韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は13日、国民向け談話の発表と続く記者会見で、国会・経済問題を語る際にため息と苦笑いを繰り返した。特に、「経済活性化法案の成立が危うくなっているが、どう対処するのか」と尋ねられると「私が質問を数十個も受けたので、私も一つくらい質問したい。こんな状況で大統領と行政府がこれ以上どうすべきなのか」と、野党などの反対で重要法案の処理が進まない状況にもどかしさをのぞかせた。その上で「法案を国会議長の職権で(本会議に)上程するしかないというのが今の韓国の状況だ」と述べてため息をつき、苦笑いを見せた。
朴大統領は会見の間、大きなジェスチャーをあまり見せなかったが、国会と経済状況に関する話が出たときだけは手振りを交えながらいら立ちを示した。地方経済の活性化に向け政府が作成することになっている「規制フリー特別法」の話が出たときも同様だった。朴大統領は「規制フリーゾーンと関連しては、規制フリー特別法をすぐに作って…」と言いかけ「あ、これも経済活性化法でしょう」と述べてため息をついた。「(法案が成立しないから)作ることも怖くなる」とも述べた。
質疑応答の大半は、国会で審議が滞っている経済活性化法案、労働改革法案の話となった。企業の輸出競争力強化と内需てこ入れに向けた処方策を問われると、朴大統領は「これが昨年全て解決していれば、皆さんも新しい質問をしていたでしょう。ただ積み重なって解決されないまま残っているので、このことについて私たちがまた話すことになる。こんな風にして私たちが前に進んでいけるのか」と反問した。
談話では、若年層の雇用促進などの労働改革と関連し、1960-70年代にドイツに派遣された鉱山労働者と看護師の献身に触れながら「先輩たちが犠牲を覚悟して示した愛国心を、今こそ私たちが少しでも分け合い、互いに譲歩してこの国が危機を脱せるよう協力してほしい」と述べて頭を下げた。労働界に対し、既得権を少しずつ手放して譲歩するよう求めたものだ。
堅苦しい雰囲気の質疑応答が続くと、朴大統領が記者に向かい「先ほど一度にたくさんの質問をされたが、私は頭が良いのでこんな風に覚えていられる。頭が悪ければ記憶できない」と冗談を口にする一幕もあった。
談話の発表は31分間、記者会見は1時間8分行われたが、朴大統領は明るい表情をほとんど見せなかった。一番表情が明るかったのは、談話の冒頭「2016年の新年を迎え、家庭に健康と幸福が満ちるようお祈りする」と国民にあいさつしたときだった。