米国・ラスベガスで開催された世界最大の家電見本市 CES 2016より。クアルコムは、Snapdragon 820からサポートする『アンテナブースト』(Antenna Boost)デモしました。

スマートフォンは持ち方によって電波感度が変わるほか、セルエッジ(エリア境界)付近では電波の出力を上げて基地局の通信を保とうとするため、バッテリーを大きく消費します。アンテナブーストはそのような電波環境による通信品質の低下とバッテリーの浪費を防ぐための技術です。

クアルコム アンテナブースト

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アンテナブーストは、電波状況に応じてアンテナ出力を最適化する技術です。クアルコムの最新モバイルSoC Snapragon 820からサポートしています。

具体的には『基地局が端末に17の出力で電波を出しなさいと指示していて、端末は21の出力で出している。これをアンテナブーストを使えば18で済む』(担当者)といいます。クアルコムはSnapdragonのモデムからその先、パワーアンプ、チューナー、アンテナの直前までを揃えており、全体のアンテナの使い方を最適化することで、端末は少ない電力で基地局と通信可能。また通信事業者的には実質的なサービスエリアが広くなるメリットがあるとしています。


アンテナブーストを実機でデモ。エリア境界での通信速度・バッテリー持ちが顕著に改善

CES 2016のクアルコムブースでは、シールドボックスの中にスマートフォンを設置。これはセルエッジ(エリア境界)の電波状況を再現したもので、アンテナブーストのONとOFFで通信速度や消費電力がどう変化するかデモが行われました。


こちらは通信速度を比較したグラフです。アンテナブーストONでは4800Kbps程度出ていますが、OFFでは1000Kbpsにまで低下します。エリア境界における通信品質の改善が示されています。


こちらはバッテリーの持ちを比較したグラフです。右側がアンテナブーストをON、右側がOFFにした状態です。バッテリーが長持ちすることが示されています。



このようにエリア境界における通信品質・バッテリー持ちの向上をアピールしていました。エリア境界付近に住んでいて、端末が基地局と大出力で通信するためにバッテリー消費が激しくて困っているという方などにに嬉しい機能と言えそうです。

なおアンテナブーストはSnapdragon 820からサポートしますが、担当者によれば実装にはメーカー側が早期に端末へのアンテナ組み込みについて考慮する必要があるといい、全てのSnapdragon 820端末がアンテナブーストに対応するわけではありません。

スマホのバッテリーが長持ち、Snapdragon 820が対応する『アンテナブースト』をクアルコムがデモ:CES 2016

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