い。900秒後に交戦を開始する」無線を切ると、ニンジャはVTOLの機上から、ゆらりと身を躍らせた。
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
自然公園めがけて垂直に落下するニンジャ......フジオ・カタクラ、またの名をダークニンジャは、死闘の予感に何を思うか、メンポの奥で、静かに目を細めるのだった。 (「メナス・オブ・ダークニンジャ」へつづく)
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 24
次の日の11時53分、「メナス・オブ・ダークニンジャ」は始まらず、「レイジ・アゲンスト・トーフ」の#1セクション「バックストリート・ニンジャ」が始まりました。
第1巻「ネオサイタマ炎上」より「バックストリート・ニンジャ」
— Ninja Slayer (@NJSLYR) 2010, 7月 25
◆各種メディアミックスへと発展◆
この記念碑的エピソード「ゼロ・トレラント・サンスイ」は、「これまでのあらすじ」とともに、物理書籍1巻の冒頭を飾ることとなりました。その後、サンスイはコミカライズやアニメイシヨン化など、各種メディアミックスを経ることになりますが、このオーディオドラマ作品を忘れてはいけません。さっそく、ネオサイタマのサウンドを体験してみましょう。
▼CAST
ニンジャスレイヤー 森川智之
ダークニンジャ 速水奨
ミニットマン 菅原正志
イクエイション 三浦祥朗
ナレーション ゴブリン
オーディオドラマの聴きどころは?
オーディオドラマ化にあたり、電子戦争時のくだりと、ダークニンジャのくだりが加筆されました。これは「ワオ! ミニットマンに声がつくの? 凄いね! 小説としてのサンスイはこれ以上足し引きすべき箇所が無い完成品だけど、メディアミックス作品なら話は別さ!」といって原作者が特別に書き下ろしたものです。
登場人物ボイスアクティングメントは勿論、音響サウンドメントにも注目してください。ネオサイタマの猥雑な街並み……電車……あなたの頭上を横切るヘリコプター……それはアンビエント的であり、アトモスフィアを感じる事でしょう!
愛すべきミニットマン、その多様な姿
「サンスイ」の魅力をかたるうえでは、ミニットマンのキャラ性も忘れてはいけません。まずはコミカライズから見ていきましょう。「サンスイ」は、「キルズ」と「グラマラス・キラーズ」でコミカライズされています。
〈KILLs 002〉P002-P003 NINJA SLAYER 殺『水曜日のシリウス』にて連載中!! http://t.co/TQkSvDkOUw #njslyr pic.twitter.com/yylwJdExEe
— 月刊少年シリウス編集部 (@shonen_sirius) 2014, 2月 5
- 作者: 関根光太郎,本兌有,杉ライカ,ブラッドレー・ボンド,フィリップ.エヌ・モーゼズ
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イクエイションとの作戦行動シーンも読める
「キルズ」ではネオサイタマの街並みを俯瞰し、オリジナルのサイバネ要素などを味わえます。フジキドのニンジャスレイヤー化を描く「ボーン・イン・レッド・ブラック」に続く第2話として連載されました。
「ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ」(漫画) 序章・:ゼロ・トレラント・サンスイ ★P.04★ #njslyr pic.twitter.com/UeC6py7Q6P
— B's-LOG COMICS (@comibi) 2013, 9月 2
ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ 1 (B's-LOG COMICS)
- 作者: さおとめあげは,(原作)ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ,(原作翻訳・漫画版監修)本兌有+杉ライカ,(キャラクター原案)わらいなく
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
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復讐者が復讐される、原作の本質的テーマをストイックに追求
「グラマラス・キラーズ」は連載第1話が「サンスイ」でした。静と動、ワビサビの効いた脚本と作画。ニンジャアノヨなどのオリジナル概念導入が光っています。
アニメイシヨン版のミニットマンは、物理書籍版のわらいなくデザインに最も近い
このように、ミニットマンは悪役ですが、世界中にいる大勢のソウカイニンジャマニアによって愛されています。なぜでしょう? 時系列的にはスキャッターが最初にニンジャスレイヤーに殺されたソウカイニンジャですが、物理書籍上はミニットマンが最初にニンジャスレイヤー殺されたソウカイニンジャだからです。きっとこれからも、メディアミックスがあるたびに、ミニットマンは様々な姿で我々の前に姿を現してくれるはずです!
◆未来へ◆

いかがだったでしょうか。重金属酸性雨が降りしきる灰色のメガロシティ。ニンジャスレイヤーを追う、ソウカイヤの刺客ミニットマン。二人の復讐者が対峙する時、カラテが爆発する……限界まで無駄を削ぎ落とされたその筆致は、ワビサビすら感じさます。サンスイは原作者2人にとっても、また翻訳チームにとっても、事あるごとに立ち返るべき、ニンジャスレイヤーの重要な原点のひとつです。
このブログ記事が、大勢の人にとって初めてのニンジャスレイヤー・エピソードとなったならば幸いです。「ウワッ、ニンジャ怖……なんでTwitterで連載とかしてるの……」という警戒心を抱いていたあなたも、今回のサンスイとオーディオドラマによって、完全にニンジャアトモスフィアの虜です。そして過去のニンジャスレイヤー連載ログや、ニンジャスレイヤー物理書籍「ネオサイタマ炎上1」へと挑む準備が整いました! ぜひ「サンスイ」を入り口に、ネオサイタマへと飛び込んでみてください!
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,わらいなく,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2012/09/29
- メディア: 単行本
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(Tantou)