ニュース詳細
冬山遭難 バックカントリーの危険性1月13日 20時23分
12日から13日にかけて長野県と福島県のスキー場で外国人のスキー客が相次いで遭難しました。いずれも無事でしたが、冬山のリスクを改めて浮き彫りにしました。「バックカントリー」と呼ばれるコース外を滑るスキーの危険性です。
スキー場で遭難相次ぐ
12日、長野県野沢温泉村の野沢温泉スキー場で、32歳から47歳のフィンランド人の男性6人が遭難しましたが、13日朝、全員、警察のヘリコプターで救助されました。いずれもけがはないということです。
一方、福島県北塩原村でスキーをしていて遭難したオーストラリア人の男女6人のグループは、12日午後10時半すぎスキー場のコースから外れた山の中で、消防やスキー場の救助隊に発見され、13日、歩いて下山しました。
一方、福島県北塩原村でスキーをしていて遭難したオーストラリア人の男女6人のグループは、12日午後10時半すぎスキー場のコースから外れた山の中で、消防やスキー場の救助隊に発見され、13日、歩いて下山しました。
コース外 バックカントリーの危険性
長野県で遭難したフィンランド人の6人は「バックカントリー」と呼ばれるコース外を滑るスキーをしていました。警察によりますと、6人は、「新雪で滑りたかった」と話しているということです。
長野県によりますとおととし1年間に県内に宿泊した外国人の数はのべ46万5000人余りで過去最多となっていて、この10年間で4倍以上と大幅に増えました。このうち、野沢温泉村に宿泊した外国人の数は1万6000人余りで、その97%が冬のスキーシーズンに訪れた客。
海外では珍しいパウダースノーでの滑走を求めてスキー場のコースの外に出たり冬山の中を滑ったりする「バックカントリースキー」を楽しもうという人も少なくないということです。
野沢温泉スキー場をフランスから訪れた外国人の男性は「雪質も軽いし、人も少ないのでバックカントリースキーは好きだ」と話していました。
長野県内でバックカントリースキーや、スキー場のコースの外を滑って遭難したケースは、去年1年間で、26件。このうち去年1月にはスキー場のゲレンデの外でスキーをしていたアルゼンチン人5人が雪崩に巻き込まれて2人が死亡するなど、外国人が事故にあうケースは5件ありました。
一方、福島で遭難したオーストラリア人の男女6人は、警察に対し、濃い霧がかかっていたため、コースを間違えたと話しています。
ただ、地元で30年間、スキーヤーなどが宿泊する宿を営みながらガイドをしている清水秀俊さん(58)は、「以前から、ガイドなしでスキー場のコース外に出ている人も見かける」と話しています。
「バックカントリースキー」については、「整備されていない場所を滑るのだから、雪崩が起きたり、木にぶつかったりすることに注意しなければいけない。コンパスと地図は必須で、山の地図の読解ができずに出て行くのは危険だ。冬山に登るときのようなビーコンという発信器やスコップなども必要だ」と指摘しています。
福島県内では、スキーやスノーボードをしている最中に起きた遭難は、平成27年までの5年間で9件あり、そのうち7件が、スキー場のコースの外を滑っていて遭難したケースだということです。
長野県によりますとおととし1年間に県内に宿泊した外国人の数はのべ46万5000人余りで過去最多となっていて、この10年間で4倍以上と大幅に増えました。このうち、野沢温泉村に宿泊した外国人の数は1万6000人余りで、その97%が冬のスキーシーズンに訪れた客。
海外では珍しいパウダースノーでの滑走を求めてスキー場のコースの外に出たり冬山の中を滑ったりする「バックカントリースキー」を楽しもうという人も少なくないということです。
野沢温泉スキー場をフランスから訪れた外国人の男性は「雪質も軽いし、人も少ないのでバックカントリースキーは好きだ」と話していました。
長野県内でバックカントリースキーや、スキー場のコースの外を滑って遭難したケースは、去年1年間で、26件。このうち去年1月にはスキー場のゲレンデの外でスキーをしていたアルゼンチン人5人が雪崩に巻き込まれて2人が死亡するなど、外国人が事故にあうケースは5件ありました。
一方、福島で遭難したオーストラリア人の男女6人は、警察に対し、濃い霧がかかっていたため、コースを間違えたと話しています。
ただ、地元で30年間、スキーヤーなどが宿泊する宿を営みながらガイドをしている清水秀俊さん(58)は、「以前から、ガイドなしでスキー場のコース外に出ている人も見かける」と話しています。
「バックカントリースキー」については、「整備されていない場所を滑るのだから、雪崩が起きたり、木にぶつかったりすることに注意しなければいけない。コンパスと地図は必須で、山の地図の読解ができずに出て行くのは危険だ。冬山に登るときのようなビーコンという発信器やスコップなども必要だ」と指摘しています。
福島県内では、スキーやスノーボードをしている最中に起きた遭難は、平成27年までの5年間で9件あり、そのうち7件が、スキー場のコースの外を滑っていて遭難したケースだということです。
パウダースノー求める外国人客急増
外国人向けの旅行商品を扱う旅行会社によりますと、国内のスキー場は「パウダースノー」と呼ばれる良質な粉雪が特に欧米人の間で評判を呼び、急速に人気が高まっているということです。
海外の複数の旅行サイトで「日本のスキー場は世界有数の良質なパウダースノーを誇る」と紹介され、世界各地のスキー場とともに北海道や本州各地のスキー場が数多く掲載されています。
これらの旅行サイトで申し込むツアーの中にはパウダースノーを楽しむため、ガイドとともに圧雪されていないコースの外を滑る「バックカントリー・スキー」を売りにしているものもあります。
大手旅行会社・JTBの岡部久人マネージャーは、「スキーを目的に日本を訪れる外国人は、円安の影響もあって増加傾向が続いている。特に時差が小さく日本と季節が逆のオーストラリアからのスキーヤーが目立っている。地域では雪質のよい北海道や上越、東北地方のスキー場の人気が高く、1週間以上滞在する外国人も少なくない」と話しています。
その上で、「実際に訪れた外国人が雪質の良さなどをSNSなどに書き込むことで、口コミで人気が広がっているとみられ、今後も外国人が増えることが予想される。旅行業界としてもスキーを安全に楽しんでもらうための注意喚起を行っていきたい」と話しています。
日本政府観光局によりますと、日本を訪れる外国人旅行者は▼3年前の平成25年に1036万人と初めて1000万人を超え、▼おととしは1341万人、▼去年は推計で1900万人を上回っています。
観光庁が外国人旅行者を対象に行ったサンプル調査で「スキーやスノーボードをした」と答えた人は、▼平成25年に2.9%、▼おととしには3.8%に増加し、およそ50万人が日本でスキーなどを楽しんだと推定されています。
観光庁は円安基調が続いていることやビザの発給要件が緩和されたことなどから、今後も日本を訪れ、スキーやスノーボードを楽しむ外国人旅行者は増えるとみていて、有識者の会合を設けて外国人を対象にしたスキー場の安全対策などを検討しています。
海外の複数の旅行サイトで「日本のスキー場は世界有数の良質なパウダースノーを誇る」と紹介され、世界各地のスキー場とともに北海道や本州各地のスキー場が数多く掲載されています。
これらの旅行サイトで申し込むツアーの中にはパウダースノーを楽しむため、ガイドとともに圧雪されていないコースの外を滑る「バックカントリー・スキー」を売りにしているものもあります。
大手旅行会社・JTBの岡部久人マネージャーは、「スキーを目的に日本を訪れる外国人は、円安の影響もあって増加傾向が続いている。特に時差が小さく日本と季節が逆のオーストラリアからのスキーヤーが目立っている。地域では雪質のよい北海道や上越、東北地方のスキー場の人気が高く、1週間以上滞在する外国人も少なくない」と話しています。
その上で、「実際に訪れた外国人が雪質の良さなどをSNSなどに書き込むことで、口コミで人気が広がっているとみられ、今後も外国人が増えることが予想される。旅行業界としてもスキーを安全に楽しんでもらうための注意喚起を行っていきたい」と話しています。
日本政府観光局によりますと、日本を訪れる外国人旅行者は▼3年前の平成25年に1036万人と初めて1000万人を超え、▼おととしは1341万人、▼去年は推計で1900万人を上回っています。
観光庁が外国人旅行者を対象に行ったサンプル調査で「スキーやスノーボードをした」と答えた人は、▼平成25年に2.9%、▼おととしには3.8%に増加し、およそ50万人が日本でスキーなどを楽しんだと推定されています。
観光庁は円安基調が続いていることやビザの発給要件が緩和されたことなどから、今後も日本を訪れ、スキーやスノーボードを楽しむ外国人旅行者は増えるとみていて、有識者の会合を設けて外国人を対象にしたスキー場の安全対策などを検討しています。
外国人への対応が必要
外国人スキー客の事情に詳しい早稲田大学スポーツ科学学術院の原田宗彦教授は、「外国人スキー客は円安などの影響もありここ2、3年で急増し、野沢温泉スキー場ではおよそ3割が外国人だと言われている。パウダースノーを求めて圧雪されていないコース外で滑りたいという外国人が多いため、英語で警告の看板を設置するなど先進的な取り組みを行っていたのにもかかわわらず遭難が起きたのは残念だ。急増する外国人に対応が追いつかないスキー場も多く、今後の大きな課題だ」と話しています。
スキー場や自治体 独自の対策も
バックカントリースキーによる遭難などが後を絶たないことを受け、スキー場や自治体では独自の対策をとっています。
今回遭難があった野沢温泉スキー場では、コースの外に出ないようスキーヤーなどへの呼びかけを続けていて、ここ数年は、日本語と英語の両方で注意を呼びかけるポスターをゴンドラの中やゲレンデに掲示しています。
ポスターには▽滑走が禁止されている区域やスキー場の管理区域がわかりやすく色分けされて表示されているほか、▽コースの外に出てスキーをする場合は計画書を提出して予定するコースや装備、それに連絡先などをスキー場に知らせるよう呼びかけています。
さらに野沢温泉村では独自に条例を制定し、スキー場のコースを外れて救助された場合には、かかった費用を自己負担させることを定めています。
野沢温泉スキー場の運営会社の片桐幹雄社長は「スキーは大変楽しいスポーツだが、自然の中で行うもので危険も隣り合わせだということをきちんと自覚してほしい。ルールをきちんと守った上で楽しんでもらいたい」と話しています。
また、バックカントリーと呼ばれるコース外でのスキーを楽しむ外国人が多い北海道のニセコ地区では、地元の協議会から委託を受けた民間の組織が、およそ15年前からシーズン中、毎日、バックカントリーに入る場合のその日の注意点を記した独自の情報を、日本語のほか英語でも発表し、遭難防止に効果を上げています。
バックカントリーでのスキーには雪崩を中心に、ルートの間違いによる遭難などコース内での滑走にはない危険があるため、ニセコのスキー場は、以前は全面的に禁止していました。しかし、規則を破ってコース外に出るスキーヤーが相次ぎ、死亡事故も後を絶たなかっため、平成13年、スキー場などでつくる地元の協議会は、一定のゲートからのみ、バックカントリーに入って自己責任で滑ることを認める、「ニセコルール」と呼ばれる取り組みを始めました。
一方で、協議会から委託を受けた民間の組織が、独自の調査にもとづいて、その日の雪崩の起こりやすさや気象条件、ルート上の注意点などを「ニセコなだれ情報」としてシーズン中、毎日、ホームページで発表することで注意を促し、外国人にも対応して英語の訳もつけています。
ニセコ地区の山では昭和60年から平成11年までに合わせて8人が雪崩で死亡しましたが、ニセコルールの取り組みが始まって以降、リフトを使ったスキーヤーによる雪崩死亡事故は起きていません。
ニセコルールの取り組みの中心となり、「ニセコなだれ情報」を発表している登山家の新谷暁生さんは「外国のスキーヤーには、日本の冬山は、海外の山に比べて“やぶ”が多くて迷いやすいことなどを認識したうえで、滑ってもらいたい。一方、外国人を含めて、バックカントリーで滑りたい人がいる以上、スキー場側も、何らかの柔軟な取り組みを行っていく必要があるのではないか」と話しています。
ニセコなだれ情報URLは、http://niseko.nadare.inofo/
今回遭難があった野沢温泉スキー場では、コースの外に出ないようスキーヤーなどへの呼びかけを続けていて、ここ数年は、日本語と英語の両方で注意を呼びかけるポスターをゴンドラの中やゲレンデに掲示しています。
ポスターには▽滑走が禁止されている区域やスキー場の管理区域がわかりやすく色分けされて表示されているほか、▽コースの外に出てスキーをする場合は計画書を提出して予定するコースや装備、それに連絡先などをスキー場に知らせるよう呼びかけています。
さらに野沢温泉村では独自に条例を制定し、スキー場のコースを外れて救助された場合には、かかった費用を自己負担させることを定めています。
野沢温泉スキー場の運営会社の片桐幹雄社長は「スキーは大変楽しいスポーツだが、自然の中で行うもので危険も隣り合わせだということをきちんと自覚してほしい。ルールをきちんと守った上で楽しんでもらいたい」と話しています。
また、バックカントリーと呼ばれるコース外でのスキーを楽しむ外国人が多い北海道のニセコ地区では、地元の協議会から委託を受けた民間の組織が、およそ15年前からシーズン中、毎日、バックカントリーに入る場合のその日の注意点を記した独自の情報を、日本語のほか英語でも発表し、遭難防止に効果を上げています。
バックカントリーでのスキーには雪崩を中心に、ルートの間違いによる遭難などコース内での滑走にはない危険があるため、ニセコのスキー場は、以前は全面的に禁止していました。しかし、規則を破ってコース外に出るスキーヤーが相次ぎ、死亡事故も後を絶たなかっため、平成13年、スキー場などでつくる地元の協議会は、一定のゲートからのみ、バックカントリーに入って自己責任で滑ることを認める、「ニセコルール」と呼ばれる取り組みを始めました。
一方で、協議会から委託を受けた民間の組織が、独自の調査にもとづいて、その日の雪崩の起こりやすさや気象条件、ルート上の注意点などを「ニセコなだれ情報」としてシーズン中、毎日、ホームページで発表することで注意を促し、外国人にも対応して英語の訳もつけています。
ニセコ地区の山では昭和60年から平成11年までに合わせて8人が雪崩で死亡しましたが、ニセコルールの取り組みが始まって以降、リフトを使ったスキーヤーによる雪崩死亡事故は起きていません。
ニセコルールの取り組みの中心となり、「ニセコなだれ情報」を発表している登山家の新谷暁生さんは「外国のスキーヤーには、日本の冬山は、海外の山に比べて“やぶ”が多くて迷いやすいことなどを認識したうえで、滑ってもらいたい。一方、外国人を含めて、バックカントリーで滑りたい人がいる以上、スキー場側も、何らかの柔軟な取り組みを行っていく必要があるのではないか」と話しています。
ニセコなだれ情報URLは、http://niseko.nadare.inofo/